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2013.05.23
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カテゴリ: 経済
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・「幸せ」の戦後史 
・資本主義はなぜ自壊したのか

奇しくも、反米の2冊になったけど・・・
さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
********************************************************************************

「幸せ」の戦後史 より
戦後史

<喪失感の中から生きた時代問う:田中優子(法政大学教授・近世比較文化)>
 生まれて60年余り、日本は豊かになって来たはずなのだが、私は常に「失い続けている」という思いが消えなかった。それは個人的な事情ではなさそうだ。やはり、そのことに向き合わねばならないのだろう。本書を読みながらつくづくそう思った。

 著者と私は同じ1952年に生まれた。本の冒頭に出て来るのは「社会意識とは何か」を問う章なのだが、いきなり歌の中に引き込まれる。ふるさとをテーマにした流行歌から明らかになるのは、60年代におけるふるさとの喪失である。地方から都市に出た人々のことだけではない。著者も私も都会の下町の生まれだが、親たちは団地にあこがれた。著者は団地に移り住み、私の家族は抽選から漏れて移り住めなかった。しかししょせん同じことで、下町は崩壊し郊外に出ることになった。至る所にふるさとの喪失はあったのだ。

 高度経済成長と裏腹に、「喪失」は60~90年代の特徴である。本書は「壊れかけた労働社会」「家族の変容と個の漂流」「アメリカの夢と影」という三部から成っている。仕事、家族、価値観とライフスタイル、そのいずれにおいても日本人は深い喪失を体験し、それにかわる新しい仕事の仕組み、家族の関係、新時代の価値観を確立したとはとても言えない。しかしその時々に、その喜びも苦悩も矛盾も表現してきた。そのことが本書では、膨大な歌、映画、アニメ、書籍をもって語られる。

 歌や映画はもちろん、オタクやエヴァンゲリオンやオウム真理教も、マーケティングと消費社会論も、テレビやロイヤルウエディングやスーパーとコンビニの出現も、同世代である村上龍や村上春樹の世界も、そして戦後日本のアメリカニズムも、それぞれ今までさんざん論じられてきたのだから、本書はその素材において目新しいものがあるわけではない。
 にもかかわらず、読みながら心に深くこたえるのはなぜか。それは著者自身が、自ら読み、口ずさみ、リストラを体験し、そのただ中で「自分の生きてきたこの時代とは何だったか」を問い続けてきたからである。とりわけTPPから改憲まで噴き出した昨今は、「自分とこの時代にとってアメリカとは何か」を考え、その関係を自分のなかで再構成する作業に迫られている。本書では村上龍や村上春樹を、日本の中に深く食い込んだアメリカの問題として読み解いている。それはこの世代の精神的な根幹に関わっているのである。
 著者は外から社会を分析しているのではない。仕事、家族、生活という自らの足もとを問い直しているのだ。同じ時代を生きてきた者にとって、自分を考える絶好の読書である。
  ◇

菊地史彦著、トランスビュー 、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
敗戦から3・11まで、ふり向けばいつも上を向いて歩いてきた。豊かさと信じたものは、果たして何だったか。戦後、人は何を求め、生きてきたのか。家族・自己・労働に焦点を当て、歌、映画、小説から仕事、暮らし、性、さらには宗教、アニメまでを題材に、60余年の社会意識の変遷を追う。

<読む前の大使寸評>
著者は「自分とこの時代にとってアメリカとは何か」を考えてきたそうだが、この思いは反米の大使とて同じであり、避けて通れないわけです。
それに田中教授がとりあげたということで、この本にそそられるのです。

60~90年代の「喪失」が、歌、映画、アニメ、書籍をもって語られるとのこと。

rakuten 「幸せ」の戦後史



2009年01月25日掲載とやや古い書評であるが、アメリカとは何かということで、この本を思い出したわけです。

資本主義はなぜ自壊したのか より
中谷

<「転向」宣言し新自由主義経済を批判:天児慧(早稲田大学教授)>
 サブプライム問題が発生して以降、世界は金融恐慌の嵐に遭遇している。米国大手金融業界では大規模な倒産、解雇が相次ぎ、世界の金融経済を完全に狂わせてしまった。わが国でも不況は一挙に爆発し、輸出産業の急激な減速、従業員の大量解雇など深刻な経済危機に陥っている。さらに、格差拡大に伴う貧困化、医療など社会保険システムの弱体化、環境汚染、人間性荒廃など様々な経済社会問題が深刻化している。この状況の中で、90年代より市場開放・構造改革の急先鋒として経済政策に多大な影響を与えてきた著者が本書で、グローバル資本主義はこうした深い傷をつくり出す「モンスター」になったと断じ、それを支える新自由主義の考え方に決別、「転向」宣言を行ったのである。

