形容詞の短語尾形は、硬変化の形容詞の語尾の長母音を取り去って、主語の性、単複に合わせて、動詞の受身形と同じ短母音の語尾をつけてやるだけである。さらにわかりやすく言えば、副詞とされる「rád」と同じ語尾と言ったほうがいいかもしれない。考えてみれば「rád」も副詞の癖に、主語に合わせて形を変えなければならないという不思議な言葉である。
念のために繰り返しておけば、単数が主語の場合には、男性であれば語尾なし、女性は「a」、中性は「o」をつけ、複数の場合は、男性活動体は「i」、不活動体と女性は「y」、中性は「a」をつけることになる。文にせずに、形容詞の短語尾形だけを使うときには、中性単数の「o」をつけた形を使う。
もちろん、主語を据えて、「Ve?e?e je u? hotova(夕食はもうできたよ)」と言っても間違いではないはずなのだが、この形容詞の短形というのは、どうして古い印象を与えてしまうので、「Ve?e?e je u? hotová」と形容詞の長母音の語尾を使ったほうが、少なくとも教科書で学んでチェコ語を勉強した人間には、自然に感じられる。さらに言えば、動詞の受身形を使いたくなる。たとえば「Ve?e?e je u? p?ipravena」とか、「Ve?e?i máme u? uva?enou」とかである。
以前、チェコ語を勉強し始めの頃、チェコ人の知り合いに、「Já sú zv?dav」と言われてわけがわからなかったことがある。当時はまだそれほどチェコ語に詳しくなかったから、「sú」が「jsem」のモラビアの方言であることも、「zv?dav」が形容詞の短語尾形であることもわからなかったのだ。ちなみに「zv?davý」は、「知りたくてたまらない/好奇心にあふれる」という意味である。
翌日だったかに、師匠に質問したら、「zv?dav」は、「zv?davý」の古い文語的な、書き言葉的形なので、方言であるつまりは口語的表現である「sú」と一緒に使うのはちょっとなあという説明が帰ってきた。師匠は、チェコ語を勉強している外国人に、こんな形もあるよと教えるために、文語的な短語尾形を使ったんじゃないのかなんて推測していたけど、ならば「sú」を使ったのは方言を教えるつもりだったのだろうか。
たまに使われているのに気づくものとしては、健康、病気に関する形容詞があって、「健康な」という形容詞「zdravý」が短語尾形では「zdráv」と長母音が出てくる。命令形を使った「Bu?te zdráv」なんてのを、耳にすることがある。一方「病気の」という意味の「nemocný」は「nemocen」となる。語尾のない男性単数では出没母音の「e」が出るのだが、語尾をつけると消えてしまうので、女性単数は「nemocna」という形になる。
形容詞の短語尾形にはこのぐらいしか書くことがないのである。形容詞に関してはこれで終わりかな。形容詞から名詞、動詞を作る方法というのもあるけど、これはまた機会を改めることにする。
2020年11月26日23時。
タグ: 形容詞
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