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2013.06.29
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・海を渡った人類の遥かな歴史
・グローバル化の社会学


さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
********************************************************************************

海を渡った人類の遥かな歴史 より
古代人

<冒険性を否定する、人と海との親密さ:角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) >
 人間の住む世界から遠く離れた北極の氷の中や太平洋に浮かぶ孤島を訪ねた時、いつも考えることがあった。はるか昔、何千、何万年という昔に、海図も六分儀もないのに、ここまで来た人たちがいたのだ。水平線のはるか向こうを目指した古代の人たちの胸の内に思いをはせた時、私はいつも心が震えるような思いがした。

 陸地を離れて海へ出る。人類がアフリカを出て世界へ拡散していく歴史の中で、それは確かに最も想像力を刺激する一歩だった。本書はそのことについて書かれた本だ。歴史の教科書に太字で記される華々しい海戦や探検家の航海について触れたものではない。天体を見て遠洋に漕ぎ出したポリネシア人や、大三角帆を操り材木を運んだインド洋の商人、皮舟で巨獣を仕留めた北極圏の先住民の物語である。船上の会話、胸の鼓動、そして町のざわめき。それらが聞こえてくるような物語なのだ。
 ある意味、本書により私のロマンチックな幻想は覆された。私が感動したのは古代人が危険を承知で、それでも海に一歩踏み出したのだと考えたからだ。ところが著者は膨大な考古学的成果と、8歳の時から帆を操ってきた船乗りとしての経験から、彼らの航海の、その冒険性を否定する。彼らが水平線の先に向かったのは好奇心やロマンからではないという。

 冒険性の否定。実は著者が最も訴えたかったのはそのことだ。天体の位置、潮のうねり、鳥の動き、島に伝わる伝承。総合的な知を蓄積し海を体験的に解読することで、古代人はいつでもどこからでも帰れるという自信を持って外洋に漕ぎ出した。つまり外洋航海は日常的な沿岸航海の延長線上にあり、未知への旅立ちが冒険でなくなるほど彼らは海と親密な関係を築いていたというのである。

 数万年かけて築き上げてきた、この人と海との関係は、つい先頃まで保たれてきた。少なくとも1世紀前、考えようによっては十数年前まで。しかし……。
 著者がこの本を書きあげた動機はエピローグにたっぷりと書かれている。あるいは、それこそ彼が最も書きたかったものなのかもしれないと思えるほど、強い筆致で。端的に言うと、それはGPSに象徴される現代機器に知を外部化させて、何の省察もないまま自然との深い関係を放棄した現代に対する深い憂慮の念だ。

 「海は再び人間から遠い存在になった」と著者は書く。それは嘆きのようにも聞こえるし、人類は今まさに有史以来の転換点に立っているのだという警鐘のようにも聞こえる。そしてその結語は、同じ思いからGPSを使わずに北極を旅している私にとって賛同せざるを得ないものだった。
  ◇

ブライアン・M.フェイガン著、河出書房新社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
 原始、祖先たちはなぜ舟をつくり、なぜ海に乗りだしたのか。遺跡も文献もほとんど残されていない太古以来の人間と海の物語。東南アジア、地中海、インド洋、北大西洋、アラスカから南米の太平洋海域…斬新な視点から、知られざる壮大な歴史を発掘する。

<読む前の大使寸評>
 GPSを使わずに北極を旅しているという評者(角幡さん)のサバイバル感覚もすごいのである。この感覚は冒険性を否定した古代人の感覚に通じるものがあるのではないか♪
 海を渡った古代人、この本の著者(ブライアン・M.フェイガン)、評者(角幡さん)に通じることがある・・・・・
勇気を持った旅立ちに見えるが、それは確かな経験と自信に裏打ちされた旅立ちであったということだろう。

rakuten 海を渡った人類の遥かな歴史



グローバル化の社会学 より
グローバル化

<多様に進む後戻り不能な過程の暗部と希望:松原隆一郎(東京大学教授) >
「リスク論」という学問があり、リスクを客観的な確率として計量可能なものとみなし、リスクをはらむ行為から得られるベネフィットと検査や被害のコストを比較して、行為の適否を決めるべきだと唱えている。リスク論は「近代」の所産である。近代とは、市場で個々人が合理的に目的を追求し、発生した失業や公害のリスクは国家が福祉・社会政策によって制御しうるとされる歴史段階だからだ。

