朝起きた時点から頭が痛いのは、風邪が抜け切っていないから仕方がないと諦めもつくのだが、風邪のせいで、日課だった毎日のコーヒーが飲めないのが痛い。いや、飲もうと思えば、飲めなくはないのだが、飲んでも美味しく感じられないのだ。美味しくないコーヒーは、まずいお酒と同じで無理して飲みたいとも思えない。
まずく感じる原因も、風邪だけれども、咳とくしゃみに痛めつけられた喉を癒すために、それから咳止めのために延々舐め続けているのど飴のせいで舌が荒れているという理由もある。寝ているときに咳をしないようにのど飴をしたの上に乗せて、口蓋の上部に押し付ける形で保持して寝ると、少しずつ溶けてきて、喉には優しく咳も出ないのが、溶けて部分的にとがってしまった飴が、したや口蓋に傷をつけることがある。日本だと、何とかトローチなんてのがあったかあ。あれは舌に傷をつけなかったような気がする。あんまり美味しくなかったけど。
最悪寝ている間にちょっと血が出ることもあるのだが、今回はそこまでは行かなかった。行かなかったけど、痛みに堪えかねて飴が舐められなくなってしまった。そのため、咳の回数が増え、なぜかくしゃみも増えて鼻をかむ回数が増え、鼻の周り、口の周りがティッシュでこすられて痛み始めた。もうちょっとで前回というところまできているとは思うのだけど、最後のもうちょっとが、時間がかかってしまっている。
手足の筋肉がかすかに痛むのも、風邪のせいかと思っていたのだが、違った。寒さのせいだった。いや今回は雪のせいと言ったほうがいいだろうか。雪が降り積もって足元が安定しない中を歩くのは、普段使わない手足の筋肉を使うようで、職場までの行きと帰り、合わせて一時間ほど、歩くだけで筋肉痛になってしまったのだ。特にふとももの裏側と、ふくらはぎ上部の筋肉が痛む。右の上腕部が痛むのは、この前こけたときにうったせいかな。
寒さで筋肉痛になったのは、十年ほど前の最悪の冬のことだった。あの年の一番寒かった時期は、それほど雪が降らず、歩道は完全に除雪されていたので、足を滑らせることもなかったと記憶する。その上、徒歩ではなくトラムで職場に通っていたので、歩いていたのは行き帰り合わせて、三十分未満だっただろうか。それなのに、気温がマイナス二十度に近づいた次の日、朝起きたら典型的な筋肉痛になっていた。
昔、何かで酷寒の中で運動するとカロリー消費量が、普段の何倍にもなるなんて話を読んだことがある。本当かどうかは知らないけど、カロリーをたくさん消費するということは、負荷も大きいということになるのだろう。大して運動したわけでもないのに、筋肉痛になってしまったのは、そういうことだったのだと納得しておくことにした。
チェコに来るまでは、九州と東京近辺でしか生活をしたことがなかったので、寒さがいたいものでもあることを知ったのはオロモウツにきてからである。日本でも経験のあったマイナス五度ぐらいまでは大丈夫なのだが、十度を超えると空気の質が変わるような気がする。顔何かの覆われていない部分が空気の冷たさで痛みを感じ、呼吸する際に口の中や喉にも衝撃を感じる。帽子がないと耳も痛いし、ひどいときには頭も痛む。
チェコに来たばかりのころは、寒い冬が多く、毎年必ず一日中気温がマイナスという時期があって、マイナス十度を超えることも少なくなかった。チェコ語の師匠に脅されて、寒さに耐えるために毛糸の帽子を購入し、ジーパン一枚では耐え切れずにスボン下というか、股引というかをはくようになり、日本ではわずらわしくて使ったことのなかったマフラーまで首に巻くようになってしまった。今でもマフラーの巻き方がよくわからなくて困るのだけど、使わないよりはマシである。もこもこに厚着をして、冬用の暖かい靴を履いていても、最悪の冬は隙間から入ってくる冷たい空気が痛かった。
そういえば、冬の寒い時期にプールに行って、ドライヤーで髪を入念に乾かしたつもりでも、外に出ると残っていた水気が凍結して髪がシャリシャリいうのがいやだと言っていた人もいた。冬にプールなんて行かなきゃいいのにと思ったのだが、シャリシャリいう髪の毛のせいで頭が痛んだりするのかどうかは、実際に体験していないからわからない。
以前は、冬になると、寒い外から暖かいお店の中に入って急な気温の変化で汗をかいてしまって、その後外に出て汗が冷えてしまって風邪を引くことが多かったのだけど、最近は特に汗を書くこともなくなったような気がする。適度な服装を選べるようになったということなのか、チェコの冬に体が順応し始めたということなのか、後者だったら悔しいので、過剰な厚着をしなくなったおかげだということにしておこう。
1月12日23時30分。
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