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2020年09月24日

厚生大臣辞任(九月廿一日)




 春の流行が拡大し場当たり的な対策が次々と、朝令暮改のように発令されていた時期にもボイテフ大臣は激しい批判にさらされ、プリムラ氏を後任にするように求める勢力もあったのだが、結果的に流行の無軌道な拡大を阻止できたことで留任し、第二波にむけて、信号的色分け地図など対策の手順をある程度確立したことで評価を高めていた。ただその決められた手順の運用が出鱈目に終わったことで、前回上の激しい批判をあびることになったのである。

 もともと法学部の出身だというボイテフ氏は医療関係の専門家というわけではなく、その調整能力を買われて、露骨に言えばバビシュ首相の操り人形として厚生大臣に就任した。これまでの大臣も目標として掲げながらなかなか進展しなかった医療の電子化と効率化を推進することが課題だったようだ。その課題は今年の春の武漢風邪の大流行で吹っ飛んでしまい、以後は対策の舵取りに腐心することになる。
 対策におけるボイテフ氏の役割も調整役であることには変わりなく、特に専門家の求める対策とバビシュ首相の意向の調整は大変だったはずだ。春の対策がある程度うまくいったのも、バビシュ首相とプリムラ氏の間にボイテフ氏がいたからという面があるはずなので、今後バビシュ—プリムラ直結体制がどこまでうまく行くのか注目である。

 プリムラ氏は対策本部長座を、政治の時間になったとしてハマーチェク内務大臣に譲った後、厚生省の役職も辞任した。その時には、ボイテフ大臣が人気の出てきた自分を恐れ始めたのが原因だと語っていたがどうだろう。実際にプリムラ氏の人気を恐れたのはバビシュ首相だったのではないかという疑いもある。そして、手駒として残しておくために、厚生省退官後も特設の役職を設置してプリムラ氏を据えたと考える方が自然な気がする。バビシュ氏の操り人形に過ぎないボイテフ氏に、他者の人気を恐れる必要があったとも思えないし。

 ボイテフ氏が批判指されることが増えたのは、8月の後半ぐらいからだったと記憶するのだが、厚生省本体と、地方の保健所の連携が取れていなかったり、地方政府と保健所の意思疎通が出来ていなかったりと組織的な問題が次々に露呈した。これも完全にボイテフ氏の責任というよりは、これまで放置されてきた組織的な欠陥が、最悪のタイミングで表に現れたと言ってもいいのかもしれない。いろいろ解説を聞いても、地方の保健所の位置づけが、地方政府に属するのか、厚生省に属するのか、いまいちよくわからなかったし。
 厚生省の専門家たちと話し合って決定し、発表した対策を、バビシュ首相の鶴の一声で変えなければならなかったこともある。これもバビシュ首相の人気取り、厚生省は厳しい対策を導入しようとしているけど、首相が止めたというストーリーが必要とされたもののようにも思われる。そんな茶番に疲れ果ててしまっての辞任だったのか、このままボイテフ氏を留任させると地方選挙への影響が大きいと考えてバビシュ首相が因果を含めて辞任させたのかは知らないが、他の誰が務めていたとしても、バビシュ首相の元ではボイテフ氏以上の成果を収めるのはむずかしかったに違いない。

 バビシュ首相は、厚生大臣を交代させた今日の夜8時から、チェコテレビで国民に向けて演説を行った。地方議会選挙前にいいのかという批判があることを考えると、厚生大臣の交代も選挙対策と考えたほうがいいのかもしれない。
2020年9月22日21時。











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