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2014.05.10
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カテゴリ: 気になる本
ほぼ1ヶ月ぶりに神戸に帰ってきました。
父の看取り、葬儀の合間に、図書館で本を借りたわけです。

<図書館大好き60>
今回、四国の図書館で借りた5冊です。
だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「原発あるいはポリティカル・サスペンス」でしょうか。

<市立図書館>
・アトミック・ボックス
・コラプティオ
・やっちゃれ、やっちゃれ!

・小説家になる方法

図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)

*************************************************************

【アトミック・ボックス】
アトミック

池澤夏樹著、毎日新聞社、2014年刊

<「BOOK」データベースより>
28年前の父の罪を負って娘は逃げる、逃げる…「核」をめぐる究極のポリティカル・サスペンス!

<大使寸評>
池澤夏樹が、これほど面白く読める活劇をものにするとは、意外でした。
ほぼ同時期に読んだ「コラプティオ」、「やっちゃれ、やっちゃれ!」と比べてみると、この本がいちばん面白く読めたのです。
この3作品の優劣を比較するのはどうかとも思うが(笑)、ストリーテラーとしては池澤夏樹が優れているということでしょうね。

rakuten アトミック・ボックス



【コラプティオ】
真山

真山仁著、文藝春秋、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
「私には希望がある」-国民の圧倒的支持を受ける総理・宮藤隼人。「政治とは、約束」-宮藤を支える若き内閣調査官・白石望。「言葉とは、力」-巨大権力に食らいつく新聞記者・神林裕太。震災後の原子力政策をめぐって火花を散らす男たちが辿り着いた選択とは?『マグマ』で地熱発電に、『ベイジン』で原発メルトダウンに迫った真山仁が、この国の政治を問い直す。

<大使寸評>
この本のテーマが震災後の原子力政策となると、ジャンルとしては、ポリティカル小説になるんでしょう
現実社会では、BWRメーカーでもある東芝が三菱重工をさしおいて、ウェスティング・ハウスを買収するというねじれ現象が生じています。
この小説では、政府が東芝とおぼしきミドリ電機を通じて、ウェスティング・ハウスとおぼしきウィルバー・コムまで国有化して、更に三菱重工とおぼしき大亜重工と組ませて原発で経済大国を目指すという設定になっています。
それから、後半の部分では、アフリカのウェステリアで資源開発事業団がウラン鉱脈を掘り当てた後、軍事クーデター発生し、日本贔屓の大統領が処刑されるというようにきな臭くなるのです。
クーデター資金の出所を狙って、ルモンドと暁光新聞がスクープ合戦を広げることになり・・・
最終章あたりで、資源獲得のため、日本にスパイを送り込む中、仏が暴露されるのが、怖いで!

業界の裏を知り尽くした、真山さんのやや無理筋のポリティカル小説となっています。
戦略的シュミレーション、政治的イシューとしては面白いが・・・
文芸作品としては、エピソードてんこ盛りで、ちょっと雑ではないかと思った次第です。
Amazon コラプティオ


米国のPWRメーカーを日本政府が国有化するというストーリーは、大胆であるが…
かの国のパワーポリティクスが許すことは実際にはあり得ないではないか。



【やっちゃれ、やっちゃれ!】
やっちゃれ

坂東眞砂子著、文藝春秋、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
このまま衰弱死するがやったら、高知は日本から独立するしかないろうが!直木賞作家が本気で描いた、迫真の地方独立小説。

<大使寸評>
住民投票で土佐黒潮共和国を誕生させる。それもキューバを参考にして自給自足をめざすという・・・明るくて大胆な構想が、いかにも土佐のはちきんなんですね♪
50代で早世したが、惜しい人を亡くしたものである。
沖縄県には独立の気運がなくはないが、その次に独立の話がもちあがっても不思議でないのが高知県である・・・・
この小説のラストでは、貿易交渉のため小さな漁船でフィリピン目指して航行するシーンとなっています。
いかにも現代版の海援隊であるが、地産地消というか明るくていいではないか♪

単なる実験小説と笑っている場合でない面白さがあるなぁ(笑)

amazon やっちゃれ、やっちゃれ!


