ハベル大統領とクラウス大統領の広報官は、ここまで印象を残していないと思うのだけど、ハベル大統領に関しては、最後の時期、チェコ語がまだあまりできない状態で、テレビでニュースを毎日見ていたというわけでもないので、有名な広報官がいたのかもしれない。クラウス氏の広報官が、ニュースの中心になったことはないんじゃないかと思う。
オフチャーチェク氏が有名なのは、詭弁とも言うべき方法で、ゼマン大統領の言動を正当化して人を唖然とさせるからである。ちょっと地下鉄サリン事件のときのオウムの広報官を思い起こさせるかもしれない。あの人も、「ああいえばじょうゆう」とかなんとか言われていたよなあ。オフチャーチェク氏はあそこまで饒舌ではないか。
そしたら、ゼマン大統領が、秋の総選挙の後は、何があっても第一党となった政党の党首を首相として指名し組閣させると言い出した。これは、世論調査の結果から現時点ではANOが勝つことが予想されていることを考えると、バビシュ氏を首相に指名すると言っているに等しい。大領領選挙での再選のためにバビシュ氏としっかり手を組むことに決めたらしい。
これに対して、ソボトカ首相は。バビシュ首相の誕生を阻止するためには、選挙で社会民主党が勝つしかなく、社会民主党が勝利してゼマン大統領が歯軋りしながらザオラーレク氏を首相に指名するのを楽しみにしているとか言っていた。なんかピントがずれているような気がするが、ゼマン大統領とソボトカ首相の関係が修復不能なところまできているのは明らかである。大統領が2003年の大統領選挙での裏切りを忘れていないように、首相も前回の総選挙の後、大統領がハシェク氏を首相に指名しようと画策したことを忘れていないのだろう。
市民民主党の批判、いや恨み言は、2013年夏の出来事に直結する。あのときは、ネチャス内閣が総辞職したあと、市民民主党では新たに党首に選出されたニェムツォバー氏に首班指名が降りるように要請したのだが、ゼマン大統領はそれを拒否し、お友達のルスノク氏に暫定内閣を組織するように指名したのだった。
その大統領主導の暫定内閣は、国会で承認を得ることができず、結局解散総選挙という流れをたどったのだが、そのとき大統領が市民民主党の党首に組閣命令を出さなかった理由が、今回のバビシュ氏のように刑事事件として立件される可能性があるからというものだったらしい。犯罪性があるかもしれないと言われていたのは、辞任したネチャス氏であって、新たに党首に就任したニェムツォバー氏ではなかったというのにである。
そんな前例を持ち出しての批判にも、あのときとは状況が違うとか言って自らを正当化するのかゼマン大統領で、それを支援するためにあれこれわけのわからない論理を駆使するのがオフチャーチェク氏なのである。そして、最近の蜜月振りを見るとバビシュ氏もゼマン大統領の取り巻きの一員となったと言ってもいいかもしれない。
とまれ、このまま行くと、刑事事件で起訴された総理大臣なんてことになりかねないのである。起訴されても、国会議員としての資格を失うことはないはずだから、被告として現職の総理大臣が裁判に出るなんてことにもなるのかな。それはいかにもチェコ的でちょっと見てみたい気がする。ただなあ、バビシュ首相に、ゼマン大統領ってのは最悪の組み合わせなんだよなあ。どちらかかったぽでも阻止してくれないものだろうか。
8月15日22時。
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