コメント を頂いた。忘れていたチェコ語の厄介な部分に触れられていて、読んでいて、そうだねえ、そんな問題もあったねえと懐かしさを感じてしまう。最近は無意識に、正しく、かどうかはわからないが、使っているし、問題を避ける方法も知っているので、完全に忘れていたけれども、まじめにチェコ語を勉強していたころは、納得がいかなくて師匠に駄々をこねるような質問をしていたのだった。
コメントで指摘されている問題は、男性名詞の活動体が地名やお店の名前となった場合にどのように格変化させるのかということである。女性名詞が男性の姓として使われるようになると、男性名詞として扱われるようになるのだから、活動体の名詞が不活動体であるはずの地名として使われた場合には、不活動体扱いになると考えるのが自然である。しかし、チェコ語はそんなに甘くない。
問題になるのは比較的新しい地名で、男性名詞の活動体がそのまま使われているものである。それで思いつく地名が、プラハのスミーホフの一地区であるアンデルぐらいしかない。昔悩まされたのは、地名ではなくスーパーマーケットのチェーンの名前「アルベルト」だった。これももとは人名だというので、活動体扱いされるらしく、同じスーパーでもビラだったら普通に、「Jdu do Billy(ビラに行く)」と言えるのに、アルベルトの場合には違う前置詞を使って、「Jdu k Albertovi」と言わなければならなかったのである。
師匠に覚えるのが面倒くせえと言うと、スーパーマーケットという単語を前に入れてそれだけ格変化させろと言われた。つまり、「Jdu do supermarketu Albert」と言えば問題ないというのである。ということで格変化に自信がないときには、一般名詞を使ってそれを格変化させて、お店の名前や地名なんかは変化させずに使うようにしている。これは、日本語の地名などの固有名詞を使うときにも適応できるので重宝している。
「北海道に行きます」なんてのを、チェコ語にするときに、チェコ語に存在しないオの長母音で終わる名詞の格変化なんて考えたくないし、北海道の性もわからないから、北海道の前に、「島」という言葉を入れてしまうのである。そうすれば北海道の格変化なんか考える必要はない。九州、本州、四国なんてのも格変化のさせようはあるのだろうけど、チェコ人ならぬ身にはとっさに思いつかない。ということで、「北海道に行きます」は、チェコ語で、「Jedu na ostrov Hokkaidó」と言えば、格変化なんぞしなくてもいいから、外国人にも優しいのである。
では、コメントに頂いた「昨日はAnd?lのショッピングセンターに行きました」について考えてみよう。「And?l」がショッピングセンターの名前なら、アルベルトなんかと同じなので、「V?era jsem šel k And?lovi」、もしくは「V?era jsem šel do nákupního centra And?l」としておけばいいのだろうが、「And?l」にあるショッピングセンターという意味の場合には、もう少し工夫が必要である。
悩むのが、アンデルの前に使う前置詞を方向を表す「k」にするのがいいのか、場所を表す「u」にするのがいいのかで、どちらでもよさそうな気はするのだけど、不安なので動詞から変えてしまおう。チェコ語では、日本語で「行く/来る」で表すような内容を「いる」で表すことも多い。ならば、「V?era jsem byl v nákupním centru u And?la」。これが一つ目の解。一般名詞を入れて「V?era jsem byl v nákupním centru v oblasti And?l」か、「V?era jsem byl v nákupním centru na pra?ské ?ásti And?l」にする手もあるだろうか。アンデルを形容詞にして「V?era jsem byl v and?lském nákupním centru」とやってもいいか。
ここに書いたチェコ語の文をチェコ人たちが使うとは思えない。だけど、外国人がチェコ語を使うときに大切なのは、意味が通じることであり、チェコ語を勉強する上で大切なのは、文法的に正しいことである。その意味では、これらの文は全部正しい、と言いたいのだけど、確証はない。まあでも即興でこれぐらいのことは言えるようになったのだから、我がチェコ語も進歩したなあと感慨深いものがある。
9月8日17時。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image