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2019年05月16日

三格を取る前置詞?A(令和元年五月十四日)





 ・Jsem proti (tomu).
  私は反対です。
 ・Zú?astnil jsem se demonstrace proti vlád?.
  反政府デモに参加した。
 ・Musel odejít ze školy proti své v?li.
  自分の意志に反して学校を去らねばならなかった。

 風向きや、川の流れに逆らって進む場合にも使われる。

 ・Jeli jsme na kole proti v?tru.
  向かい風の中を自転車で走った。
 ・Plavali jsme proti proudu ?eky.
  川を上流に向かって泳いだ。

 それから、スポーツの試合なんかでは、対戦相手をこの「proti」で表す。

 ・Olomouc prohrála zápas proti Zlínu.
  オロモウツはズリーン相手の試合に負けた。

 スポーツでは、サッカーやハンドボールの試合中に「一対一」「二対一」なんかの場面ができた場合にも使える。ただし、「jeden proti jednomu」「dva proti jednomu」よりも、別の前置詞「na」を使って、「jeden na jednoho」「dva na jednoho」を使うことのほうが多い。

 覚えておいた方がいい用法としては、薬の用途を表すのに使われるものがある。「頭痛薬」は、「lék proti bolesti hlavy」だし、咳止めのシロップは「sirup proti kašli」になる。インフルエンザの予防接種「o?kování proti ch?ipce」、フケ止めのシャンプー「šampón proti lup?m」、サングラス「brýle proti slunci」もこの中に入れてしまおう。

 前置詞ではなく接頭辞として使われる「proti」もあるが、これは前置詞と名詞が結びついて一語化したと考えるのがいいのだろうか。チェコにはそれほど毒蛇がいるわけではないけど、かまれた場合には「protijed(血清)」が必要になる。日本の野党は批判ばかりで対案を出さないことを批判されているが対案は、「protinávrh」である。それぞれ「jed(毒)」「návrh(提案)」に「proti」がつけられてできた言葉である。「protiprávní(非合法な)」なんて形容詞もある。

 この手の言葉の中で一番よく使うのは、「protiútok」だろうか。サッカーやハンドボールのカウンターにあたるので、「protiútok」から「trhák」という流れが期待できるのである。もちろん、一般的に反撃という意味で使うことも多い。ほら、「pro」ゼマン派と「proti」ゼマン派の間で攻撃と反撃が繰り返されているしさ。ゼマンの代わりにバビシュを入れても変わらないけど。


 次は「proti」に「na」をつけた「naproti」なのだが、「向かい側/反対側」という場所を表す前置詞になる。この「naproti」を「迎えに行く」という場合に使うことを知っている人もいるだろう。ただ、この場合前置詞としては扱わずに、語順の関係で副詞扱いにするようだ。つまり、人を表す言葉の前に置く必要はないのである。

 ・P?jdu vám naproti na letišt?.
  飛行場まで迎えに行きます。
 ・Naproti mn? sed?l ?editel školy.
  私の向かいに校長先生が座っていた。

 これは簡単。ちょっとだけ「proti」と「naproti」を比較できるような用例を考えてみると、これが正しいかどうかは、例によって保証の限りではないのだが、

 ・Oni stojí proti sob?
 ・Oni stojí naproti sob?

 前者は対決のために向かい合って立っているような印象を与え、後者はただ位置的な関係で向かい合って立っている様子を表している。

 それから、「proti」に「o」を付けた「oproti」という前置詞もあるのだが、こちらは自分でもうまく使えないので、説明の任に堪えない。いやこんなのなくても何とでもなるしさ。
2019年5月14日23時。








チェコ語の隙間—東欧のいろんなことばの話











タグ: 前置詞 三格
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