このプレイオフ、第一戦はチェコのズブジーで行われたのだが、事前の準備段階からニュースになっていた。一月の世界選手権に出場できなかった男子チームの失敗を教訓に、本来の代表チームとは別に、もう一チーム分選手を集めて予備代表チームを召集したのである。もちろん練習は別の場所で行われ、本代表が試合会場でもあるズブジーで事前合宿をしていたのに対して、予備代表は山をひとつ越えた温泉街のルハチョビツェを拠点に、本代表と同じコンセプトで練習をしていたらしい。
幸いなことに、チェコチームの選手、関係者からは、定期的な検査で陽性者が出ることなく、土曜日の試合を向かえたのだが、チェコ代表大苦戦だった。試合開始直後から若手の有望選手をそろえたスイス代表にリードを許し、試合終了間際まで追いかける展開が続いた。同点までは行くのだけど、逆転のシュートが決まらず、見ているほうをやきもきさせてくれた。経験不足のスイスチームがチェコ代表のミスに付き合ってくれることも多く、点差が最大でも前半は3点、後半は2点までしか開かなかったのは幸いだった。
残り2分で、チェコが26−26の同点に追いつき、残り15秒ぐらいで、コルドフスカーのシュートが決まって、チェコ代表がこの試合初めてリードを奪ったときには、これで勝てたと思ったのだが、スイスの速攻にディフェンスが対応しきれず、同点に追いつかれてしまった。もったいない引き分けだったけれども、負けてもおかしくない試合だった。全体的に攻撃がうまく行っていない印象で、コレショバー(旧姓ルズモバー)の不在と、イェジャープコバーのシュートが決まらないのが痛かった。
そして第二戦がスイスで行われたわけだが、キーパーのクドラーチコバーが日曜日の検査で陽性判定が出たため出場できなくなった。月曜日に行われた確認のための検査では、陰性の判定が出たというからいわゆる偽陽性だったのだろうが、スイスに向かうには遅すぎた。チームはすでに代理代表からキーパーを一人合流させて出発した後だったのである。
もう一人の主力キーパーであるサトラポバーは、怪我のためにこのプレイオフには召集もされておらず、この大事な試合でゴールを守るのは、まだ代表経験もそれほど多くないハナ・ムチコバーということになった。そのムチコバーが、スイスのシュートを何本求めて、勝利の立役者の一人になるのだから、わからない。もう一人の立役者はズブジーではあまりシュートが決まらなかったイェジャープコバーでチームの得点の半分以上となる15点をたたき出した。
この試合も、スイスに先制点を許し、0−3とリードされたときには、初戦の再現になるのかとげんなりした気分になったのだが、15分過ぎには逆転に成功して、14−11と3点リードで前半を終えた。後半開始後もチェコがリードを広げ最大で7点差をつけることに成功した。その後スイスが持ち直して4点差まで詰められたけれども、再度突き放して28−22と6点差で勝って、世界選手権の出場を決めた。
この試合、スイスが予想外の健闘を見せて、チェコ代表は苦戦したけれども、最後は実力の差を見せ付けたとまとめると、ちょっとスイスを見下ろしすぎだろうか。チェコではあまり見かけない大型のセンタープレーヤーが、9メートル、10メートルの距離からロングシュートを決めているのを見ると、当然外すこともあったわけだけど、このスイス代表は今後強くなりそうである。オランダの例もあるしさ。
さあ、次は25日から始まる男子代表のヨーロッパ選手権の予選三連戦である。ウクライナには何とか勝てると思うのだけど、現在の状況では何が起こっても不思議はない。残念なのはチェコテレビで放送してくれるのが、最後の5月2日のブルノでのウクライナ戦だけだということ。他のウクライナとフェロー諸島での試合は、有料テレビが放映権を持っているようである。
2021年4月21日24時。
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