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2011.10.06
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カテゴリ: 経済
瞬時に大量に広範囲で行うIT取引に関しては、もし規制がないならアングロサクソンや中華の心根に敵うわけがないのであって(おっと、最初から白旗を揚げてはいけないのだ)・・・


「帝国以後」エマニエル・トッド著、藤原書店、2003年刊

<アメリカ社会の帝国的変形>p110
 経済の帝国的変貌は、アメリカ社会の上層階級を一国の枠組みを越えた帝国的社会の上層階層に次第に変貌させて行く、とおいうことである。このグローバリゼーション進行中の社会は、当初は自由社会の全体を組み込んだが、その後、共産主義の崩壊ののち、潜在的には世界全体を組み込んだのである。
 当のアメリカ合衆国においても、国民所得のうち最も豊かな5%に吸い上げられる割合は、1980年には15.5%だったのが、2000年には21.9%となり、最も豊かな20%の取り分は43.1%から49.4%に上昇した。その他の80%の取り分は56.9%から50.6%に低下している。『フォーブス』誌が行った分類によれば、2000年のアメリカの金持ち上位400人は、1990年の上位400人より10倍も金持ちであるという。ところが国民生産は2倍になっただけなのだ。こうしたアメリカ社会の上層部の所得の驚異的な膨張は、住民の大多数の所得の停滞ないし極めて慎ましい成長と同様に、帝国モデルを用いなければ説明できない。



<オニール・ドクトリン>p130~132
 経済理論の本来の世界では、物品の購入に必要な外貨の需要は、ドルの下落を引き起こすはずである。アメリカ産の製品は世界規模ではますます競争力を失っているので、アメリカ産製品の購入のためのドルの需要は減少して行くからである。そのような動きは比較的最近の過去において、特に貿易収支の赤字の出現を見た70年代に観察された。したがってフランスで幾人かの古典的ド・ゴール派が考えているように、ドルの準備通貨としての役割によって、アメリカ経済が達成する輸出での成果とは独立した通貨としての購買力の保証がアメリカ合衆国に付与される、というようなことはないのである。
 ところがそれから4半世紀後、われらが第三千年期の初めにあたって、歴史上いまだかって見たこともない貿易赤字にもかかわらず、利子率が高いにもかかわらず、利子率が高いわけでもないのに、そしてインフレ率はヨーロッパや日本より相対的に高いにも拘わらず、ドルは長い間、強い通貨であり続けて来た。何故なら世界中の資金がその間、アメリカ合衆国の方に流れ込んでいたからである。至る所で企業、銀行、機関投資家、個人投資家がドルを買い始め、ドルの平価を高い水準に維持することを保証した。そのような状況ではそれらのドルは消費財の購入に用いられるのではなく、アメリカ合衆国国内で直接投資を実現するか、国債、社債、株といった有価証券を入手するために用いられるのである。
 アメリカの国際収支の均衡を確保しているのは金融資本の動きである。観察されたメカニズムを極端に単純化してみるなら、毎年毎年アメリカ国内空間へと流れ込む資本の動きが、世界全体から到来する財の購入を可能にしている、ということになる。国外から購入する財のうちの多数が消費に向けられる、つまりは際限なく更新される短期的需要に対応しているのに対して、アメリカ合衆国に投資される金融資本の方は、その多数が中長期的投資に対応するという事実を考慮するなら、このメカニズムの中には何かしら構造的に不安定な、とは言わないまでも、逆説的なものが存在することを認めざるを得ない。
 アメリカ財務長官オニールが何度も言明を行ったのを受けて、ロンドンの『エコノミスト』誌は、今日の国境なき世界においては対外収支の均衡にはいかなる重要性もなくなった、との主張に、「オニール・ドクトリン」というかっこいい名称を、とはいえいささか不安げに献上した。



<蒸発>p142~143
 資本主義、利潤、金持ち、証券取引所、等々の用語を用いる一般的にして抽象的なモデルから脱却して、それらの概念を世界の現実の中に再び挿入してみるなら、全く単純明快に、世界の利潤の大部分はアメリカの証券取引システムの方へと流れ込んで行く、と言わざるを得なくなる。私としては、外国から流れ込むこの所得のアメリカ国内での再配分のメカニズムの全体を、自分ひとりで復元して見せようなどとは思わない。あまりにも多くの金融上・イデオロギー上の幻想が絡み合って、このシステムは物を歪めて映す鏡の戯れと化している。資本所有者たちが弁護士や会計士という無数の奉公人を雇い入れている一方で、平均的世帯は借金を抱え、ウォール街では首切りが相次いで行われることになると、それは投機経済からすれば、通貨の無償配分に等しい。しかしもしアメリカ経済は、消費財の大量輸入がさらに増大していることからも分かるように、その実体的現実においては生産性が低いということを認めるならば、株式の時価総額は虚構の集塊であり、アメリカ合衆国へと向かうマネーは文字通り蜃気楼の中に吸い込まれるのだと、考えなくてはならない。
 摩訶不思議なやり口によって、周縁部の特権者たちが資本投資と考えたマネーの動きは、アメリカ人にとっては、世界中から購入される財の日常的消費のために用いられる通貨記号物へと変貌してしまう。資本投資はしたがって、何らかの仕方で蒸発してしまうということになる。本来なら経済学は思弁し、分析し、予見しなければならないところだ。アメリカで倒産がある度に、それはヨーロッパや日本の銀行にとっては、資産の蒸発となって現れる。どのようにして、どの程度の速さで、ヨーロッパ、日本、その他の国の投資家たちが身ぐるみ剥がれるかは、まだ分からないが、早晩身ぐるみ剥がれることは間違いない。最も考えられるのは、前代未聞の規模の証券パニックに続いてドルの崩落が起こるという連鎖反応で、その結果はアメリカ合衆国の「帝国」としての経済的地位に終止符を打つことになろう。



<アメリカ的社会モデルがヨーロッパを脅かす>p248~

 1990年から2000年の間、資本主義の多様性についての思弁が盛んになり、
(疲れたので追って追記予定)



2003年発行のこの本では中国の経済的躍進がまだ反映されていないにしろ、アメリカの凋落については、エマニエル・トッドの断定がほぼ正しかったと言えるでしょうね。
斯様に・・・
エマニエル・トッドを野放しにすると、アメリカに対する舌鋒は鋭く(アルカイダも形無し?なくらいで)・・・・大使の鬱憤が晴れるのです。

おっと、帝国崩壊をいかに軟着陸させるかが地球的課題であると思い返し、気を引き締めるのであった。





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Last updated  2011.10.06 09:01:27
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