それはともかく、チェコ政府は今日、プラハにあるロシア大使館に勤務する外交官を二人、外交特権を剥奪して尅外題居処分に処したことを発表した。ロシア側は当然外交的な挑発だと反発しており、報復としてモスクワのチェコ大使館の外交官に同様の国外退去処分が出されることが予想されている。両国の対立につながりかねないといえなくもない処置がなされた事情は、以下の通り。
チェコ政府がロシアの外交官を追放した原因となったのは、以前紹介したロシア政府が、プラハにあったソ連軍の英雄コーネフの像を撤去するという挙に出たプラハ6区の区長と、プラハ市長を暗殺するための部隊をチェコに送り出したというニュースである。ただし、区長と市長が暗殺されたというわけでもなければ、チェコに潜入した実行犯が逮捕されたというわけでもない。
ロシア大使館の外交官が国外退去処分を受けたのは、意図的にガセネタを雑誌にリークしてチェコ社会を混乱に陥れた(騒いでいたのは一部のような気もするけど)ことが理由になっているのだろうか。まだ何かウラがありそうな気もするけれども、情報局では、政府の発表以上のことは何も起こっておらず、付け加えることはないというコメントをツイッター上で発表した。
待てい、情報局というのは、諜報や防諜を担当する組織だろ? そんな組織がツイッターで情報を提供している? イメージぶち壊しである。いや、情報局という、言ってみればかつての秘密警察と同じような仕事をしている組織のイメージを挙げるためには、こういう努力が必要だということなのだろうか。逆に、ツイッターなどでさまざまな、それこそ正誤入り混じった情報を発信することで、外国の情報機関を撹乱しようという目的があってもおかしくはない。
正直な話、政治家が個人の活動としてツイッターなどを使って情報を発信するのには、法律がそれを許しているのなら、好き勝手にやれよとしか思わないが、閣僚などの政府の公的な役職にいる人が、公人としてやっているのには、違和感というよりは、嫌悪感を感じてしまう。便利なツールではあるのだろうけど、国政を預り機密にもかかわっている政治家が、その便利さに膝を屈してどうするのだ。たかだか一私企業の提供するサービスに情報提供の手段を依存しているってのは健康的な状態ではあるまい。
政治家や有名人が垂れ流す発言を、そのまま記事にしてしまう日本のマスコミもひどいもんだけどさ。ネット上の発言を集めて記事にするなんてのは、素人のブログのやることであって、仮にもジャーナリズムでございとえばっている連中のすることではなかろう。
とまれ、チェコとロシアの少もない外交上の争い。どういう結末を迎えるのだろうかって、最悪なことにならないのだけは断言できる。何せチェコの大統領は、EU内でプーチン大統領の代弁者ともいえるロシア派のゼマン大統領だし、ビロード革命前の栄光が忘れられずにソ連の後継国家であるロシアを宗主国としてあがめる共産党がチェコ国内でロシアの利益を代弁するから、最終的にはなあなあでよくわからない形でけりがつくに違いない。
北朝鮮との国交を維持していて大使館も置かれているプラハでは、北朝鮮や中国、ロシアなどの外交官による諜報活動が盛んに行なわれているため、毎年何人かの外交官を国外退去処分にしているという話も聞く。中にはロシアの外交官もいるわけで、今回の件は暗殺騒ぎがあったから大事になったけれども、それを除けばいつものことという感覚でいいのかもしれない。これもまた蝸牛角上の争いという所以である。
2020年6月6日12時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
タグ: ロシア
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