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2011.04.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
中谷さんの「資本主義はなぜ自壊したのか」を長々と紹介するのは、主に自分の学習の為でもあったが・・・・
TPPというアホな動きを前にして、この本のエッセンスを皆さんに紹介したい為でもあるわけです。

グローバル資本主義(厳密に言うとアメリカ流新自由主義、中国の国家ファンドなど)という怪物に箍(タガ)をはめることは焦眉の急であり、できることなら息の根を止める必要があると思ったりして(オイ、オイ)。

ところで、今や時の人ともいえる保安院の西山審議官。この人はTPP推進の急先鋒なんだそうですが・・・こういう人にこそ読んでもらいたい本です。

「資本主義はなぜ自壊したのか」中谷巌著、集英社文庫、2011年刊


<アメリカ流新自由主義の限界>p242~244
 だが、はたしてアメリカの唱えた資本主義とは「人類普遍の原理」であったのか--金融恐慌の勃発を契機に、いま、このことが問われているのは言うまでもない。
 すでに述べてきたように、グローバル資本主義の拡大は世界経済に未曾有の不安定をもたらしただけでなく、日本やヨーロッパ、あるいは新興国において深刻な社会の分裂と社会的な価値の棄損をもたらすことになった。すなわち、格差社会の出現であり、地球環境破壊であり、安心・安全社会の崩壊である。
 だが、これは当然の帰結であった。
 なぜならば、アメリカ流新自由主義においては、文化や社会といった要因は考慮の外に置かれるのが普通だからである。文化、伝統、歴史や社会の紐帯といったものは、むしろ保護主義や規制の温床になる。
 これまで誰も考えなかったこと、前例のないことを実現するイノベーションこそが資本主義のエンジンであるとする考え方に立てば、歴史や伝統などは資本主義経済の「健全な発達」にとっては邪魔ものでしかないのだ。2008年秋のアメリカ大統領選挙でオバマ、マケイン両候補が使っていたキーワードは「チェンジ」であったが、絶えず変えていないと落ち着かないアメリカ人のDNAがいまだに強く残っていることを印象づけていた。
 もちろん、この「チェンジ」の中身が問題になる。新自由主義がもたらした弊害を認識し、それを是正するための改革ならばよいが、彼らの演説を聞いている限り、そのような気配はあまり感じられなかった。やはり、アメリカの原点は個人の自由であり、そこを制限して社会的な価値、伝統的価値の見直しを図るという発想はなかなか支持されないのである。
 その意味において、ポランニーが市場主義を「悪魔の碾き臼」として批判したのは正しかった。アメリカ式の資本主義が言うところの「普遍性」とは、結局のところ、文化の差異、あるいは社会伝統といったものを排除した、いわば人間社会の非合理的な側面や因習などがない、仮想的な真空空間において成立するものにすぎなかった。そして、その中で暮らす人々はいわばアトム的な、孤独な存在であり、人間同士のつながり、そこから生まれる苦しみや感動などとは無縁の存在にすぎなかった。
 このような社会像はアメリカという理想国家の建設に邁進する「前へ前へと進むことに意義を見出す」人々にはさほどの違和感もなかったのかもしれない。しかし、それを普遍的な原理、理想だと勘違いしたところにアメリカ式の新自由主義の大いなる誤謬があったと言わざるを得ない。
 実際のところ、アメリカが理想と信じてやまないグローバル資本主義の拡大も今や、大きな壁にぶち当たってしまった。市場原理の作り出した格差によって、アメリカ社会そのものが求心力を失いつつあるように見える。そして、モラルなき利益追求によってグローバルな金融資本市場そのものが破綻の淵に立っている。さらに言えば、「前へ前へと進む」果敢な経済活動が奨励されたことで引き起こされた環境破壊、資源の争奪戦、食料価格の高騰は世界中の虐げられた人々の存在を脅かすほどにまでなってしまった。


