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2013.05.01
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カテゴリ: アート
杉浦日向子さんの作品などについて、集めてみました。

・百日紅(下)
・娘を化十(ばけじゅう)と呼ぶ
・東京という夢 YASUJIと杉浦日向子
・いしかわじゅんの『百物語』評
・コメディーお江戸でござる

杉浦日向子さんの本





図書館で百日紅(下)という本を借りたので紹介します。
日向子さんは46歳で惜しまれながら世を去ったが…
「もう、日向子さんのマンガは見えないのか」と、この本を読んでつくづく、そう思ったのです。


【百日紅(下)】
杉浦

杉浦日向子著、筑摩書房 、1996年刊

<レビューより>
おそるべき描写力であることは本書にとどまらないが、なおかつ長編としての構成力も見せてくれたのはこれが最初で(残念ながら)最後である。もっと多くのテーマが待っていたのに、実に惜しい。生前すでに「漫画」系については“断筆”する旨の表明があったのは、やはり病のためなのか。

<大使寸評>
まんが作家としても、秀逸だった杉浦日向子である。
この本にも、ゾクッとする筆致が見られるが・・・
日向子さんの夭折が、つくづく惜しまれるのです。

rakuten 百日紅(下)


杉浦日向子『百日紅』


<娘を化十(ばけじゅう)と呼ぶ>
東京なんて、仕事でもないかぎり、あんな成り上りの街は敬して近づかないのがいちばんと思う大使であるが・・・・
東京で会う人のてまえ口には出さないけど、実は密かに東下りと思っているのです。

でも、 杉浦日向子 が描きだす江戸は話は別です。
杉浦日向子の漫画『百日紅(上)』を図書館で借りたけど、これが大当たりでした。

NHKの「コメディーお江戸でござる」のコメンテーターとして、その膨大な時代考証を披露していたときは、その博識にただ唖然としたが、彼女の漫画を手にしたのは初めてでした。

人三化七(にんさんばけひち)とは、まずい女を表す非情な形容なんですが・・・・・・
アゴ(アゴというのは北斎が娘のお栄を呼ぶときのあだ名です)を、時に「化け十」と実も蓋もなく呼ぶ北斎である。
この漫画には、父と娘の浮世離れした生活が描かれるが・・・・いい味出ています♪
お栄をアゴと呼ぶのは、芸術家の不器用な愛情表現と言えなくもないのですが、北斎は娘の画力を案外と買っているのです。

アゴアゴ


やや物憂げな顔とうらはらに、一晩で龍の絵を描ききるというガムシャラなところがある・・・
やはり、芸術家肌なんですね♪

杉浦日向子は見てきたように江戸のイメージを構築するクリエーターでしたが、上方に住む大使としても・・・・・
東京は好きになれないが、日向子ワールドのお江戸が好きなんです。

ところで、日向子さんはリドリースコットを高くかっていたようですが、時代考証に拘る日向子さんならではでしたね。

「エイリアン」がショックだったのは、宇宙船が、油まみれで汚れ、あたかも東名高速を地ひびきをたてて走る輸送トラックのようなリアリティだったからです。リドリー・スコットは、だから、エライ。「ブレード・ランナー」も、未来都市のごちゃごちゃが、ヒドク、リアルでスゴかったです。荒唐無稽な「レイダース」がオモシロイのも、小道具やセットが限りなく本物っぽいからなのです。『大江戸観光』p65




【東京という夢 YASUJIと杉浦日向子】より
安治井上安治の絵

7年前46歳で惜しまれながら世を去った漫画家・杉浦日向子。「百日紅」、「百物語」など江戸を見てきたように描き、その土地の地霊に深く共振し、数々の忘れがたい名作を残した。
その杉浦がとりわけ傾倒した浮世絵師が、明治初期に活躍した井上安治であった。安治は25年という短い生涯の間に、百数十枚の江戸名所絵を残した。〈浅草橋夕景〉〈蛎殻町川岸の図〉・・・・・・隅田川沿いの暮れゆく町のゆったりしたたたずまい、静まりかえったたそがれが小さな画面の中に奇跡のように描かれている。
1988年に出版された漫画「YASUJI 東京」で、杉浦は切々と安治への思いを語り、安治の版画絵を透かしてその向こう側に明治の東京を、さらにそのずっと昔の武蔵野の原野を幻視した。杉浦は思う「東京はいつでも原野に戻る用意があるように思われる」江戸のたび重なる大火、明治以来の近代化、大震災と東京大空襲と焼け跡からの復興。
常に死と再生、破壊と刷新を繰り返してきた東京という土地、東京という現象。
杉浦日向子が想いをはせた東京のはるかな夢の記憶、そして私たちも「東京という夢」を生きているのかも知れない。
この番組を見たあなたは、どんな夢を見ますか?


