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2011.05.15
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カテゴリ: 経済
TPP反対の為には何にでもすがるということで、ただいま鋭意エマニュエル・トッドに取り組んでおります。
エマニュエル・トッドの言葉に「サド・マネタリズム」というきつい表現がある。
おお♪ さすがに、アメリカ嫌いのフランス人の決め付けは鋭いではないかと・・・・
いっぺんに、エマニュエル・トッドが好きになったのです。

松岡正剛の千夜千冊/エマニュエル・トッドより引用します。

経済幻想
類書がない本だ。
家族人類学や歴史人口学の成果からグローバル経済のサド・マネタリズムを告発した。
たんに告発しただけではない。
その資本主義的ルーツがアングロサクソン型の歴史的家族制度にもとづいていることを証した。
それとともに、ドイツや日本の社会は新自由主義にあてはまらないだろうと暗示した。
反グローバリズムの狼煙が、家族の思想によって議論されるなんて、まことにもってユニークだ。 
**********************************************************************
 歴史人口学や家族人類学が世界をどう見るのか、とりわけ冷戦終結後の帝国アメリカの姿とグローバリゼーションに席巻された現代世界をどのように見るのかということが、本書を読むおもしろさである。

 トッドは90年代の高度資本主義社会を「たえまない後退の悪夢」とみなした。とりわけ9・11以降のアメリカを「無力感に襲われた国」と観察し、そこには「世をすねた観客」ばかりがいると評した。

 また、今日の世界を覆っている国際経済は「プラグマティックな経済観」と「スコラ的な経済観」の組み合わせにすぎないと見た。前者はアメリカのビジネススクールが教えることができる程度のもので、「有用な連鎖」ばかりを重視し、後者は事実が理論と異なればただちに理論が示すほうを選ぼうとする経済観で、現実を理論のほうにねじまげていく。この二つの経済観が奇妙にまじりあっているのが、21世紀初頭の経済社会の現状だとみなすのだ。

 ケインズにもフリードマンにも与しない。ホモ・エコノミクスの合理性に絡めとられている経済理論そのものに、ああいう理論は合理的というより、「場所も時も選ばない形而上学だ」と文句をつける。

 とくにアメリカがシカゴ学派とウォール街によってマネタリズムに暴走していったことについては、辛辣だ。いや、EU統合後の共同通貨ユーロの導入がいいと言うのではない。アメリカ式マネタリズムもヨーロッパ式共同通貨も、その根っこは“貨幣神秘主義”というべきものであるが、プロテスタンティズムの歴史的伝統から発展していった金融工学に及んだマネタリズムと、ヨーロッパ大陸の人類学的な資質というもいうべきものから生じた「マースリヒトの通貨」とは、同じ思想で考えるべきではないというのである。

 たしかにそうだろう。WASPがもたらしたマネタリズムは、スーザン・ストレンジが言ったとおりのマッド・マネーだったのだ。もっともトッドは、これをマッド・マネーとは言わずに「サド・マネタリズム」などとも揶揄してみせた。


 経済理論そのものを疑問視して、シカゴ学派とかウォール街の罪状を追求する姿勢がいいですね。
 ところで、wikipediaによれば、エマニュエル・トッドは、ハンティントンを根本的に否定したんですね。


エマニュエル・トッド より
<旧世界と新世界の文明の衝突 >
 トッドは家族構造と人口統計に基づいて世界を認識している。このため、サミュエル・P・ハンティントンの『文明の衝突』を全くの妄想と見なしている。

 ハンティントンは同書で世界を 8 文明に分け、カトリックおよびプロテスタントからなる西欧文明が、イスラム文明および中華文明と対峙しているとした。これに対しトッドは、イスラム圏で着実に識字率が上がり、出産率が下がっていることを示し、イスラム圏はむしろ西欧に近付きつつあることを指摘した。この近代化の過程では必ず伝統の崩壊による混乱が生じるのであって、イスラム圏は現在この移行期危機を経験しているに過ぎず、他の地域と本質的な違いは無いと述べた。また、世界の歴史は主に先進国で形作られるのであって、イスラム圏はそもそも最重要の地域ではないとした。

 またハンティントンは、日本は単独で日本文明を構成し、現在は西欧文明に従っているが、いずれ中華文明に従うだろうと予想した。このような日本特殊論は以前から一般的であり、日本人を本質的に異質な民族と見なす主張は多い。しかしトッドは家族構造の研究を通じて、日本が非常にヨーロッパ的であり、特にドイツやスウェーデンに近いことを見出し、日本特殊論を否定した。トッドは、この発見は生涯最大の衝撃の一つであったと述べている。トッドは頻繁に日本に言及するが、それは日本がヨーロッパと同類であるという確信に基づいている。

 日米欧は世界経済の三極であるが、ヨーロッパ経済の中心はドイツであり、社会的、長期的、工業的である点で日本経済とよく似ている。これに対しアメリカ経済は個人主義的、短期的、脱工業的であり、資本主義の形態が異なる。また日欧は長い農業の歴史を持ち、資源の希少性を十分に認識しているが、アメリカは技術を持った人々が未墾の土地に作った社会であり、資源の希少性に一度も直面していない。トッドはこれらから、特殊なのはアメリカであって、真の文明の衝突は旧世界と新世界の間で起きており、現在の問題は日欧の連係の弱さにあるとした。この点で、欧米を一つの文明にまとめたハンティントンを根本的に否定した。


 トッドとハンティントンは日本に注目しているが、日本に対するお二人の相違点が興味深いのです。

 ハンティントンは日本はいずれ中華文明に従うだろうと予想したそうだが・・・それはあり得ないと大使も思うわけです。
こうなったら、日本が組むべき相手はG2を外して、EU、韓国、台湾、インドあたりかな~とも思うのである。
(中華文明に抗うためにも、トッド説を勉強せなあかんな)

 ところで、朝日新聞の経済コラムに、クルーグマンという気鋭の経済学者が時々寄稿しているが・・・・
多分、クルーグマンからはTPP反対の言説なんか出ないと思うのです。
出まかせのクルーグマンにかき回されるより、次はエマニュエル・トッドの「帝国以後」を読まなあかんで!
(リベラルを自認する朝日には、親方日の丸(官僚)のバイアスがかかっているし、経済欄が心もとない朝日は要注意なんでしょうね)

・・・とまあ、榊原英資さんの「フレンチ・パラドックス」を読んで以来、このところフランスづいております。

「アメリカがもはや世界にとって不要になりつつある時に、アメリカにとって世界は必要不可欠になっているのである」--wikipedia 帝国以後 より






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Last updated  2011.05.15 11:24:11
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