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2011.03.26
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カテゴリ: 歴史
図書館でこの本を手にしたが、「古代に日本人と朝鮮族との会話で、どんな言葉が使われていたのか?」という興味がわくんですね。


「古代日本人と外国語」湯沢質幸著、勉誠出版、2010年刊


<日渤交流>
 東アジア各国、各地の接触や交流は、古くから今日に至るまで絶えることなく続いてきた。東アジアの一員である日本も、中国や朝鮮半島諸国、そのほかいろいろな国々と交わってきた。国と国が交われば、必然的に母語を異にする人々の接触も産まれてくる。この場合、初めてであった時には身ぶり手ぶりで意思のやり取りをせざるをえないが、接触が深まるにつれ、おのずから言語による意思疎通が図られるようになる。
渤海国

 では、古代東アジアでは、その時そこでどんな言語が用いられたのか。
 古代、8、9世紀、日本ともっとも頻繁に公的な交流が行われた国は、アジア文化発信地の唐でもなければ、もっとも近い隣国新羅でもなく、渤海であった。
 日渤交流の経緯は、すでにかなり細部まで明らかにされている。それは、日本側資料が比較的豊富に残っていることによるが、実はその中には、断片的ながら言語に関係する情報も少なからずある。その一つ一つをつなぎ合わせてゆけば、日渤間で用いられていた言語が何だったかが、分かるのでないか。

 渤海国は668年に建国され、926年に滅亡した。朝鮮半島北部から満州、沿海州を勢力範囲とし、みずからは唐・新羅連合軍に滅ぼされた高句麗(高麗)の復興した国と主張した。そして、唐や日本はそれを認めた。特に日本は727年に初めて渤海使が来朝した時に、早くも高句麗の末裔と認めた。日渤両国の交流はその後200年近く続き、919年の渤海使で終わりを告げた。200年間、渤海使は34回(35回とする説もある)、日本からの送師・遣渤海使は合わせて13回を数える。これは日本古代における外国との交流にあって、決して少なくない回数である。例えば、この間、遣唐使は7回派遣されただけである。また、新羅は779年を境として、日本への公的な使者の派遣をやめた。
 日渤の交流は、当初は唐と新羅への対抗という政治的、外交的必要性から始まった。けれども、日本と唐との交流はその当時においても続けられていたし、また、その後渤海と唐との和解も成立したので、まもなく渤海側はもっぱら商業活動に、日本の場合は主として唐への副次的な交通路確保へと、その目的を変えていった。そして、それとともに、もともと日本への政治的、外交的影響力をほとんど持っていなかった渤海の、日本の外交における比重もさらに軽くなっていった。とはいえ、これまで述べてきたように、交流自体は相変わらず頻繁に、しかも友好的に行われていた。鴻ろ館(迎賓館)で催される歓迎の宴は、まさにそれを象徴している。
(中略)
ところで、渤海語とは、いったいどんな言語なのだろうか。また渤海語では何語が用いられていたのだろうか。
 渤海国で用いられていた言語としては、満州語、高句麗語(朝鮮語の一方言)、マッカツ語など、いろいろな言語が挙げられている。渤海の国土や東アジアにおけるその位置などからして、とにかく、複数の言語が話されていたことだけはまちがいない。ただ、その中で何が有力だったのか、どの地域で何が話されていたのかということになると、資料不足のため今日まで定説を見ない。
(中略)
 朱国シン、魏国忠両氏は、「新唐書」や「唐会要」などの中国資料、あるいは837年の渤海遣唐使漂着の時に大宰府が大唐通事を送ったことから、初めは渤海の有力民族であるマッカツ族の言語、すなわちツングース語系のマッカツ語が「国家の公用語」であったが、渤海の中国化により中国語が公用語になったとする。

<日渤間の外交用言語>
 渤海にとって大国唐は、建国当初から単なる隣国にとどまらない存在だった。万事、唐を手本とした渤海にとって、中国語は、海を隔てた隣国日本の言語とは比べものにならないくらい、身近で重要な言語だった。また、同じく中国文化を模範としていた島国日本にとっても、中国語は何よりも大切な外国語だった。一方、八世紀の一時期を除くと、政治的、外交的に渤海は日本にとって、逆に、日本にとって渤海は、必ずしも重要な国ではなかった。これは、つまり、お互いに相手国の言語がさほど重要でなく、したがって、一生懸命学習すべきようなものでなかったということである。言い換えれば、日渤間では、もともと日本語や渤海語は、外交用言語に選ばれる可能性などなかったということにほかならない。ひるがえって、中国語は両国民にとってあこがれの的であり、学習しがいのある言語であった。このように、日渤両国における日本語・渤海語・中国語それぞれの位置に目をやると、日渤間の外交用言語として中国語が採用されたのは、一つの必然だったということがよく分かる。

p140~147
<仏教界の漢音>
 日ごろ「妙法蓮華教」については、呉音の
(みょうほうれんげきょう)
に慣れ親しんでいた人達が、天台宗寺院で漢音による
(びょうほうれんがけい)
あるいは、禅宗寺院で鎌倉期に到来した唐音による
(びょうはれんがきん)
を聞いたら、「あれっ!」とか「ウン?」とか、何かを感じないはずはない。そして、それに耳を驚かす、何か新しいものがあることを実感する。