*********************************************************************
<いしかわじゅんの『百物語』評>
「漫画の時間」から『百物語』のいしかわじゅん評を紹介します。


【本当に怖いもの】「漫画の時間:いしかわじゅん」p275~276より
百物語

 さあて、今回はなにを紹介しようか、と思って、各種単行本が山積みになっている仕事場を見回したら、杉浦日向子が目についた。
 彼女をご存じだろうか。時々テレビにも出ているので、きっと顔くらいは見たことがあるだろう。世間では美人ということになっているが、まあそのへんは、趣味の問題もあるので、ここで深くは追求しないが。いや、ぼくはもちろん、なかなか可愛いと思っているのである。

 彼女の本職は、時代考証家だ。それと同時に、漫画家でもある。時代考証家のほうは、彼女がどのくらい偉いのか全然わからないが、漫画のほうは、断言できる。
 杉浦日向子は、面白い。そして、怖い。
『百物語』というのが、今回ご紹介する漫画だ。これは、ほんとに面白い。出版元が新潮社なのが、ちょっとネックではある。いや、別に新潮社の社風に問題があるという意味ではない。ただここは、漫画をあまり出していない。活字の山が中心だ。だから、漫画を売るノウハウがあまりない。実はぼくも、『約束の地・憂国』という単行本を、ここから出したのだが、残念なことにさほど売れなかった。でもまあ、その代わり、きちんとしたいいい本を作ってくれたので、いいのである。彼女の本も、たぶんそこそこは売れているとは思うが、その面白さを考えれば、ベストセラーリストに登場してもいいところである。もったいないのである。

 さて『百物語』だ。これは、『小説新潮』に連載されたものだ。1回8ページだから、ごく短い。その短さが、内容にぴったりだ。
 どんな内容なのかというと、ごく簡単ないいかたをしてしまえば、怪異譚だ。江戸時代、どこどこでこんな出来事があった。不思議なことがあった。それだけなのだ。それ以上のことは描いてないし、描こうともしていない。それなのに、そこにはそこには人間の心の恐ろしさや理不尽さ、このうつし世の不思議さや怖さが、充分に描かれている。今もいくつかを読み返して、ぞっとしたばかりだ。決して最近流行のホラーではない。死体も内臓も生首も出てこないし、斧やチェーンソーを持って追いかけてくる怪人もいない。しかし、怖さは天下一品である。それは、杉浦が、死人の思い出や物の怪のことを描いていながら、その実、本当に描いているのは生きている人間のことだからだ。本当に怖いのは、実は人間なのである。

 この話に、元ネタがあるのかどうか、ぼくは知らない。ベースにした怪異譚があるのかどうか、そちら方面に造詣が深くないので、ぼくには判断ができない。似た話をどこかで読んだことがあるような気もする。すべてが彼女が創り上げたフィクションであると考えるには、その恐ろしさに、あまりにもリアリティがありすぎるのだ。しかし、元ネタがあろうとなかろうと、その面白さに変わりはない。恐ろしさに変わりはない。その面白さ恐ろしさこそが、杉浦日向子のオリジナリティなのだ。


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<コメディーお江戸でござる>
東京嫌いの大使も、このコメディーの江戸情緒にはわりと惹かれていたんです♪
江戸


wikipedia コメディーお江戸でござる より
『コメディーお江戸でござる』は、1995年3月30日から2004年にNHK総合・NHK-BSで放送されていた、江戸時代の江戸を舞台とし、町人の生活をコミカルに描いた喜劇を中心に据えたバラエティ番組。
番組構成は、演劇(4幕)、歌、「杉浦日向子のおもしろ江戸ばなし」の3部構成であった。

<杉浦日向子のおもしろ江戸ばなし>
江戸風俗研究家の杉浦日向子が、演劇に出てきた場所や職業、物や流行など、江戸の町人文化を紹介するコーナー。進行はその時の座長格の出演者が務めた。
コーナーの冒頭には、まず、座長が「今日のお芝居に間違いはありましたでしょうか。」と杉浦に評価を求める。そして、杉浦が笑顔で演劇コーナーの考証の誤りを指摘したり、逆に良かった点(特に小物や演者の言葉遣い)を褒めたりする。番組初期には間違いが多く指摘されたが、滝大作が脚色を担当するようになってからは、それもほとんど無くなった。この杉浦の指摘はともすると「江戸マニアの粗探し」とも受け取れそうだが、様々な制約(例として江戸の長屋の井戸は地下水道から長柄杓で水を汲み上げる形が主流だったが、スタジオに長柄杓を入れられるだけの穴を掘れないため地下まで掘られているように見える釣瓶井戸に変えられている点。杉浦の指摘を受け番組中では後に水道井戸が再現された)から事実とは異なっている時代劇や舞台における江戸の情景が一般に事実と誤認されつつある傾向への警鐘でもあり、視聴者が江戸の世界をより深く楽しむための教養度の高いコーナーであった。






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Last updated  2013.05.01 12:12:45
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