終盤近くで、留置場爆破やカラシニコフが出てくるあたりは、いかにもポリティカル・サスペンスである。
p336~337
爆破に驚いて、留置場の外に出てきた警官が、脱出した沢田を発見して、何か叫んだ。沢田は地面に達するや、カラシニコフを構えて、警官に向かって発泡した。慌てて警官が近くの駐輪場の外壁の内側に飛びこんだ。この騒ぎで、裏通りもすぐに警官でいっぱいになるだろう。
「早くっ」
悠斗が、寄田に声をかけた。
寄田は震えるようにかぶりを振った。
「ぼくは行かん。行かんというたら、行かん」
まるできかん坊のようだ。
「銃を棄てろ、抵抗すると、撃つぞっ」
破壊された独房から、警官の警告の声が響いてきた。通路にも、独房にも、数人の警官が現れて、こちらに短銃を構えている。
「時間がない。脱出する」
悠斗がカラシニコフを片手に構えたまま、長谷に告げた。
「寄田さんっ」
長谷が唸るようにいった。
(文字数制限により省略、全文は ここ )




【言語学が好きになる本】
言語学

町田 健著、研究社出版、1999年刊

<内容紹介>より
「外国語」に日本語みたいな『敬語』はあるの?」など、身近にあるコトバにまつわる素朴な疑問を通して、言語学の基本が手にとるようにわかる。

<大使寸評>
漢字とか言語学が好きな大使であるが、つい、またこの種の本を借りたのです。

amazon 言語学が好きになる本



【小説家になる方法】
小説家

清水義範著、ビジネス社、2007年刊

<おわりに>より
小説家になりたいと希望している人のうち、実際になれる人の比率はどのくらいだろうか。それは調べようもないことだが、私の想像では、なりたいと一瞬でも思ったことのある人100人につき、なれる人が一人といったところではないだろうか。
(中略)
私は「書く仲間」を増やしたいのだ。
そういう人は私と同類の、話の通じる人だと思うから。
そんな思いを込めて、本書を書いた。さて、これを読んで本当に小説家になる人は、どれくらいいるだろうか。とても楽しみだ。

<大使寸評>
『SFマガジン』の新人発掘企画に応募し「カスリの清水くん」との異名を取った清水さんの著わした著書であるが…
小説家未満時代の「汗と涙」を笑いにまぶして述懐しています。
基本的には創作活動のススメが語られているわけで、たとえ小説家になれなくても、ブログを書く上でのヒントやノウハウが見つかることは、請け合いでしょうね♪

amazon 小説家になる方法


清水義範さんは、西原理恵子と組んで文庫本を出したりしていて、その本からもユーモアの資質が感じられるが、次のくだりを読むと、なるほどと納得するわけです。
p131~133
 要するに、私には人間の営みを思いもかけない視点から見たり、裏返しにしてみたりして、意表を衝くおかしさを指摘する能力が、いつの間にか備わっていた。もともとの個性と、SFから学んだ思考法やユニークなユーモア精神から、人間を笑い、かつ愛する、というような異想の小説が書けるようになっていたのだ。
 それが、私の書きたい小説だった。
(中略)

 それにしても、自分のことはわからないものである。自分がどういう小説を書きたいのか、つまりそれは「自分とはどういう人間か」ということでもあるのだが、それを見つけるまでに、12年くらいの時間が必要だった。
 もっとも、私の場合は見つけにくいのも無理はない、という事情もあった。なぜなら、私の書きたいものには前例がなかったからだ。まだ誰も書いていないものが、書きたかったのだから、それが何なのか、とても説明しにくかったのである。
 パスティーシュというキャッチコピーをつけられた時、私はその言葉を知らなかった。つまり私は、私自身が名前を知らないものを書いたのだ。それでは、あらかじめ説明できないのも当然である。

 しかし、名前がついてしまえばもう、それは私の手の中にしっかりと握られた。私の頭の中には、そういう小説でよければ、その材料はほとんど無尽蔵にあった。
 『小説現代』に載せる3作目に、私は『蕎麦ときしめん』という小説を書いた。それは、イザヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』というベストセラー書をからかいたくて、発想したものだ。日本人は、外国人が日本の悪口を書き並べた本を、大喜びで読むという、とてもおかしい面がある。ちなみに、イザヤ・ベンダサンは、山本七平さんという日本人だが。 
 ならばと考え、東京から名古屋に転勤で来ている人が、名古屋人の悪口を書き並べる名古屋人論をやってみた。ギャグ満載のデタラメ名古屋人論である。
 この小説が、思いがけないほど評判になった。


*************************************************************
とまあ・・・・
抜き打ちのように、関心の切り口を残しておくことも自分史的には有意義ではないかと思ったわけです。
図書館大好き59
図書館大好き(目録)






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Last updated  2014.05.10 23:22:26
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