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2011.05.19
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カテゴリ: 経済
東電の発送電分離案の動きがあるようです。
発送電分離に現実味が帯びてくるとは一昔前には考えられなかった。つまりそれだけ9電力と通産省原発派からなるエネルギー護送船団体制は強固であったが、今回の東電の失態を受けて、電力業界に対する官主導が芽生えることは(タブーに触れることは)エネルギー政策見直しの本筋といえると思うのです。

この動きは電力会社の地域独占体制の見直しにもつながるし、自然エネルギーやスマートグリッドへの転換も、夢物語ではなくなるかもしれないのです。
でも、しろうと目でも電力各社の困惑、反発は当然でしょうね。


5/16 東電の送電分離案、政府内で急浮上 電力各社は反発も より
 東京電力の発電部門と送電部門を分離する案が、政府内で急浮上してきた。東電福島第1原子力発電所事故をきっかけに長年の地域独占を見直し、新規参入を促すしくみを取り入れる内容だ。ただ、供給体制の抜本的な見直しとなるだけに、電力各社の反発も避けられそうにない。実現に向け課題は山積している。
 日本の電力は電力会社による発電と送電、小売りまでの一貫体制になっている。電力自由化の流れで電力ビジネスへの新規参入組も生まれたが、東電などの送電網を自由に使えるわけではない。
 3月の計画停電の際も電力の小売業者にあたる特定事業者は販売網を断たれた。東電が送電インフラを握るためだ。加えて、電力会社に払う送電線の賃借料は顧客に販売する電気料金の約2割を占めるとされる。送電網を握る大手電力が差別的な取り扱いをして新規参入を阻んでいるとの指摘もあり、電力販売に占める新規参入組のシェアは3%に満たない。
 枝野幸男官房長官は16日の記者会見で東電の送電部門分離について「選択肢としては十分あり得る」と発言。週末には玄葉光一郎国家戦略相(民主党政調会長)も「発電と送電の分離など電力事業の形態の議論を妨げることはない」と述べており、政府・与党で電力会社の地域独占体制の見直し機運が高まっている。


だけど、トラの尾を踏むような「発送電分離」は7年前、電力会社と政治の厚い壁に跳ね返されていたそうです。
また、通産省の下部組織NEDOは今年6月、太陽電池の発電コストを既存電力並みに引き下げる技術開発戦略を発表。スマートグリッドの実証研究にも乗り出そうとしているそうです。
(NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構)
原子力村と自然エネルギー村の利権争いという低次元の争いとならないよう注目しています。


5/18 「発送電分離」は時を経て蘇るのか より 森敦司編集委員

 日本列島を9地域に分割し、それぞれの電力会社が発電から送電、配電(小売り)までを独占する。このシステムを根本から変えようとした官僚がいた。経済産業省(旧通商産業省)の元事務次官、村田成二(65)だ。

電力事業で多様な企業を競わせ、他の先進国に比べて高い電力料金を引き下げ、日本経済を活性化したい──。村田は「発電と送電の分離」に挑み、7年前、電力会社と政治の厚い壁に跳ね返された。

 しかしいま、政権交代を機に、日本の温室効果ガスの大幅削減は国際公約になり、風力発電や太陽光など自然エネルギーの利用急増が不可欠になった。村田が目指した発送電の分離を進めた欧米は、新規参入者も送電線を自由に使えるようになり、自然エネルギーの導入が促進されている。
その村田は、現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長。「送電線網の使い方を改めて考えないといけない」と確信を強めている。

<「電力は自己変革しない」>
 話は10年以上前にさかのぼる。
時の通産相、佐藤信二は、佐藤栄作元首相の次男。元東京ガス会長・安西浩の長女が妻だった。電力業界とは因縁がある。
その佐藤が97年1月、年始の記者会見で、「爆弾発言」を放った。
「発電、送電事業の分離はタブーとされてきたが、大いに研究すべき分野だ」。村田本人は否定するが、半年前まで電力業界を所管する資源エネルギー庁の次長だった村田に近い官僚が振り付けたのは間違いない。

 それまで通産省と電力業界は、強い癒着関係があった。電力業界は不況時には設備投資を前倒しして景気対策に協力。通産官僚の「天下り」も受け入れてきた。国策の原子力発電は官民一体で進めた。
規制に守られ高収益を維持できた電力業界は、東京電力会長の平岩外四を経団連(現・日本経団連)会長(90年12月~94年5月)に送り出し、各電力会社は、その地域の経済団体トップをほぼ独占した。
 力の源泉は、発電から送電・配電まで一貫して担う「発送電一体」にあった。発電所や送電線などの巨額の設備投資と燃料調達を前に、重電メーカーや商社など多くの取引先がひれ伏した。
一方で、90年代のバブル崩壊と景気低迷を背景に、割高な電気代への批判も産業界に出始めた。ところが、「電力側は自己変革しない。その兆しさえなかった」と、村田に仕えたエネ庁の元幹部は振り返る。
「9電力体制」こそが「現代の幕藩体制」であり、このままでは「高い電気代」で日本の競争力が損なわれる。そう考えた村田とその部下たちは電力制度改革に着手する。

