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2012.01.19
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カテゴリ: 映画
暇な大使が、暇にあかせて書き写した「リドリー・スコットの世界」も4回目となり・・・
これ以上書くと出版社からクレームがつかないともかぎらないので、これで打ち止めとします。
映像派のリドリー・スコットにしても、映画の真髄はやはり脚本だと言っていますが・・・・
リドリー・スコットのファンとしては、絵画的センスがあふれる彼の映像が魅力ですね。
ともあれ・・・・
黄金色の瞳の少年は、地道な努力の末に夢をかなえたようです♪

なお、リドリー・スコットについては リドリー・スコットの世界 として左のページにまとめました。

「リドリー・スコットの世界」ポール・M・サモン著、扶桑社、2001年刊

リドリー・スコット

 1977年に世界中に公開された劇場映画第一作の芸術的センスによって、観客の注目を浴びてからずっと、リドリー・スコットの作品はしばしば矛盾した受け止められかたをしてきた。
 考察してみよう。《デュエリスト決/闘者》は、男の極端な“名誉”への拘りをつきつめた、美しい映像で構築されたデビュー作だった。ジョセフ・コンラッドの原作のテーマを忠実に追ったことで絶賛され、評論家たちは監督を映像の魔術師ともちあげた。でも、この映画はごく小規模にしか公開されず、収益もほんのわずかだった。
 リドリー・スコットのそのあとの二作品は古典となり、のちの多くのSF作品に、視覚的な面と雰囲気作りの面で大きな影響をもたらした。でも公開当時《エイリアン》と《ブレードランナー》の実に革新的な贅肉のない簡潔すぎる物語と、卓越したプロダクション・デザインは、観客と評論家の偏見を呼んでしまったものだ。
(中略)
 でも、スコットに忠実なファンなら、そんな文句はまったく相手にしないだろう。彼は、今度もすぐれた作品を作ってくれるのではないかと、観客の興味を惹きつづけている貴重な監督なのだ。だかあらこそ、“黄金色の瞳”を持つ監督は長いあいだ活躍してこれたのだと見るべきだろう、というのがファンの気持ちである。彼の作品で批判される“スタイルvs物語”の問題点について分析し、さらに、わたしが映像歴史家としての視点から、20年以上にわたるスコット作品を、従来とちがう角度で再検証することも可能なはずだ。そんなわけで本書はまるまる一冊かけて、リドリー・スコット監督の作品を紹介していくものである。いままでの監督人生をかけて、ずっと美の追求にすべてを捧げてきた彼は、全作品にありとあらゆる美術的工夫をこらしつづけてきている人物なのだ。

<サウスシールズとRCA>p38~40
 徴兵をうける気が変わるきっかけとなったのは、ロンドン王立美術大学(RCA)からの好条件の奨学金がスコットに提示されたせいだった。このロンドンにある一流大学は当時もいまも、イギリスでもっとも有名な美術とデザインに関する大学院施設をもっていた。さらに、スコットも、RCAは活気があってじつに進歩的な大学だという評判を耳にしていた。だから、彼は進学を希望し、58年に入学した。
「RCAで三年間にわたる、夢のような日々をすごしたよ」スコットは当時の経験を語った。「第一にグラフィック・デザイナーを専攻した。しかし、RCAがずばぬけて素敵だったのは、ほかの学部の教室をうろついたり授業に参加してもいいと、寛大な措置をとっていたところだ。だから、彫刻を彫ったり、写真を撮ったり、工業デザインの授業をうけたりした。こっちでちょこっと、あっちでちょこっと、という具合にね。RCAは信じられないくらい刺激的で、文句なしの環境だった」
 RCAに在学中、幼年期からずっと興味があった絵画の勉強をつづけた。おもしろいことに、監督はいまも絵画をみずから描いているといい、こう説明した。「絵の能力は、映画の製作工程においてとても重要なんだ。二時間にわたる有意義なストーリーについての会議よりも、一枚のスケッチのほうがはるかに役にたつ場合があるからね」

「RCAで学生生活にもどった当時、ぼくはグラフィック・デザイン学科の教職免許を持っていたが、自分は教師になるつもりはないと心に決めた。だって、その時点では、テレビはイングランドでもどんどん行き渡っていて、ぼくはメディアのためのセットを作りたいという思いにかられていたからな。だから、RCAの最後の年、もう二科目を追加で取った。ひとつは、セット・デザインだったが、当時は舞台デザインと呼ばれていた。この科目は、ジョージ・ハスラムというとてもおもしろい講師が受け持っていて、彼は舞台とテレビのデザイナーとしてメディアの実務にもついていた。その方面でも良い仕事をしていて、当時のテレビ業界の最前線で活躍していた。ジョージはぼくら学生を劇場やテレビの現場につれていって、戯曲や脚本の読み方の基礎を教えてくれた。

 この科目は一日も欠かさず出席した。こういった科目のおかげで、当時のぼくのような人間には、少なくともまだとても謎めいて見えていた、テレビや映画の業界に親しむことができた。現場の技術史向けのものを別にすれば、60年代初頭にはまだ、映画専門のイングリッシュ・スクールはできていなかった。だから、ハリウッドの映画産業で働きたいなら、カルフォルニアに生まれるか、映画会社で働く父親のもとに生まれなければならないように思えたものさ」

<未来へ>p349~350
 さて、最後の質問が残った。いままでずっと映画製作を楽しんできたように思われるスコットは、「映画の中身はおざなりで、スタイルばかり拘りすぎる」監督だと非難されてきた点について、どう思っているのだろうか?
 現代の映画産業のなかでもっとも誇り高きスタイリストは、躊躇せずにこの嫌な質問に即答してくれた。それは、ひろく伝わる彼の映像派としての執念とはうらはらに、意外な言葉だった。

 「ぼくが映画を作るときにもっとも重要視している要素は、つねに脚本だ。脚本家の頭のなかにある物語に、希望と不安を感じずにはいられない。
 正直な話、映画製作とは撮影現場、衣装、照明、セット、演技、音響といったものがすべて一体化した作業で、すばらしく霊感的、刺激的な体験だ。だからこそ、今までにも言ってきたように、映画を作るというのはとても面白く、ときには夢のような楽しさに満ちたものになる。
 もちろん、映画製作はストレスに満ちたものだが、刺激的な作業でもある。もっともうまく段取りを進められれば、そのストレスは人間を活性化させてくれるが、逆に下手をするとストレスで寿命が縮んでしまう。
 たとえ短期間であったとしても、スクリーンに上映されることが、完成した映画にとってもっとも重要だ。映画はなんらかの形で、観客を感動させる。面白く、魅力的な内容でなければならないのはもちろん、それにも増して観客をまるで物語のなかにいるかのように作品に没頭させることが重要だ。これがすべてだね。
 だからこそ、いつもいちばん気がかりな要素は、やはり脚本だ。映画製作は、つねに物語、いつも物語、すべて物語にかかっている。ほかの要素すべては、それ次第なのだから」







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Last updated  2012.01.19 12:49:38
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