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2014.06.14
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G7の場で、安部さんが中国の無法な行動について批判したが・・・・
良い悪いは別にして、安部さんは日米同盟をバックにしているわけです。

昨今のきな臭い情勢もあり・・・
2009年に刊行された『日米同盟の正体』という本を再読しているのだが、4年を経て時代がこの本に追いついた感があるのです。

著者の孫崎さんが、この本の最終章「日本の進むべき道」で、卓見を述べているので、その一部を紹介します。

<日本独自の道を再評価する必要性> よりp248~250
 戦後の日本は、自らの選択ではなかったが、軍事を捨て経済に特化するというモデルを採用した。結果として、グローバリズムが深化し、経済の相互依存性が高まる中で、この行き方が自国の安全を確保する手段となっている。これはキッシンジャーなどが予想しなかった安全保障政策である。
 振り返ってみると、戦後日本は国家の行き方として新しいモデルを構築した。そして日本は自己の経済力を高めるにつれ、外交を活発化させた。その中で自己のモデルを他国に押し付けてはいない。しかし、日本と同じモデルを志向するなら、その自助努力を支援する態勢をとった。恵みではない。支援である。

 今日、日本くらい、国内秩序が優れた国は世界中にほとんどない。昭和30年代(1950年代後半~60年代前半)の日本は、経済成長の過程で、鉄鋼や自動車など重要産業分野で国際水準に追いつく努力をする一方、弱者を国際的にも国内的にも見捨てなかった。
 国内では、地方、農村、中小企業等弱者支援のシステムを作った。国際的には、円借款で発展途上国が自ら立ち上がるのを助けた。1960年前後、日本は自分自身が苦しい中、懸命に弱者の国を救うシステムを作った。
(中略)
 1981年、アラファトPLO議長を国賓待遇で最初に招待したのは日本である。国際的非難の中にあるカンボジアやミャンマーにも支援の手を差しのべた。
 1989年の天安門事件後、G7で閣僚級の中国への親善訪問を禁止した時、親善ではなく交渉であるとして、G7の閣僚で最初に中国を訪問したのは橋本龍太郎蔵相(当時)である。93年にはイスラム原理主義の国家として警戒されていたイランに円借款を供与した。

 かつての日本外交は、悪と判断された国も切り捨てるのでなく、西側の価値観を共有できる国へ誘導することを目指した。この努力は今日の日本に対する好意的視線を形成する上で貢献した。
 支援の中核となる円借款の貴重な資金源は郵便貯金であった。しかし、日本は郵政を民営化した。地方、農村、中小企業の弱者支援のシステムは今後崩壊してゆく。われわれは本当に弱者救済のシステムを捨てなければならなかったのであろうか。将来、弱者切捨ては社会不安として必ず反動が出てくるだろう。

 過去の日本的行き方は国際的にも評価されてきた。世界で最も望ましいと見られる行き方かもしれない。日本が持つ日本的なものの価値を見直してもよいのではないか。
 日本への好感度は国の安全保障分野に影響を与えるのみではない。敗戦後、日本に対する政治的評価の厳しい時代、国際社会に出て行った人は、日本の否定的イメージを背負い苦労した。今日、日本人は海外での商談や安全面や個人的つきあいで、日本の好感度の恩恵をいかに受けているか。逆に、日本以外の国民で自国ブランドの評価が低いため、不当に扱われたと嘆く人は多い。個人や企業は、各々の資質や能力を超えて得る日本というプラス・イメージの価値を理解し、その育成に積極的になっていいのではないか。

外務官僚だった孫崎さんだから、古巣の政策を肯定する気持ちが含まれているかも知れないけど・・・まあ、卓見だと思ったわけです。

なお、次のくだりに日米同盟の本質が表れているかも知れないですね。

<日本はなぜ核抑止力を考えてこなかったか> よりp219~222
 日本の隣国、ロシアと中国は核保有国である。さらに北朝鮮は核保有国への道を進んでいる。この状況を考えれば、論理的には、日本で核問題を議論するのは当然である。
 第二次大戦以降の基本軍事戦略は、相手国が武力攻撃を行わない最終的担保は、攻撃する国に攻撃以上の被害を与えることとしている。この点に議論の余地はない。では日本はなぜこの基本戦略に基き、核兵器保有問題を議論してこなかったのであろうか。
 一つに日本の被爆国としての特異性がある。「ノー・モア・ヒロシマ」は国民一体の強い願いである。

 しかし、われわれはもう一つの要因、米国の意向という要素に留意しておく必要がある。マイケル・グリーンは前掲論文「力のバランス」で次のように記している(要約)。
「サンフランシスコ講和会議時、ダレスは各国代表に対して、戦略的取引に関するアメリカの見解を説明した。第一に日本は民主主義諸国の共同体に留まる。第二に日本は、国連憲章の下で国家自衛権を保持するものの、攻撃能力を発展させることはない。第三にアメリカは日本国内に基地を保持する。ダレスにとり、この3点は譲れないものだった。吉田首相は戦略的取引に伴う非対称性が永遠に続くとは予期していなかったに違いない。日本は、自国の防衛を他国に依存するレベルに留まり続けるべきではないと、首相自身が述べている。
 実際、ハーマン・カーンからヘンリー・キッシンジャーに至るまで、日本の経済復興は自立した軍事能力に結びつくだろうと論じてきた」
 このグリーンの説明で特異なのは、ダレスが日本に攻撃能力を発展させないことを絶対譲れない点として求め、日米で合意したことである。

 西側陣営で、米国に基地を提供する国は多い。しかし、世界中で攻撃能力を持たないことを安全保障政策の基本とする国はまずない。だが、こうした指摘はグリーンだけではない。第4章でも登場したケント・カルダーは、『米軍再編の政治学』で、米軍基地は日本を無力化させる目的を持っていた、と記している。

 では、今日、米国の方針はどうなっているのか。
 (中略)
 「大綱」では、米国が必用な核抑止力を有しているので、「日本に打撃力と核抑止力は持たせない」という状況で推移させる方針が貫かれている。日本に新たな役割分担は求める。日本が国際舞台で危険の負担を行うことは求める。しかし、日本防衛に関しては日本独自の抑止能力は持たせない。これが今日の米国の対日安全保障政策である。
 カルダーが述べたように、米軍基地は日本を無力化させる目的を持っていた。また第3章で見たように、少なくとも1992年の時点では、米国防省は日独の核兵器保有を警戒していた。日本に核兵器を持たせないとの目的は、いまでも米国から完全に払拭されたわけではない。




同盟

孫崎享著、講談社、2009年刊

<「BOOK」データベース>より
アメリカ一辺倒では国益を損なう大きな理由。インテリジェンスのプロだからこそ書けた、日本の外交と安全保障の「危機」。
【目次】
第1章 戦略思考に弱い日本/第2章 二一世紀の真珠湾攻撃/第3章 米国の新戦略と変わる日米関係/第4章 日本外交の変質/第5章 イラク戦争はなぜ継続されたか/第6章 米国の新たな戦い/第7章 二一世紀の核戦略/第8章 日本の進むべき道

<読む前の大使寸評>
2009年に出た本であるが、2014年1月に第16刷発行となっている。いわゆるロングセラーというもんだろう。

rakuten 日米同盟の正体


おりしも13日のWEDGEに 米アジア回帰に対する「3つの反対論」 という記事が出ているが、アメリカのリバランシング戦略を見てみましょう。






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Last updated  2014.06.14 22:39:59
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