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2020年01月27日

プラハにて(正月廿四日)




 久しぶりに乗ったレギオでは、担当路線が増えて人員が不足して乗務員の担当する車両が増えたのか、今までよりもあわただしい感じで御用伺いに来ていた。いつもはもらえていた大き目のクッキーそれをプラハ駅に近づいたら食べようなんて計画していたのに、もらえなかったので空腹を抱えてプラハのトラムに乗る羽目になってしまった。ただでさえ遅れていくのに、駅で買い物をして遅れを大きくする気にはなれなかったのである。

 雪の予報も出ていたというプラハは、ぱらついた小雨がやんだばかりという感じで、オロモウツよりもかなり暖かく、着ていた服で寒すぎるとか暑すぎるということはなかった。トラムも時間通りに運行し、予定通り30分ほどの遅れで、ブルタバ川対岸の所定の場所に到着した。これはレギオがオロモウツの時点であった遅れを取り戻して、プラハの駅に時間通りに到着してくれたおかげでもある。
 以前は、一度遅れ始めるとずるずると遅れが大きくなることはあっても、小さくなることはなかったのだが、最近は路線改修や機関車や客車の刷新のおかげか、たまに遅れがなくなることがある。ネットで遅れが出ていることを確認してのんびり駅に向かうと時間通りに到着してあせることもある。さすがに時間よりも早く出発してしまうことはないから、そこは安心なのだけど。

 プラハ行きの目的だった集まりが終わった後、昼も過ぎたということで何人かで昼食に出かけた。日本人が多かったせいか、アジア系のレストランに行くことになり、あれこれあってベトナム料理の店に入った。メニューを見て選びながら驚いた。何でみんな日本人なのにそんなにベトナム料理に詳しいんだ? メニューにアルファベットで書かれたベトナム語と思しき料理の名前をカタカナで発音しながら、あれがいいこれがいいと言っている。えっ、ベトナム料理の名前って日本では常識になってしまったのか。
 こちとら日本料理以外で現地風の名前で覚えているのは、中華のクング・パオしかないぞ。と書いて、これが本当の中華料理ではなく、チェコでチェコ風に改造された結果誕生した料理だという説があるのを思い出した。どんな料理かと言われても言葉で説明できるほどには覚えていないのだが、チェコの中華っぽいお店にはたいていあって、食べられないほどまずいものが出てくることはほぼない。だから、困ったときにはこれなのである。
 結局、料理名ではなく料理の説明を読み込んで、チャーハンぽい料理を頼んだ。メニューに書いてあった通り、パイナップルの切り身(?)が入っていたのにはちょっと驚いたけど、また来たいと思えるほどに美味しかった。自分でプラハでこんなお店にたどり着けるとは思えないから、やはり先達はあらまほしきものである。

 店内は料理の煙でいい匂いが漂っていて、食欲をそそった。ただ、この手の料理の匂いというのは、そのときはよくても服に染み付いて後が大変なんだよなあと考えて、禁煙席すらなかった昔のチェコのレストランを思い出す。特にビールを飲む人の多い飲み屋では、冬になると窓も締め切るので、白い煙がもうもうと立ち込めて入るのをためらうほどだった。90年代初めの日本の居酒屋も状況は大差なかったのだけど、あのころは若さゆえか、鼻が悪かったのか、服に染み付いたタバコの匂いなんてあんまり気にしなかった。
 その後、禁煙席と喫煙席を分けたり、昼食の時間帯だけ全席禁煙になったり、徐々にレストランや飲み屋での喫煙に制限がかかるようになり、最近全面禁煙が導入されたのだが、一番よかったのは分煙の時代の、喫煙席の空調がしっかりしていて煙がまったく禁煙席に流れてこないようになっているレストランだった。現在の全面禁煙は、店の中は問題ないのだが、店の前でたむろしてタバコを吸っている連中が多くて出入りの際に邪魔になる。

 この路上での喫煙は、以前もなかったわけではないが、全面喫煙の導入によって格段に増えた。この日、昼食の後、帰りの電車の時間までちょっと街をふらついている間にも、歩道ではた迷惑にも喫煙している集団に何度もぶつかって、わずらわしいことこの上なかった。オロモウツ程度の人出ならまだしも、人ゴミと呼ぶにふさわしいレベルのプラハの雑踏では、歩きタバコの多さもあって危険ですらある。
 それにこの手の路上喫煙者はマナーもよくないので、路上にタバコの吸殻が散乱して景観を汚す原因にもなっている。その清掃にはまた無駄なコストがかかるのだから、喫煙者は路上に追い出すのではなく、喫煙所を設けてそこに押し込めるのが一番いい。日本でもオリンピックに向けて全面禁煙とか言ってたけど、街の柄が悪くなって汚れが増えるだけだからやめたほうがいいと思う。一番いいのは今からでもオリンピックの開催を返上することだけど、そんな気骨のある日本じゃないしなあ。

 ということで、またまたプラハでしょうもないことを考えたというお話である。
2020年1月24日24時。













タグ: 日記的 プラハ
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