 けれども技術が日進月歩する現在、原因と結果の関係は複雑化し、計算は素人には不可能事となった。代理として専門家が登場したが、高度な分業生産体制のもとでは責任は曖昧だ。マンション耐震強度の偽装や牛海綿状脳症(BSE)にかんする全頭検査が話題になった今年ほど、この問題が切迫して感じられた年はあるまい。
 ベックは86年の『危険社会』で、市場経済の生み出すリスクが制御可能であったのは「第一の近代」にすぎず、因果関係の複雑さや分業体制の深化からエコロジカルな危機が出現した現在、世界は「第二の近代」に移ったと喝破した。本書ではさらに、国民国家までもが市場と個人のはざまで融解する過程を、諸説を引きながら検討している。
 新自由主義にもとづく「グローバリズム」は国家を健在ととらえ、その上で規制緩和と自由貿易の振興が世界に豊かさを均霑(きんてん)させ、リスクも制御できるという「近代」の見方をとる。

 ベックはこれを批判して、「グローバル化」を第二の近代特有の現象と見る。知識が資本とともに不可欠な生産要素となった現在、労働は世界中で置き換え可能になった。そこで超国籍(トランスナショナル)企業は高い法人税と人件費を逃れて地球上を移動し、経営者はもっとも快適な土地で暮らしている。「敗者」である労働者は定住するしかないが、土地柄の魅力は彼らが築き上げたものだ。安全な食住には費用がかかり、リスクは貧者に押しつけられるのと同様の不公正さが、グローバル化した世界を貫いている。

 もっとも、ベックは経済だけがグローバル化したとは見ない。「モロッコ娘がアムステルダムでタイ式ボクシングをする」ようなグローバルかつローカルな文化の混交や、世界規模のテレビ・キャンペーンと不買運動で環境破壊した石油会社を屈服させる市民運動の拡がりもあり、グローバル化は多様に進行している。なにより、欧州連合(EU)や世界貿易機関(WTO)、国際裁判所などが超国家的に再編されている。グローバル化は後戻り不能な過程と見るベックは、不公正を糺す機関として、そこに希望を託す。

 97年に書かれた本書は、国際テロ組織という「脱国家」主体の行動は視野に入れているものの、「ヨーロッパ」という超国家連邦への期待が勝っているせいか、「勝ち組」米英の帝国主義的な反攻までは想定外であるようだ。それでも、日米の国家関係と大企業を重視する小泉政権の「グローバリズム」を見直す視点は、十分に用意されている。

  ◇

ウルリッヒ・ベック著、国文社、2005年刊

<「BOOK」データベース>より
グローバルに思考し、ローカルに行動するのではなく、ローカルに思考し、グローバルに行動するために。
【目次】
第1部 序文(仮想の納税者/世界経済と個人化のあいだで国民国家は主権を失う-どうすればいいのか/グローバル化の衝撃-遅まきの議論)/第2部 グローバル化の意味するものはなにか-次元、論争、定義(世界地平の幕開け-グローバル化の社会学のために/トランスナショナルな市民社会-コスモポリタンなまなざしはいかにして成り立つのか/世界社会の輪郭-せめぎあうパースペクティブ)/第3部 グローバリズムのさまざまな誤謬/第4部 グローバル化への応答(グローバル化への応答としてのヨーロッパ/展望-没落のアラカルト ヨーロッパのブラジル化)


<読む前の大使寸評>
コーポラティズムが忌むべきものとして、クローズアップされている昨今であるが・・・
コーポラティズムとはグローバリズムの側面みたいなものなんだろう。
8年前に刊行されたこの本で、コーポラティズムの成り立ちを知りたい、グローバリズムのメカニズムと危険性を再認識したい・・・と思った次第です。

ただし、著者は欧州連合(EU)や世界貿易機関(WTO)に希望を持っているところが、今では、ちょっとアナクロニズムかも。

rakuten グローバル化の社会学


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朝日デジタルの書評から(目録)




NHK「奪われたアメリカンドリーム~デトロイトロケ~」 より
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 企業に後押しされたアメリカ政府が自国民にしている事を、次にTPPなどの国際条約を通して、日本をはじめとする他国にしてくるからです。

 今後日本の「貧困政策」は、グローバル化とコーポラティズムによって世界で加速するこの流れをしっかり視野に入れて作る必要があります。
 単に企業=悪という従来の善悪図や、アメリカ一国の「陰謀論」という狭い見方ではなく、この新しい流れの中でどうしたら民を守り世界と対峙できるかを真剣に考えなければなりません。







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Last updated  2013.06.29 00:07:58
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