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2011.05.11
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カテゴリ: 経済
菅さんが、エネルギー政策を白紙にもどして見直すと表明しましたね。
「原子力政策大綱」が書き換えられることになるわけだが・・・


5/10 原発の役割、原子力委が再検討 今後20~30年 より
原子力政策の基本方針を決める内閣府の原子力委員会(近藤駿介委員長)は10日、リスク(危険度)やコストなどをふまえ、今後20~30年の原発の役割について再検討することを決めた。

 東京電力福島第一原発の事故に関する当面の対応について「原子力発電をとりまく社会環境は大きく変化した」とし、事故の検証結果を待たずに重要課題の整理を始めるという。

 近藤委員長は10日の定例会で「総理にもお会いして、このことの重要性を申し上げた」と話した。今後、有識者から意見を聴きながら検討する。

 原子力委員会が2005年にまとめた原子力政策の基本になる「原子力政策大綱」は、昨年から改定作業を進めていたが、事故を受けて4月に中断していた。

 大綱では、使用済み核燃料をリサイクルして使う「核燃料サイクル」の方針を明記。国内の原子力発電の比率を2030年以降は30~40%かそれ以上を目指すことなども盛り込んでいる。また、燃やした燃料以上にプルトニウムを燃料として増やす高速増殖炉を「2050年ごろ」実用化するとしている。(小堀龍之)


政府、原子力村、有識者など入り乱れて検討が始まるわけですね。
定検後の原発再開の目処はたたないが、待ったなしで電力は必要である。それでは代替エネルギーは何か?ということで・・・・
図書館でエネルギー関連の雑誌ENECO-5月号を借りてきて、調べてみました。
失われた原発発電能力の穴埋めは、短期的にも中長期的にも、液化天然ガス(LNG)が主軸になるだろうとのことです。

パワープラントにも従事した大使から見ても、現実的な代替エネルギーとしては天然ガス発電かなと思うわけです。

ENECO-5月号(日本工業新聞社)から引用します。

p15「エネルギー基本計画見直しの行方」岩間剛一
<安全かつ安定的な供給こそが第一>
 福島第一原発事故の深刻化を受けて、政府は「エネルギー基本計画」の見直しに着手することになった。昨年6月に閣議決定された現行の基本計画は、原発を2030年までに14基以上増やすなど原発の推進を前提としていたからだ。当面はその代替の多くを火力発電が担うことになる。このため、地球温暖化防止の観点からは二酸化炭素(CO2)排出増につながることは避けられないだろう。だが、低炭素社会を志向するあまり、「エネルギーの安全かつ安定的な供給」という視点を軽んじてはいけない。その意味で、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーにも、まだまだ課題は多い。一方で、日本の火力発電のエネルギー効率の高さは世界に誇れるはずだ。例えば東北電力東新潟火力発電所のように、液化天然ガス(LNG)を燃料とするコンバインドサイクル発電で世界最高レベルの熱効率50%を超える発電所があり、電源開発(Jパワー)の磯子火力発電所(横浜市)は、石炭火力発電所として43%という驚異的な効率を達成している。資源の乏しい日本が今後のエネルギー計画を考えるうえで示唆に富むものといえる。

<完全に瓦解したエネルギー基本計画の大前提>
 エネルギー基本計画が大前提としていたものは、「地震というリスクに対する絶対的な安全性」であり、「国民の理解・信頼」であった。しかし、「想定外」の地震による緊急炉心冷却設備(ECCS)の破損、巨大な津波に対応できなかった補助電源装置の不備、事故発生後の不適切で不透明な危機時対応などによって、もはや大前提は完全に崩壊してしまった。
(中略)
 電源開発(Jパワー)が青森県大間町で進めていた原発計画も建設作業が中止された。日本全国で稼動している原発についても安全対策の強化が進められており、原子力発電のコスト優位性がもはや失われつつある。世界的にも、今回の福島第一原発事故を受けて、ドイツは稼動中の原発のうち7基を一時的に停止し、反原子力発電政策を掲げる緑の党が選挙で躍進を遂げ、将来的に原発廃止計画を打ち出している。スウェーデン、イタリアも原発再開への動きを凍結した。ベトナム、タイをはじめとした途上国も原子力発電の新規導入に対する見直しを開始している。
 昨年、世界のエネルギー業界で話題となった低炭素エネルギーとしての原子力発電の新たな復興という「原子力ルネサンス」は見直しを余儀なくされ、日本国内において20年までに9基の原発を新増設することも、地元住民の了解を得られることは事実上不可能となり、絶望的である。米国においては、79年のスリーマイル島の事故以来、30年以上にわたって原子力発電所の新設はまったく行われていない。
 今回の福島第一原発の事故は、事故被害のレベルがスリーマイル島事故を完全に上回っている。日本のみならず世界においても原子力安全神話は完全に崩壊した。もはや今後30年近くにわたって、現実的な発電方法は、シェールガス革命によって資源的に豊富であり、かつ放射能リスクのないガスタービンを用いた天然ガス発電、石油火力発電、各企業におけるディーゼル発電機による自家発電である。東電においては停止中の東扇島火力発電所(川崎市)、鹿島火力発電所(茨城県)などの再開を決めており、今後の電力需要期である夏場と12年冬場の計画停電の縮小に向け、国民生活と各企業の生産活動における石油火力発電、天然ガス火力発電の重要性はますます高まっている。
 過度な原子力安全神話から原子力依存に力点を置きすぎたいびつな日本のエネルギー政策は、石油と天然ガスという優れたエネルギーの利用という現実に根を張った視点で、根本から見直しを求められているのである。
和光大学経済経営学部 経済学科長 岩間剛一


