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2013.10.20
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・アメリカはアートをどのように支援してきたか 
・世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット

さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
********************************************************************************

アメリカはアートをどのように支援してきたか より
アメリカ

<間接助成で芸術活動支える:渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)>
 芸術支援のために庶民の税金は投じられるべきか。右派は民間の自助を、左派は福祉の拡充を求める立場からともに懐疑的だ。
 「人はパンのみにて生くるにあらず」「戦闘機一機の値段と比べれば文化は安上がりだ」「文化は国や地域の威信を高める」とは芸術愛好家や批評家の決まり文句だが、審美的価値は経済的価値の前では決め手を欠きがち。

 本書はその両者を和解させようとする試みである。特定の芸術や組織を対象としない間接的助成(優遇税制や大学を通した助成など)を通して、価値論争に振り回されることなく創造的で幅広い芸術活動を支援する米国の事例が多面的に考察されている。
 かたや日本。経済的価値しか顧みない「事業仕分け」の光景に驚愕した海外の芸術関係者は少なくない。
 東京五輪開催を控え、世界を魅了するような画期的な文化政策は打ち出せるか。
 そのための頭の体操としても有益な一冊だ。

    ◇

『アメリカはアートをどのように支援してきたか 』タイラー・コーエン著、ミネルヴァ書房、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
経済学と美学との対立。アートへの公的な財政支援は必要か否か、多彩な事例とさまざまな論点から迫る。
【目次】
第1章 対立するふたつの視点(美学と経済学/共約可能性の問題 ほか)/第2章 間接的な助成ーアメリカのシステムの特質(寄付と税制/アメリカの財団法人 ほか)/第3章 直接的な助成ーそれらは保守的すぎるのか(直接的な財政支援の進化/ニューディール政策 ほか)/第4章 著作権と分散化したインセンティブの未来(著作権は本当に消滅しつつあるのだろうか/象徴・シンボルへの愛 ほか)/第5章 美しく、かつリベラルな未来に向けて(助成金について、どの主張が検討に値するのか/分散化論にはどのような美学的主張があるのか、あるいは芸術とは何か ほか)

<読む前の大使寸評>
日本のお役所が、最近になってクールジャパンを唱える前に、アメリカはアートを美学と経済学というふたつの視点で助成してきたようだが…
その戦略性には、日本の官僚が敵うものではないという気がします。(大使、そんな負け犬根性が良くないのでは?)

最近は百家争鳴のようなクールジャパンについて クールジャパンあれこれ にまとめています。

rakuten アメリカはアートをどのように支援してきたか



世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット より
中国

<「普遍」と「特殊」、二つの観点交差:柄谷行人(哲学者) >
 著者は私が最も信頼する現代中国の思想家である。魯迅研究者として出発した著者は、天安門事件で弾圧された後、より広い領域に踏み入った。しかし、ある意味で、彼はより魯迅的な道を歩んでいるようにみえる。すなわち、一方で世界的な知的状況に通暁すると同時に、他方でつねに、中国という特殊な文脈の下に考えようとしてきたのである。それが彼を独自の存在にしている。

 本書にも、その二つの観点がある。一つは普遍的に世界的状況を考え、中国をその中において見ることである。現在の世界に支配的な傾向は、著者の言葉でいうと、「脱政治化」である。これは、つぎのようにいうとわかりやすいだろう。たとえば、1990年以後、「資本主義」のかわりに、もっぱら「市場経済」という言葉が使われるようになった。それは資本の蓄積が資本と賃労働という階級関係にもとづくことを無視し、また、資本主義経済が自然的・永続的であるかのように考えることである。
 このような脱政治化が日本や先進資本主義国でおこったが、実は、中国でも同じであった。「社会主義的市場経済」の名の下に、資本主義経済(新自由主義)が急激に進行し、各地で深刻な階級対立が生じたのである。ところが、それはナショナリズム、エスニック・アイデンティティー、あるいは人権問題などの「政治」にすり替えられた。それらは政治的に見えるが、脱政治的なのだ。

 本書におけるもう一つの観点は、中国における特殊な問題から普遍的な認識を引き出すことである。現在の中国の民族問題を理解するためには、清朝によって拡大された冊封体制(朝貢関係)を考える必要がある。近代西洋に始まる主権国家の観点から見ると、朝貢関係は支配・従属関係でしかない。しかし、朝貢は実際には交易であり、帝国は他国の政治や文化にはまったく干渉しない。朝貢関係は交易や平和を保障する国際的システムなのである。そのようなシステムが「帝国」だとすれば、相手を主権国家として認めた上で、資本主義的経済に巻き込んで文化的にも同化してしまうのが「帝国主義」である。西洋列強は、「帝国」の下にある諸国家を、従属状態から解放するという口実の下に支配したのである。

 この朝貢関係というシステムについての理解は、現在のチベットの問題を歴史的に理解するために不可欠である。のみならず、それは周辺諸国をふくむ東アジアの政治的構造を理解するためにも必要である。たとえば、現在の沖縄の基地問題にしても、清と日本の両方に朝貢していた琉球王国が、近代的原理に立つ日本国家によって滅ぼされ領有化されたという経緯を知らずして論じることはできない。むろん、著者は清朝の政治システムを称賛しているのではない。ただ、朝貢関係や儒教の伝統に、複数の「システムを跨いだ社会」の原理を構築するためのヒントを見ようとしているのである。

    ◇

『世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット』汪暉著、青土社、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
中国という国家を歴史からとらえなおし、世界のなかにおける中国とは何かを問う。現代中国を代表する思想家が、「文革・琉球・チベット」という三つのテーマを通して、日中関係を根源的に考える。中国からみた世界、歴史からみた中国。

<読む前の大使寸評>
本来、朝貢関係は交易や平和を保障する国際的システムであったはずであるが・・・
昨今の中華の下手な外交を見るにつけ、どこで、どう間違ったのだろうと思うのです。
たぶん、欧米列強の酷い仕打ちに中華のシステムが壊れて、後発の日本が止めを刺したのかもしれないですね。

rakuten 世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット


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Last updated  2013.10.20 10:38:34
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