【予備知識】
ウィキペディア 本地垂迹


<一国家・一文明>p266~285
 さて、本地垂迹の説明が長くなってしまったが、日本のように古来自然崇拝を維持しつづけてきた国は、少なくとも先進国と呼ばれる国々の中には存在しない。そもそもG7(先進国主要7ヶ国懐疑)の中で、非キリスト教国は日本だけである。
 たしかに今や、中国やインド、あるいは韓国など、日本以外の非西洋・非キリスト教文明圏からも経済的に台頭している新興国家が現れているわけだが、しかし、これらの国の人々が日本人のように一木一草にも神が宿ると考え、自然を守ってきているかといえば、そうとは言えない(たしかにインドで広く信仰されているヒンドゥー教は日本と同じような多神教であり、自然現象に起源を持つ神々も崇拝しているが、それが自然崇拝に結びついているというわけではない)
 ではいったい、なぜ同じようにアジア圏にあり、キリスト教の影響が少ないにもかかわらず、日本だけがこのような自然崇拝の気持ちを古代から維持しつづけてきたのだろうか。
 その理由を考えていくときに、私たちはまず日本という国が世界的に見て特異な歴史を経過してきたことに注目すべきであろう。
 これはハーバード大学のサミュエル・P・ハンチントン教授もいっていることだが、地球上の主たる文明の中で有史以来「一国家・一文明」を維持してきたのは、日本しかない。大著「文明の衝突」の中でハンチントンは地球上の主要な文明を七つに分けているが、中華文明にせよ、イスラム文明にせよ、そしてもちろん西欧文明にせよ、大規模な民族移動や異民族支配を受けた歴史を有している。
 (中略)
 現在の中国人と、「史記」の時代の中国大陸の住民とは、人種的に見ればまったく違う集団であるというのが、今や歴史学者の定説である。4世紀初頭から始まった大戦乱、いわゆる五胡十六国時代の主人公になったのは、鮮卑族をはじめとする周辺の騎馬民族であり、一世紀以上にわたる戦乱で、漢民族はほとんど滅びたと言われている。そして、この後に中原の覇者となった隋帝国・唐帝国の中心となったのは、他ならぬ鮮卑族であった。さらにその後も戦乱は繰り返され、モンゴルの元帝国、女真族の清帝国などができているわけだから、「中国4000年の歴史」といっても、そこには人種的連続性はないのである。 (中略)
 先にも述べたように、およそ世界の先進国の中で、日本は「一国家・一文明」を維持してきた例外的な存在である。世界がグローバル資本主義の荒波によって揺さぶられている今日、日本の持つユニークさから可能になる国際社会への貢献はますます求められているのではないだろうか。


民族主義に目覚めた大使は、中華文明に別れを告げ、日本の美意識にまで耽溺するのであった。

<日本の美意識>p280~283
 さて、縄文時代がおよそ1万年も続いたことは、その後の日本文化にとって決定的な意味を持っていると私は考える。
 すでに述べたように、日本列島に後からやってきた弥生人たちは縄文文化を抹殺することがなかったわけだが、それは一つには縄文人の文化そのものが豊かで、強固な精神的地盤を確立していたことも関係しているのではないだろうか。だからこそ、弥生人、そしてその後裔である古墳時代の人々は縄文人の信仰した聖地をそのまま活かし、また、自然に対する畏敬の念や崇拝心を受け継いだのであろう。
 また、その後の時代、仏教や中国文明といった高度の文明が入ってきても、神道が排除されることがなく、それどころか本地垂迹説のような日本的神学が作られたというのも、やはり日本文化の基礎に、この1万年にわたる縄文時代の精神が脈々として生きているからではないか――このように考えていかないかぎり、なぜ日本人だけが「自然との共生」という独特の哲学、美意識を持ち得たのかが理解できないと私は考えるのである。
 こうした縄文の思想は、単に自然を崇拝し、自然と共生するだけのことに終わらない。たとえば日本人には、「素朴の美」を愛する、独特の感性があるが、これもまた縄文的なものだと言えるだろう。
 西洋の一神教においては「自然とは征服・管理するものである」という思想が基本にあると述べたが、このような思想においては「自然そのまま」、すなわち素朴な造形は高等な美であるとは評価されない。 
 人間が万物の霊長であると考える一神教的土壌においては、美術品や工芸品にしても、優れた人間のセンスによって精緻に手を加えられ、さまざまに意匠を凝らしたものがより上等であるとされる。バロックやロココの美とは、まさにその象徴である。これはイスラム圏でも、あるいは中華文明圏でも基本的には同じである。
 ところが日本人の場合は、たしかに一方で繊細さや壮麗さを好むセンスもあるが、それと同時に、何も手を加えない、素朴なるものに美を感じるセンスも持っている。
 たとえば、それが如実に表れているのが、戦国時代に生まれた茶道である。千利休が完成させた茶道においては、細工を凝らした茶器は好まれない。カンボジアやベトナムあたりで庶民が使っていたとおぼしき、形も少々歪んだような陶器にこそ「わび・さび」があると感じ、戦国大名はそうした素朴な茶器を手に入れるためには万金を投じても惜しくはないと感じていた。力と富を得れば、「金ぴか」に走るヨーロッパや中国の王族や諸侯の行動パターンといかに違うことか(この点については、呉善花「日本的精神の可能性」が面白い)
 それは宗教芸術においても同じである。本来、インドや中国の仏教において、釈迦像や菩薩像とはきらびやかであることが尊さの象徴であるとされてきた。したがって、仏像は金属製であったり、あるいは金箔で被われていた。また、仏教寺院そのものも朱塗りで豪奢に作るのが普通であった。
 ところがこの仏教が日本に入ってくると、とたんに質素を好むようになる。たしかに初期の仏教においては東大寺のようにその富貴を誇る、立派な施設が作られたが、時代を経るにしたがって仏像も木肌をそのまま活かしたようなものが好まれるようになった。寺にしても禅宗などでは質素な寺院が営まれたし、その庭園も石と白砂だけの石庭が現れるようになる。
 このように日本の場合は、文化程度ああるいは経済レベルが上がるにしたがって、むしろ豪奢さよりも簡素さを追求するのが上流であるという感覚がある。能や詫び茶も「とことんそぎ落とす」ことが最高の美を生み出すという考え方である。西洋でこのような感覚が生まれてくるのは、つい最近のことと言っていい。
 たとえば建築において、ドイツのバウハウスのようなシンプルなスタイルが生まれたのは20世紀初頭にすぎない。これに対して、日本で簡素な建築の極北と評される桂離宮が作られたのは17世紀のことである。このことから見れば、日本人の美的センスは西洋の数百年先を行っていたとも言えるし、西洋人が「自然とは征服すべきものである」というドグマから脱したのは、ついこの頃のことであるということも分かる。


