現在の人称変化という点に限れば、極限まで規則化するとチェコ語の動詞は二種類に分けられる。それは、一人称単数が、短母音「u」もしくは「i」になるものと、長母音「í」か「á」+「m」になるものの二つである。現実的には「u」「i」「ím」「ám」で終わるものの四つに分けたほうがよさそうである。
とりあえず簡単なほうから行くと、一人称単数が「ám」で終わるものは、以下のように人称変化する。例は「d?lat(する)」
1人称 d?l-ám d?l-áme
2人称 d?l-áš d?l-áte
3人称 d?l-á d?l-ají
一人称複数、二人称単数、複数、三人称単数の語尾の母音に続く形が、順に「-me」「-š」「-te」「-(ナシ)」となるのは、すべての動詞で共通である。一人称単数が「ám」で終わる動詞は原則として原型が「-at」で終わる。問題はすべての「-at」で終わる動詞が、この形の変化をするわけではないということで、特に原形が「-ovat」で終わるものは、違う変化をするというのは絶対に覚えておかなければならない。他には「ukázat(見せる)」「skákat(跳ぶ)」などが、「-at」で終わりながら、この変化をしない動詞である。
それから、この変化をしながら原形が違うというものもある。一つは「dát(与える)」で長母音になっているだけだが、「brát(取る)」を含めて、「-át」で終わる動詞はこの形の変化をしないものが多いのである。もう一つは、「 mít(持つ)」で、この動詞は過去形でも微妙に違った形をとるので、全体としては不規則扱いにするのがいいのだろうが、人称変化に関してだけは、この「d?lat」グループに入るのである。「mít」から「mám」、もしくはその反対への変化が問題なくできるようになるまでは、結構間違えたけどね。
続いては、一人称単数が「ím」で終わるものである。例は「mluvit(話す)」
単数 複数
1人称 mluv-ím mluv-íme
2人称 mluv-íš mluv-íte
3人称 mluv-í mluv-í
三人称の複数以外は、前の動詞の「á」が「í」に変わっただけである。この手の動詞は、原形が「-it」「-et」でおわる。長母音になる「-ít」で終わるものは、この形にはならないので注意が必要である。
もう一つ、注意しなければならないのは、「-et」で終わる動詞の中には、三人称複数が「-ejí」となるものもあることだ。例えば「um?t」の三人称複数は「um?jí」となる。「-et」で終わる動詞でも、三人称複数が「-í」になるものもあるし、どちらでもいいというものもある。どちらでもいいというのもよくわからないのだけど、とりあえず「-í」で使っておいて、「-ejí」が正しいと言われたものを覚えていくというのが、無難な対処法だろうか。
チェコ人の中にはルールがあると言い張る人もいるかもしれないが、あったとしても外国人には何の役にも立たないものに決まっているので、まともに受け取ってはいけない。逆にそんなのどっちでもいいんだよなんて言う人もいるから、「-et」で終わる動詞の三人称複数は間違ってもいいものと割り切って使っている。日本人なんだから、そんな単数、複数を常に意識してしゃべっているわけではないし、正しい形がわかっていても間違えるものなのだからさ。
おそらく、ここで取り上げた二つが、チェコ語の伝統的な動詞の分類では、5型と4型と呼ばれるものであるが、その番号にはあまり意味はない。少なくとも外国人にはどうでもいいことである。令によってクリスマス進行中なので、次回動詞に触れるのは年明けになるかもしれない。
2017年12月23日24時。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image