そもそも、当初必要とされた二回の接種を完了した去年の八月半ばの時点で、最初に接種を受けた医療関係者や高齢者は、接種から六か月以上たったということで既に三回目の接種が始まっており、自分も三回目を受けるのは規定路線ではあった。二回目から六ヵ月後は二月の中旬で、仕事が忙しくなり始める時期と重なるのが不安だったが、金曜日に打って週末静養すれば、何とかなるだろうと考えて、接種を受けるつもりだった。
特に、九月以降、規制が強化される中、ワクチン接種済みの人に関しては、例外的に規制の対象外にするという優遇を受けられるようになった時点では、ワクチン接種を受けてよかったと思えたし、その後、優遇の条件が三回目の接種を済ませていることに変わるのではないかと予想され、実際に、日本人がチェコに入国する際に、日本の自治体で発行されたワクチン接種証明書がチェコでも有効になり入国後に隔離の必要がなくなったときの条件は、二回目ではなく、三回目の接種が終了していることだった。
だから、三回目の接種が、二回目から五カ月後、つまり一月半ばの仕事が比較的忙しくない時期から受けられるようになったこともあって、去年の十二月半ばまでは、断じて喜々としてではないが、接種を受けるつもりではいたのだ。接種会場が増えて、自宅や職場の近くでも受けられるようになっていたのも、その決定を後押しした。
風向きが変わったのは、昨年末にフィアラ内閣が成立し新たな厚生大臣が就任した後のことである。この大臣、オミクロン株の流行が急速に拡大していることに対する対策として、学校だけではなく企業や官庁などで働く人たちにも、毎週二回の検査を義務付けることを発表したのである。しかも、その検査の対象からは、ワクチン接種済み、三回目の接種を済ませた人も除外しないというのである。
その結果、昨年の秋以降再び増加に転じていた一日あたりのワクチン接種回数が減少することになった。多くの人は、ワクチンによる感染防止のためではなく、検査などの面倒ごとを避けるために接種を受けているのだから、陰謀論など関係なく当然の結果である。結局、ワクチン接種数を増やすことよりも、検査を増やして感染者を把握して隔離させること優先した上での決定だろうと理解したのだが、厚生大臣が政府の最優先課題はワクチン接種だと発言して、接種者が増えないこと批判していたのは意味不明である。
職場での定期的な検査以外のワクチン接種者に対する優遇は残ったが、レストランやプールなんかを利用できると言われても、レストランなんか日本から知り合いがオロモウツに来たときぐらいしか行かないから、誰も来られない現状では意味がないし、プールなんてもう二十年近く利用していない。その点は、スポーツイベントや劇場、コンサートなんかも同様である。
さらに、一月の前半に三回目の接種を受けたうちのが、一回目と二回目は何事もなかったようにけろっとしていたのに、今回は副作用で熱を出して寝込み、熱が引いた後もリンパが腫れるなどしばらく体調不良を訴えていたのも、接種に積極的になれなかった理由である。これまでよりも副作用が強く出るとなると、感染のリスクの低い生活を続けている中でわざわざ苦しい思いをしてまで接種を受ける必要があるのか疑問だった。
結局は、一月の後半になって、例によって夜中の思考力の落ちた時間帯に、発作的に接種を受けることにして、予約システムに登録をして接種の予約をしたのだが、当日までの二週間ほどの間、キャンセルするかどうか悩んでしまった。最終的に受けることにしたのは、ワクチンで感染を防ごうとか、他人にうつさないようにようになんて理由ではない。規制の緩和が議題に上がり始める中で、今後、これまで何度かあったように、またまた規制が強化された場合に、三回目の接種を受けていないと優遇の対象にならないことを危惧したからである。正直ワクチンに関しては、信用も期待もしていないのだが、ワクチン接種を受けることで将来の規制において対象から外されるだろうという点については信用しているのである。
2022年2月24日
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