?K『カレル・チャペック童話全集』(青土社、2005)
エッセイ集の刊行が終わると、短編集の刊行が始まる。収録された作品を確認すると、多くはすでに翻訳のある『ひとつのポケットから出た話』(栗栖訳)、『ポケットから出たミステリー』(田才訳)、『外典』(石川訳)などに収められた短編が三巻に再編集されたもののようである。一冊目だけはチェコ語の原題が上がっているので、チェコで編纂されたものかもしれない。
?L『カレル・チャペック短編集』(青土社、2007)
?M『赤ちゃん盗難事件』(カレル・チャペック短編集2、青土社、2008)
?N『ありふれた殺人』(カレル・チャペック短編集3、青土社、2008)
この短編集三冊の刊行と前後して、『クラカチット』と、成文社から飯島訳が刊行されている『流れ星』が出版される。
?O『流れ星』(青土社、2008)
この後しばらくの沈黙を経て、2016年に現時点で最後の作品が刊行される。チャペクの最後の作品とされる『ある作曲家の生涯』だが、訳者もこれを最後の翻訳にするつもりだったのだろうか。
?P『ある作曲家の生涯 : カレル・チャペック最後の作品』(青土社、2016)
版元の青土社では、品切れになっていない田才訳のチャペクの作品をまとめて、14冊セットの販売も行っているようだ。セットだから割安になっているかは未確認。
ここに紹介した青土社刊の田才訳で絶版になっていないものを数えて、数が合わないと思った人、それは正しい。セットの中には、伴田良輔訳の『ダーシェンカ』愛蔵版も含まれているのである。もともと90年代後半に新潮社から二分冊で刊行された伴田訳は、後に一冊にまとめられヴィレッジブックスから刊行されたが、既に絶版。2015年に愛蔵版として青土社から刊行されたものが現在でも手に入るのである。
つまりは田才訳の『ダーシェンカ』は存在しないことになるのだが、田才訳が存在しないチャペクの作品は、他には『山椒魚戦争』と『絶対子工場』ぐらいしかない。せっかくだから青土社から田才益夫訳『カレル・チャペック全集』なんて20巻本ぐらいで出版されないかな。買うとは言えないけど、欲しいぞ。
せっかくなので田才益夫訳の他の作家の作品についてもまとめようと思う。それはもちろん次回である。
2020年3月11日24時。
チェコが非常事態宣言を出して国境の閉鎖を決めたら、他の国も次々に同じような対策を発表し始めた。チェコの対策の細かいことはまた明日。
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