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2017年05月10日

プラハマラソン(五月七日)





 日本から招待選手として出場した川内選手も、賞金などをもらわない公務員ランナーなのに優勝候補の一人になっていることで注目を集めていた。中継中には、他のマラソン選手ではありえない回数のマラソンに出場していることも紹介され、完璧な情報ではなかったが、中継のアナウンサーがかなり準備していることをうかがわせた。
 チェコのマラソンでは、招待選手のゼッケンには、番号ではなく名前が記入されることが多い。今回のプラハマラソンでは、姓ではなく名が使われていて、川内選手のゼッケンには「YUKI」と書かれていた。中継では姓を使うので、画面に見えるゼッケンに書かれている名前と、中継のアナウンサーの声で聞こえてくる名前が違うので、テレビで見る人には不親切なやり方だったようにも思える。


 5キロ、10キロと、5キロごとに固定のカメラがあって、各選手の差を、タイム差だけでなく距離の差も見せるのが日本の中継なら、チェコの中継はいつの間にか通過していた5キロごとのタイムと選手間のタイム差が画面に表示されアナウンサーが読み上げるだけである。おかげで、画面に頻繁に映る先頭集団以外のレース展開はほとんど把握できない。その結果、ただでさえつまらなくなった最近のマラソンが、さらにつまらなくなってしまう。

 無駄に関係者のインタビューが入って、画面から頻繁にレースの様子が消えるのも問題である。ペースメーカーがいるせいで特に前半は動きのないつまらないレースになることが多いのが原因だと言えば言えるけれども、マラソン中継の主役はあくまでも走り続ける選手たちなのだから、レース中のインタビューは最低限にしてほしいものだ。スポンサーへのインタビューなんか、不要だろうと考えるのは、過度に商業化する前の古きよきマラソンへのノスタルジーだろうか。
 それから、中継のカメラが必要以上に切り替わるのも、問題を超えて不快だった。今回も男子のレースが40キロを過ぎて上位二人の優勝争いが佳境に入ったところで、ペースメーカーの後を独走する女子のトップの選手に画面が切り替わったり、突然上空からのカメラに切り替わったりしていた。
 日本のマラソン中継も無駄に細かくて不要な情報にあふれていたり、中継車や解説者が多すぎたり、注目選手ばかりうつして肝心な上位争いが見られなかったりと問題がないわけではない。チェコと日本に中継を足して二で割るぐらいがちょうどいい。かつてのマラソンファンとしては、画面上部の時間の下の距離表示だけは実現してほしいものだと思う。

 ところで、肝心のレースのほうは、2時間6分台を狙うペースメーカーの設定だったらしいが、選手たちのスピードが上がらず優勝タイムは8分台の半ばだった。上位三人は皆エチオピアの選手で、4位にはケニアの選手が入った。名前は、耳で聞く名前と目で見る名前が一致しなかったせいもあってまったく覚えられなかった。

 川内選手は、30キロ過ぎまでペースの上がらない先頭集団のペースメーカーのすぐ後を走るなど快調に走っていたのだが、勝負どころに入る前に、旧市街の石畳に足を取られて転倒してしまって、先頭集団から大きく遅れ、結局6位に終わった。タイムは2時間10分ちょっとだったかな。転倒していなかったら優勝争いに絡んだはずだと評価されていた。
 日本だとアフリカの選手たちに勝てないことで評価が低くなることが多いけど、日本のトップ選手は外国では日本国内以上に評価されている。チェコ人はトップの選手でさえ、2時間21分台でのゴールだったから、年に何度も2時間10分前後でマラソンを走りきる川内選手のすごさを強く感じるのかもしれない。

 女子のほうは、ゴール近くまでペースメーカーに引っ張ってもらったアフリカの選手が、2時間21分台で優勝して大会記録を更新していた。途中までは2時間17分台が出そうな快調なペースで飛ばしていたが、途中で失速したようだ。こっちの優勝者は国籍も覚えていないし、2位以下の選手との差も覚えていないほど印象に残らないレースだった。

 マラソンをつまらなくしたペースメーカーなんか禁止してしまえ。市民ランナーが自己記録を更新するためのペースメーカーは、あっても悪くないとおもうけどさ。
5月7日23時。




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