 本書の主張自体は、これまで新自由主義論や構造改革に反論・疑義をとなえてきた人々の見解に重なり、とくに目新しさは多くはないが以下の3点が特徴的である。第1に、感情論ではなく経済学のロジックから市場経済論、グローバル資本主義の欠陥を指摘したことである。「レバレッジ経営」による金融経済の飛躍的な成長と、歯車が逆方向に向かったときの巨大なバブル崩壊、「地産地消」のローカル資本主義に対して市場至上主義は必然的に大量の貧困層を生み出すと断じた。
 第2に、米国の特徴を論じ、これに日本の伝統的な思想・文化を対照させることで、日本独自の未来を描こうとしたことである。米国はそもそも自然や特殊性を排除する傾向の強い宗教・理念国家である。近年は「豊かさ」を支えていた大多数の中間層の没落によって超リッチ層と圧倒的多数の貧困層に分断された社会となった。日本には「自然との共生観」、長期互恵を基盤とした「安心・安全の社会観」、日本的経営を支える「商人道」、労使協調の哲学がある。それらを日本自身はもっと重視すべきであると説く。
 第3に、しかしその日本もOECDに属する先進国中で米国に次ぐ高い「貧困率」に苦しみ、08年の国際競争力は総合で9位、IT部門で19位と経済大国として不本意な評価を受ける国になった。当面の日本再生のカギは、適切な所得の再分配による貧困層の減少を図る税制改革を断行すること、特に「還付金付き消費税」方式の導入を提案している。またデンマークなど北欧での「大きな政府」が経済を活性化させるメカニズム、国民を支える地域社会の活力を紹介し、同時に歴史や文化の伝統から日本は「環境保護の超先進国」を目指すべきだと説いている。

 ただ、最後に今こそ「モンスター」に鎖をつけ、自由の抑制が必要だとしているが、それは我々自らが欲望を抑制することだと精神論で締めているのはいささか拍子抜けであった。
 しかし、本書は社会的影響力のある筆者による新自由主義経済論への徹底批判という衝撃の書であり、直面している世界や日本の状況を念頭に置きながら本書を読めばかなりの説得力を持つ。特に「構造改革」を推進してきたブレーンや、迷走している政治家の皆さんが真剣に読まれることをお勧めする。
  ◇

中谷巌著、集英社、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
 IT革命に支えられた「新自由主義経済」は人類を幸福に導くはずだった。だが、その結果、起きているのは世界的な格差の広がり、止めどもない環境破壊、激化する資源獲得競争など悲惨の連続である。マーケット・メカニズムは社会を解体し、自然を破壊し、人類を滅亡の淵に追いやっていると言っても過言ではない。かつてはボーダレス経済を礼賛した著者が語った「市場原理主義の大いなる罪」とは。

<大使寸評>
福岡博士と同様にアメリカからカミングアウトした中谷さんが説く著書だけに、反米の大使にはすんなりと響くわけです。
本屋には経済書が溢れ百家争鳴状態であるが、5年前くらいの本が、雑音に耐えていていいのかも。

rakuten 資本主義はなぜ自壊したのか


この本を蔵書録より紹介します。


中谷
中谷巌著、集英社、2008年刊

<「BOOK」データベースより>
リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった!構造改革の急先鋒であった著者が記す「懴悔の書」。

<大使寸評>
中谷さんのこの読みやすい本で、かなり頭の整理がついたと思うのですが・・・・・
読みやすいと感じたのは、中谷さんの文章が明晰であることは勿論で、私のアメリカ憎しの思いがうまくマッチしたのかもしれません。

Amazon 資本主義はなぜ自壊したのか
「資本主義はなぜ自壊したのか」 byドングリ




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Last updated  2013.05.23 21:52:55
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