漢音が一部仏典にシェアを持った天台宗、真言宗それぞれの開祖最澄(776-822)と空海(774-835)は、804年、同時に入唐した。平安初期、この二宗ではその弟子達もあいついで唐に渡って修行し、自宗の発展に力を尽くした。平安新仏教二宗は、奈良末期以降、新仏教を求めていた日本朝廷の要請に応える形で成立したが、この新宗教の成立・発展と、旧音=呉音支配の仏教界における、漢音のシェア獲得とが無縁だったはずがない。
 漢音は、どうして両宗に食い込めたのか。
 (中略)
 漢音は、旧音=呉音の中に侵入した。魔力を振るって平安二宗をアッピールしつつ、そのアイデンティティの確立に寄与した。その点において、二宗にとってなくてはならないものとなった。ところで、仏教界に対しては、平安新仏教成立以前から、朝廷による漢音強制がなされていた。中国文化による新しい国造りを目指していた朝廷は、その一端として、その当時の中国仏教を摂取しようとした。
 ところが、方針が変わった。804年の法令で、仏典の読解に抜群の力を持っていれば、漢音を免除するというのである。
 (中略)
 漢音はその魔力でもって、天台・真言二宗に少しばかりのシェアを持てた。けれども、この二宗における主流は、やはり呉音であった。天台宗における「法華経」でさえ、実は通例呉音使用なのである。平安新仏教二宗でさえ、呉音を使わざるをえなかった、そのくらい呉音の勢力は強かった。ちなみに、唐音を使用する禅宗においても、もちろん呉音優勢である。仏教界における伝統の強さ、既得権の威力を知らされるとともに、新しさが醸し出す魔力ぐらいでは、伝統の壁をうち破ることなど、なかなかできなかったことが分かる。
p147~150
<儒学界の漢音>
 仏教界のシェア争いを見ると、<漢音がその魔力だけで、儒学界を制覇したなどということはありえない、何か特別の力が働いていたのではないか>としか考えられなくなる。 漢音と儒学界との関係は、第一章で述べたとおりである。両者が密接不可分の関係にあったことは、大学寮によく現れている。中央官僚養成を目的として設立された、国立第一の教育機関である大学寮は、国家の学問すなわち儒学の教授を第一としていた。そして、儒学のテキストを読む音として漢音を選び、その授業を基礎必修科目として学生に課した。そのために選任教官=音博士まで用意した。この方針は、終始一貫微動だにしなかった。もちろん、大学寮におけるこの漢音強制は、一つ寮内だけでなく、寮外で儒教を学ぶ者にも及んでいった。
 古代朝廷は、政治、行政、司法等に関わるすべての者-官僚、学者、文化人、学生など-を、すべて漢音漬けにした。その当時における現代中国音つまり漢音に通じた人材に、儒学を中心とした中国文化を学ばせ、律令国家建設に貢献させようとしたのである。それはまさに、明治政府が官僚や学者、学生などに欧米語を学ばせたのと同じである。
 漢音対策、これは国家構築プロジェクト推進の第一歩であった。高度な政治的判断を背景として実行されたこの政策は、有無も言わさず儒学界から呉音を駆逐した。大学寮における組織的な漢音教育に象徴されているように、その徹底ぶりは、仏教界への漢音強制などとは比べものにならない。ここに古代朝廷の、中国文化摂取における儒学に対する期待と、仏教に対するそれとの落差をかいま見ることができる。
 漢音の儒学界完全制覇、それは政治という外部圧力によって達成されたものであった。


 この本を借りたのは、背が高くスリムな北方朝鮮族の女に執着する大使ならではと思うのだが・・・・
大使の執着と、いま流行っている韓流グループの腰振りパフォーマンスに狂うのとどう違うのか?と聞かれると、はたと詰まるのである。
「時空を超えて異邦の女のエキゾティシズムに」とかなんとか言っても・・・・
「あんたも好きね~」と低次元で、一蹴されるだけである(笑)

ところで、客寄せで期間限定かもしれないけど、無料のWEB新書があるんですね。
朝日新聞社の 原発震災 中越沖地震は柏崎刈羽原発を直撃した
2007年7月16日に起きた新潟県中越沖地震。震度6強の烈震が世界最大の原子力発電所、柏崎刈羽原発を直撃した。震災と放射能災害が複合的に起こる「原発震災」につながりかねない状況に、世界は初めて直面した。原発で何が起きたのか。関係者の証言と資料で検証する。





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Last updated  2011.03.26 15:24:59
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