 世界では欧州を中心に電力の自由化が進んでいた。新規事業者も含めて競争させて料金を下げ、欧州統合に向けて国境を超える効率的な電力取引市場をつくろうとしていた。
村田は改革の本丸を「発送電分離」と見定めた。電力会社から送電線網を切り離し、新規の発電事業者にも公平に送電線を使わせることが、必要な条件整備と考えた。

<自由化、「小売り」まで拡大>
 官房長になった97年、今度は電力の小売り部門の自由化を仕掛ける。米国の対日規制緩和要望に「電力自由化」を盛り込むため、ワシントンに部下を送った、と業界関係者は語る。00年3月には、電力の大口需要家向けの小売りを、商社や鉄鋼など新規参入者に解禁した。
 そして01年11月、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の分科会で、家庭まで含めた小売り自由化の議論を始める。自由化の実を上げるため、発送電分離にまで踏み込むかが焦点だった。分科会メンバーだった大学教授は振り返る。「経産省からは『発送電分離でいく』という決意がひしひしと伝わってきた」。当時の公益事業部幹部も「発送電分離につながる電気事業法の改正案の骨格をいろいろ書いた」と認める。
 これに、東京電力社長の南直哉は02年4月、家庭まで含めた自由化までは受け入れを表明するが、「責任ある発送電一貫のシステムが日本において役割を果たしている」と述べ、発送電分離を拒否する姿勢は崩さなかった。電力業界は自由化が進んだ米カリフォルニア州で01年に起きた大停電の例を使って、電力の「安定供給」には発送電一体が必要とPRに努めた。
電力業界との緊張が高まりつつあるなか、村田は02年7月、経産省(01年通産省から改称)の事務次官に就いた。直後の8月、大事件が発生する。東電が長期にわたり原子力発電所のトラブルを隠していたことが発覚したのだ。
 経産相・平沼赳夫は30日の記者会見で「言語道断。自浄作用を発揮することを強く求める」と経営陣の退任を迫った。東電の南は9月2日午後、「全く弁解の余地はない」と苦渋の表情で陳謝し、相談役の平岩をはじめ歴代トップ4人の退任を発表する。

 関係者の間では「制度改革への抵抗を抑えるため、村田が4人の首をとった」との見方がある。実際、村田は発覚直後の会見で「独占供給を認めているのに、期待値を裏切る」と、トラブル隠しと地域独占を結びつける発言をしている。だが、周囲には「4人の退任に跳び上がるほど驚いた。トップが辞めるという責任の取り方はおかしい」とも話している。

<「一貫体制」は崩せず>
 東電の怒りは激しかった。「トラブル隠しは発覚のずっと前から経産省と相談し、調査にも協力してきたのに、独り悪者にされた」(幹部)からだ。
電力業界は経産省への巻き返しに出る。
 京都議定書が求める二酸化炭素排出抑制のため経産省が導入を進めていた石炭への新たな課税制度を、発送電分離に対する「人質」に取ったのだ。
 村田らは、石炭課税制度の導入を優先することを決め、発送電分離の主張を弱める。温暖化対策は待ったなしだが、電力制度改革はいずれまたできる、との判断だった。02年11月を境に自民党内の反対は沈静化した。12月には、総合資源エネルギー調査会の分科会も、「発電から小売りまで一貫した体制の存続」と明記した答申案をまとめる。発送電分離はあと一歩で頓挫した。

<新エネルギーで再び攻勢へ>
 しかし、いま、温室効果ガスの排出削減に向けて、送電線網をめぐる状況には新しい波が起き始めた。
オバマ米大統領がグリーン・ニューディールの柱にすえる「スマートグリッド(賢い送電網)」。電気機器も効率的に制御して電力消費を抑えると同時に、自然エネルギー由来の電気を多く受け入れる基盤である。
日本の電力業界は、発電量や電圧が変化しやすい自然エネルギーを受け入れると「安定供給が脅かされる」と消極的だ。確かに、9電力が各区域で送電線網を整備し、容量の小さな送電線でか細くつないでいる現状では限界があるとの見方が強い。
 村田は07年10月、NEDOの理事長に就いた。石油危機が大問題だった約30年前、村田がエネ庁総務課長補佐としてその設立に携わった組織だ。そのNEDOは今年6月、太陽電池の発電コストを既存電力並みに引き下げる技術開発戦略を発表。スマートグリッドの実証研究にも乗り出そうとしている。
 村田はいま、こう発破をかける。「新エネルギーは、世界が競争を始めている。戦略的にやらないといかん」。これまで身をかがめていた、村田の思想に共鳴した官僚たちの熱気は蘇るのか。現役官僚の一人は言う。「問題意識はいまも持ってますよ」


バイオマスエネルギーや「菜の花プロジェクト」に対する風向きもいい方向に変わることを期待しています。

送電網は社会的共通資本として公有化を を読むと、現状の(拝金・新自由主義)電力寡占システムに対抗して、「送電コモンズ」システムが提唱されているようです。





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Last updated  2011.05.21 11:04:27
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