更にENECO-5月号(日本工業新聞社)からです。

p20~21「安定供給と環境負荷低減を両立させるLNG」石井彰
 福島第一原発の事故の行方は、依然として予断を許さない危機的状況が続いているが、その失われた原発発電能力の穴埋めは、短期的にも中長期的にも、液化天然ガス(LNG)が主軸になるだろう。
 従来、LNG火力発電はミドルロード電源と位置づけられてきたが、当分の間、常時フル稼働する必要がある。ピークロード用電源と位置づけられて低稼働運用されてきた石油火力も、フル稼働されることになるが、さらに最短で数ヶ月で設置可能なLNG火力の新設にも取りかかる必要がある。

<短期的なLNG代替>
 福島第一原発の発電能力は合計約900万KWなので、その全量を単純にLNG火力の焚き増しで補填すると、年間約900万tのLNGの追加需要となるが、通常でも夏場はフル稼働になっていることや、石油火力の稼働率アップとのバランスを考えると、LNGは年間300万~500万t程度の追加需要となるものと推定される。
 世界のスポットないしは短期契約可能なLNGは、全世界のLNG生産能力(年間約2億6000万t)の約2割に相等する約5000万t/年程度あるので、量的調達には問題ない。ただ、4ヵ月後に迫る夏の電力需要最盛期には、スポットLNG価格が上昇する可能性は高く、また欧州や韓国の季節需要がピークになる冬場に向かって、さらに価格上昇する可能性はある。
 また、イエメンの騒乱が拡大して、年産670万tのLNG出荷が止まる可能性もあり、場合によっては、2008年の100万BTU当り20ドル(原油換算バレル約120ドル)という悪夢の再現の可能性も排除できないが、石油価格より高くなることはないだろう。

<中長期的なLNG代替> 
 米紙ニューヨークタイムズが「天然ガスが本命へ」との記事を、今回の原発事故直後の3月21日にいちはやく掲載したように、世界的に中長期の天然ガス需要が、再生可能エネルギーや石炭をしのぐ勢いで大幅に増大し、世界的な天然ガス時代の到来は確実になったといってよいだろう。
 問題は、原発代替の天然ガスシフトが起きるか否かではなく、そのスピードと程度がどのくらいかということっである。理由は明らかだろう。
 原子力の長所は、比較的コストが安い安定電源であり、かつ発電時に二酸化炭素(CO2)をほとんど出さないことだ。代替電源はこれに準ずるエネルギー源でなくてはならないので、すべての電源の中でCO2排出量が最も多い石炭は、コストが一番安くても主要代替電源になり得ない。
 石炭のCO2排出量の多さを緩和するため、「石炭+CO2の回収・貯留(CCS)」も大きく提唱されてきたが、大幅なコストアップになることと、枯渇油、ガス田ではなく、一番期待されている耐水層へのCO2地中処理をした場合には、長期的、高コストの準備処理をしない限り、地質リスクが大きいことが最近判明してきた。
 再生可能エネルギー、特に太陽光発電はCO2を排出しないものの、コストが5倍以上と著しく高く、稼働率が原理的に1割程度の不安定電源なので、これも主要代替電源にはなり得ない。CO2排出量削減の観点からのみ、先進諸国で実質補助金付きで限定的に導入が強制化されることになろう。
 これらに対して、天然ガスコンバインドサイクル発電は、CO2排出量が発電量当り石炭火力の三分の一程度で済み、かつ発電コストは原子力発電と同等、ないしはそれ以下であり(国によって異なる)、安定電源にも、バックアップ電源にも、どちらでも運用可能である。しかも、すべての電源の中で最も工期が短く小型であり、パーフェクトではないが、すべての選択肢の中ではベストである。

<需要増にも十分対応できる潜在供給力>
 今後の福島第一原発事故の展開によって大きく左右されるだろうが、原子力代替の新規LNG需要増は、今後10年程度で5000万t/年程度になる可能性があるが、現在、豪州だけでも既存案件の拡張分も含めて新規案件が12件、合計8000万t/年の新規LNG計画があり、潜在供給力は十分すぎるほどである。
(中略)
 ただし、日本でのLNGの問題は、これまでLNGの長期輸入契約の大半が石油価格準拠の価格フォーミュラとなっており、世界の中で天然ガス価格が最も高いことである。ここ数ヶ月の中東動乱と世界的な金融緩和によって、原油先物市場へ投機資金が大量に流入して原油価格が高騰しているので、日本の輸入LNG価格も、LNGの需給状況とは一切関係なく再び上昇してきている。
(中略)
 しかし、世界的、長期的に見れば、北米において過去数年で生じた「シェールガス革命」「非在来型天然ガス革命」による天然ガスの埋蔵量と生産量の爆発的拡大で、いずれアジア太平洋地域のLNG価格も低下してくると考えられ、3月中旬に開催された「GASTECH 2011」では、近年の高価格希求、石油価格準拠価格の死守の急先鋒であった英蘭系メジャー:ロイヤル・ダッチ・シェルもこの可能性を認めている。また、買い手側はそれが実現するように、購入・調達・投資戦略を再構築する必要があろう。









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Last updated  2011.05.13 12:44:34
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