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2014.02.19
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カテゴリ: 気になる本
二人の村上といえば、おおかたのところ村上龍と村上春樹になると思うわけです。
大使もこれまで二人の作品を読んできたが、作風は大違いで・・・
つまり、社会性の有無に違いがあると思うわけです。

村上龍の場合、社会の闇に対して刃を研ぐという風な感じがして・・・
文学論はさておいて、イラチな大使のツボを突くわけです♪

“『希望の国のエクソダス』取材ノート”という本を図書館を借りたが、経済関連のインタビューに多くを割いていました。
その一部を紹介します。

<「円圏」の可能性>
村上 :今までの話をうかがっていると、アジアの通貨圏というのは、IMFを含めたアメリカ金融資本の一極支配に対抗したいんだけど、日本に経済に詳しい人が少ないために、それを間違った形でつくろうとしているという問題もあると僕は思うんです。
 世界金融資本に対するナショナリズムみたいな感じでつくろうとしているという問題もあると僕は思うんです。

 世界金融資本に対するナショナリズムみたいな感じで、大東亜共栄圏みたいな「円圏」をつくろうとする動きに対して、国際金融資本がその動きそのものをターゲットにする可能性というのは考えられないですか。

関 :それはありますね。97年のソロスとマレーシアのマハティール首相との間で交わされた論争を思い出せばいい。ヘッジファンドに象徴されるように、個人の利益のためには国の利益も犠牲にするという動きに対して、「なんでもアングロサクソン流のやり方で本当にいいのか」と、アジア的価値観を代弁したマハティールが問題提起しました。しかし、彼の見解が「アジア的ナショナリズム」と批判されて、マレーシアがマーケットからはひどい処罰を受けました。陰謀とはいわないけど、世の中がこういう雰囲気になっているんですね。

 ややオーバーに言うと、IMFとムーディーズのような格付機関、それえにフィナンシャル・タイムズのようなマスコミが組んで、「この国はもうだめえすよ」と宣告するだけで、本来は健全である国でも一発で倒れるんです。まさに、自己実現の予言ですね。
 アジア金融危機も、山一がつぶれたのも、それに近い状況でした。日本だって、世界一の債権国と言いながら格付けが下げられる。しかも邦銀がドルで借金すると、ジャパン・プレミアムがつけられます。普通はお金持ちが借金する時にはディスカウントですよ。必ず返ってきますから、金利が安くていいはずなのに。
 結局、現在の国際金融の諸制度は、米国には有利、他の国には不利になっているんじゃないですか。これを是正するためにも円圏が必要だと思います。

 円圏の話は、私は92年ぐらいからしているんですが、アジア側の反応は、やはり警戒的でした。特に最初は韓国あたりから「関さんは日本政府からお金をもらっているだろう」という批判もありました。最近になって、私の主張、つまり、為替政策を運営するにあたって、対ドル安定だけではだめで、対円安定も重要ですよということは、アジア側にもわかってもらえるようになりました。ただ本当に円だけでいいのかということになりますと、大半はまだ無理だと思っています。また、「円圏」という言葉が政治的に受け入れがたいのは間違いないです。日本側も自粛しています。経済の理屈としてはそうでないということは、わかっていても・・・。

村上 :感情論もあるかもしれませんね。

関 :アジア通貨基金に関しても、今回通貨危機に見舞われたASEANと韓国は基本的にはオッケーなんですが、大蔵省は中国に対して話を持ち出す自信がない。

村上 :中国を納得させるようなアジアの通貨圏というのは、どういう形になるんですか。

関 :通貨圏というのはまさに見合い結婚みたいなものでして、それぞれハッピーじゃないと一緒にならないですね(笑)。日本が「アジアのために円圏をつくる」と言うのはおかしい話で、日本は日本のためにつくらないと、民主主義の国家では無理です。だから円圏をつくるには、まずは日本にとって、どういうメリットとデメリットがあるのかをはっきりさせて、同時に、相手側の都合も考える。今、何が困っていて、円圏になったらどういう問題が解決できるのかを理解してもらう必要があります。

 たとえば、アジア各国が対ドル安定、いわゆるドル・ペッグ政策を採っていなかったら、97年の通貨危機は避けられたかもしれない。為替レートが安定すれば、アジア経済が安定するという考え方は間違っていませんが、ただ、為替レートは、対ドルだけではないですよね。百何十カ国があれば、百何十種類の通貨がある。アジア各国はドル・ペッグのもとでは、円ドルレート変動の影響をもろに受けます。具体的に、円高になると、日本経済の減速と対照的に他のアジア諸国の景気はよくなる。逆に円安になるとアジアの景気は悪くなる。1985年のプラザ合意以来、この繰り返しです。97年の通貨危機も円安の進行を背景に起こりました。日本自身は、円ドルレート変動の影響を受けてもしょうがないかもしれませんが、他のアジア諸国にとってみれば、隣の夫婦喧嘩でなんでうちが被害を受けなければならないかという気持ちでしょう。円圏というのは、まさに円の役割を高めて、アジア経済を安定化させようという構想ですね。



【『希望の国のエクソダス』取材ノート】
エクソダス
村上龍著、文藝春秋、2000年刊

<商品説明>より
 集団不登校から始まり、最終的に新たな生き方を大人たちにつきつける中学生集団を中心に展開する小説『希望の国のエクソダス』。設定は奇想天外だが、教育、通貨危機、IT革命、社会システムの崩壊、老人問題、環境破壊など、日本の社会的背景を克明に書き込んであるため、絵空事として片づけられないリアリティーに満ちている。
 著者はどのようにして日本の近未来シミュレーションの情報を手に入れたのだろうか。本書は、小説世界を支える情報源となった取材インタビューを収録したものだ。経済学者や為替ディーラー、文部省官僚、インターネット起業家、暴走族、大学教授など13人の事情通が、村上龍の構想に基づいて、近未来の日本の姿を構築するためのデータやアイデアを提供、物語のクライマックスとなる通貨危機のアイデアや、印象的なキャラクターの出どころをうかがわせる興味深いインタビューも含まれている。

<読む前の大使寸評>
この小説が面白かったので、小説世界を支える情報源が興味深いわけです。

amazon 『希望の国のエクソダス』取材ノート



我が蔵書録から「希望の国のエクソダス」を見てみます。

【希望の国のエクソダス】
エクソダス
村上龍著、文芸春秋、2002年刊

<内容紹介より>
2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた。経済の大停滞が続くなか彼らはネットビジネスを開始、情報戦略を駆使して日本の政界、経済界に衝撃を与える一大勢力に成長していく。その後、全世界の注目する中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった。壮大な規模で現代日本の絶望と希望を描く傑作長編。

<大使寸評>
非常に刺激的な設定を設けているが、今どきの中学生はラインにはまって群れているだけではないか。
さすがの村上の予見も、やや外れたのかも?

文春 希望の国のエクソダス






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Last updated  2014.02.19 18:55:24
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