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2019年10月24日

納得できないこと2(十月廿二日)




 それは、この手の記事のほとんどが、外国での日本の賞賛をそのまま紹介するだけで、そこにどんな意味があるのか、全く気にしていないからである。欧米の人たちが日本を誉める場合に、単に異国情緒に酔って、何度目かの日本の再発見をしたという可能性もある。そんなのはありがたがりたいとは思えない。

 日本でのラグビーのワールドカップが特別だというニュースを流すのなら、過去の大会ではどうだったのかという検証が必要だろう。開催国のファンたちが他の国の国歌を歌うなんてことは日本以外ではなさそうだとは思うけれども、移民やその子孫の存在を考えると、開催国の人だということが区別できなかっただけという可能性もなくはない。
 負けている格下のチームに対する声援も、他の国での大会でも起こっていると思うけどなあ。ラグビーというスポーツは、見るものを判官びいきにするところがある。心が折れて諦めたチームは別だが、格下とされるチームや、劣勢のチームが、必死に頑張っているのを見るとついつい応援してしまうものである。自国の代表の試合では別だろうけど。その辺、過去の日本代表が負けたけど検討した試合で、日本への声援が沸き起こらなかったかどうかぐらいのことは調べて書いてほしいものである。

 それに日本的なおもてなしも、評判になっているようだが、どの国でもその国なりのおもてなしというのをしたのではないだろうか。遠路はるばるやってきた外国の代表チームを放置するとは思えない。今回は日本的なやり方が、外国の人たちの気に入ってもらえたようだけど、過去の大会での日本代表に対する対応とか振り返ってくれないかなあ。
 今回日本の対応を誉めている国々は、ラグビー大国であることが多く、これまでのワールドカップに際しても、多くの情報が提供されていたことだろう。それに対して、日本のメディアがラグビーのワールドカップについてここまで詳しく取り上げるのは初めてのことである。当然一般のファンの元に届いた過去の情報も少ない。だから、過去の大会と日本の大会を比較して、特別なところがあるとすれば、それはどこなのかという記事を期待したのだけど。比較もなしに日本は特別だと言われても、説得力がない。

 それから、期待はずれだったのは、過去の日本で行なわれた、他のスポーツの世界大会との比較もないままに、今回のラグビーのワールドカップを称賛していることで、2002年のサッカーのワールドカップのときと比べて、日本社会の対応は変わったのか。変わったとすればどこが違うのかとか、代わった原因なんかを考察する記事もなかったなあ。
 今回は各地でラグビー選手たちが地元の人たち、特にラグビーをしている子供たちとの交流イベントを行なっていたけど、2002年はどうだったんだろう。どこの話だったかは忘れたけど、大会前のキャンプ地となった自治体と、キャンプをした国との交流が、ワールドカップ後も続いているなんて報道を見かけたこともあるから、あの時もいろいろな形で交流が行なわれていたはずだ。今回ラグビーのワールドカップで来日した国のチームと縁のあった自治体も、その縁を大会後も結び続けられるのが理想なのだろうけど、どうなるだろうか。
 昔、確か熊本でハンドボールの世界選手権が行われたときには、県内の市町村で、担当の国を決めて小中学校の子供たちが試合に招待されて、その国を応援したなんて話もあった気がする。単に応援するだけでなく、その国についても勉強したんじゃなかったかな。観客が少なすぎるのを避けるとともに、子供たちに勉強のきっかけを与えるという一石二鳥のやり口は非常に日本的である。こいう考え方もまた今回のワールドカップの成功につながっているような気がする。

 ちなみに、今回、個人的に一番気に入った日本的なものは、全員ではなかったけど、試合中にボールが外に出たときに、ボールを渡す係りの子供たちが、軽くちょこんと頭を下げながらボールを渡していたシーンである。お辞儀とはいえない程度の軽い頭の下げ方に、日本だなあと思ってしまった。自分でもこっちでやってしまうし。
 とまれ、全体的に今回の日本万歳の記事を読んで思うのは、日本のマスコミが、ダライ・ラマみたいにヨーロッパに踊らされているんじゃないかということだ。ダライ・ラマの場合には自分の意思で踊らされているからいいけど、日本のマスコミは気づいてないだろうなあ。日本に対する誇りよりも、イギリスやフランスに対するコンプレックスの現れのようにも見えてしまう。
2019年10月23日23時。










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