最近のケイタイにはOCR機能付きのものがあり文字資料写真を文字データに変換できるのだそうだ(大使はケイタイを持たないが)

だから、この本で学習しようという意味もあり、労苦を厭わず書き写した次第なんです。
幕末ころまでは、本をまるごと書き写したそうだが、大使の場合、打ち写したというべきか。
人差し指だけでは遅いので、ブラインドタッチの練習をせなあかんな・・・いやいや訥々と、効率のよくないアナログ的所業がええんやないか♪

なお「懺悔の書」シリーズは今日で打ち止めとしますが、この後は左側の「資本主義はなぜ自壊したのか」1,2に入れておきます。








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Last updated  2011.04.16 12:32:52
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感想をちょっと・・  
マックス爺  さん
ドングリ大使さん今日は~!!

1)中国人が古代の頃と現代とでは民族的に全く異なる
との話にはビックリ。なかなかそうは考えませんが、
言われてみればなるほどそこまで入れ替わってしまったんですねえ。

2)縄文人と弥生人との競合&交流については、私も
いろいろ考えています。初期のころは敵対することも
あったのでしょうが、やがて婚姻関係が広まることによって
どんどん混血が進んだと考えています。
つまりその末裔である私達日本人は、南方諸島の民族など
との混血も含めて、色んな血、色んな文化を引き継いだと
思っています。

3)それが日本列島に長い間留まったことで、いわゆる
日本的な独自の文化が醸成されたのでしょうね。
色んな文化がこの列島に伝わっても、それを自分なりに
消化し、取り入れる部分があれば上手に取り入れたのが
私達の先祖だと思います。(今もその傾向は残ってます
けどね:笑) (2011.04.16 16:58:55)

Re:感想をちょっと・・(04/16)  
Mドングリ  さん
マックス爺さん いらっしゃい。
>1)中国人が古代の頃と現代とでは民族的に全く異なる
>との話にはビックリ。なかなかそうは考えませんが、
>言われてみればなるほどそこまで入れ替わってしまったんですねえ。

<私も「中国4000年の歴史」とか、かまされて・・・へ~と思っていたけど、これだけ入れ替わっていることに驚きます。

>2)縄文人と弥生人との競合&交流については、私も
>いろいろ考えています。初期のころは敵対することも
>あったのでしょうが、やがて婚姻関係が広まることによってどんどん混血が進んだと考えています。
>つまりその末裔である私達日本人は、南方諸島の民族など
>との混血も含めて、色んな血、色んな文化を引き継いだと
>思っています。

<縄文人というネイティブの精神が今にまで受け継がれていることを感じますね。
ネイティブを蹂躙したアングロサクソンの開拓精神と大きく違っています。

>3)それが日本列島に長い間留まったことで、いわゆる
>日本的な独自の文化が醸成されたのでしょうね。
>色んな文化がこの列島に伝わっても、それを自分なりに
>消化し、取り入れる部分があれば上手に取り入れたのが
>私達の先祖だと思います。(今もその傾向は残ってます
>けどね:笑)

<鎖国しながら、いいところは取り入れるという要領の良さがあったわけですが・・・・
TPPで開国して、悪いところを取り入れようとする勢力が生まれています。・・・・アホちゃう?
(2011.04.17 13:52:26)

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