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2010.05.20
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カテゴリ: 気になる本
上海万博に沸く昨今ですが、上海を目指して集まる日本人については先ごろのNHKのテレビドラマにもありましたね。
桐野夏生「玉蘭」を図書館で借りて読破したが、そういう意味でも大使のチョイスは時宜を得たものであった。
(さよか・・・実は2007年には「玉蘭」のテレビドラマもあったそうだが、大使は見逃していました。)

この本の読後にデジャビュの思いをしたが・・・・
過去の恋人と現在の恋人が手紙(「玉蘭」では日記)を通じて交錯するストーリーは台湾映画「海角7号」で見たことがあるな~。
それから、新旧の恋人だから4人の登場人物の語る章立ては、1Q84の章立てにも似ているな~。
個人的にはデジャビュになるが、「玉蘭」は2001年に刊行された小説だから、この小説のほうがご本家なんですね。


自動車企業の社員目当ての娼婦にまで身を落とした有子には驚くが・・・・このあたりが桐野夏生の独壇場というか、いかにも現代の日中の経済関係が現れています。
いっぽう、大叔父の質(ただし)は陸に上がった船員であり、戦後の復興期でも浪子を失ったあとの喪失感を引きずり自殺を決意したのです。


小説の最後は質の後日譚のようになっていて、桐野夏生にはめづらしく、なんとも暖かいので・・・・人生捨てたものではないと小説を読む醍醐味を味わったのです。

桐野夏生の実在の大叔父を題材にした小説であったことが、 桐野夏生公式HP に書いてありました。



恋人、仕事すべてを捨てて上海に留学した有子の元に、若き日の大伯父が幽霊となって会いに来た。70年前、戦時下の上海で大伯父は一人の女を愛した。時を超えて飢えた魂の孤独を抱えながら生きる男女。

『玉蘭』

作者のコメント
 私の大伯父、萩生質は昭和29年に一通の手紙を残して失踪しました。彼は戦前の上海に住んで、上海・広東間の貨客船に乗っていた船乗りです。その話を元に、現在と過去を交錯させた物語を作ろうと思い立ちました。構想したのはかなり古く、『OUT』を書く前のことです。その時、上海の取材も終えていましたので早く書かなくては、と思っていたのですが、逆に思いが強くて取りかかれませんでした。それで、「小説トリッパー」で1年半連載した小説です。1回に100枚書く、という形式による縛りを、どう使うかと悩みました。結果、主要な登場人物のそれぞれの思いを書くことにしました。
 女主人公の有子は複雑な性格です。有子を好きになるか嫌いになるか、でこの小説の好みがはっきりした感がありますね。でも、複雑な分だけ、現代を生きる女性の悩みや苦しみの一端が覗けたのではないかと思うのですが。
 苦労したのは、70年前の広東の状況。上海は沢山あるのですけど、広東は全くないのです。広東の租界地である沙面と市街地とを隔たる川で、質と浪子が別れるシーンを書きました。危険な市街地に取り残された浪子の姿が、沙面側にいる質のところから川霧の向こうに見え隠れするという場面です。去年、テレビの仕事で現地に行ったら、川は資料の通りあるのですけど、すごく狭かった。あちゃーと思いました。でも、小説世界はこれでいいのだと自分で勝手に納得しています。


異国での語学学校に集う日本人と言えば・・・・
大使もかって、仕事を捨ててパリの語学学校に通ったことがあるので、これまたデジャビュであったのかもしれないのです。

海角7号





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Last updated  2010.05.25 21:50:30
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