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2014.07.19
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カテゴリ: 気になる本
図書館に借り出し予約を入れて長らく待っていた『脊梁山脈』が、やっと借りられたので読んでいるところです。
この著者の小説は初めて読むのだが・・・
お歳のわりに古い仮名遣いが多いのである。これまでそんな小説ばかり書いてきたのだろううか?
(「BOOK」データベースによると、著者初の現代小説とのことです)

ま~、文体とか、仮名遣いとかは瑣末なことではあるが(笑)



山脈

乙川優三郎著、講談社、2013年刊

<「BOOK」データベースより>
福島県費生として上海に学び、現地入営した矢田部信幸。復員列車で助けられた男を探し、深山を巡るうち木工に魅せられ、木地師の源流とこの国のなりたちを辿ってゆく。23歳の終戦、いかに生き直すか。直木賞受賞作『生きる』から10年、著者初の現代小説。

<大使寸評>
この本は、読みどころがテンコ盛りである♪が・・・
日韓でナショナリズムが吹き荒れる昨今、帰化系氏族とか日鮮同祖がでてくるあたりが興味深いのです。とにかく著者の思い描く歴史認識のスパンは長く、広いわけです。

rakuten 脊梁山脈


この本は、読みどころがテンコ盛りである♪が・・・
とにかく著者の思い描く歴史認識のスパンは長く、広いわけです。

日韓でナショナリズムが吹き荒れる昨今ですが、帰化系氏族とか日鮮同祖がでてくるあたりを紹介します。
p142~143
古代の帰化系氏族を調べるうちに、彼は帰化人の概念が今とは著しく異なることに気づいた。そこには幕末に攘夷を叫んでいたであろう近代日本の為政者が作り出した民族的な偏見はなく、帰化人もまた日本人として堂々と生きていたようなのである。ひとつには国家が未熟なせいで、あらゆる分野で彼らの力を必要としていたからだろう。

 諸藩と呼ばれながら政治や軍事に関わり、先進の文化を導き、国史を編纂し、外交に働き、優れた土木技術によって開拓と殖産をすすめた。その中には純粋な日本人と思われている人物も少なくない。

 敗戦と連合軍の占領で目が覚めるまで、古代大和政権が朝鮮半島南部を支配し、天智称制のときに白村江の戦いで敗れた結果、その権益を失ったのだから半島はもともと日本のものである、と教えられたまま信じていた彼は、この独善的な史観の危険性にも気づかずに青春を過ごした。大抵の若者がそうだったと思う。それが恐ろしい。

 民族という呪縛の外から醒めた見方をすれば、国家とは自身の世界を中心に置いて、自身に都合のよいように世界を眺めるための小さな見晴台にすぎない。小心な為政者にとって外国人は邪魔であろう。しかしそこが成熟した国家でなければ彼らは一員として新しい文化と体制を作れる人たちであり、古代の帰化人も様々な事情から海を渡り、日本という国を作ることに深く関わってきたのではないかと思った。

 そのことに気づいたときから、信幸はまったく別の意味で日鮮同祖という考え方を愉しむようになっていた。体に染みついた日本というものを一度捨てる作業でもあったが、大陸で暮らした経験からか抵抗はなかった。

 もっとも上海の租界は列国の大陸進出の窓口にすぎず、貿易による繁栄と自由を謳歌した人々も本当の意味で中国社会に溶け込んでいたとは言えない。古代日本に渡来した人々のように枠を作らず、帰化し、その国の人となって生きることはしなかった。
 大きな夢を持ち、人生をかけて渡航し、自由を愛しながら、戦争が起これば母国へ帰ってゆく人たちと、その国の人間として戦う人たちとの違いは大きいだろう。先住者から見れば前者は気紛れな越境者でしかない。

 7世紀中葉、百済救援のために兵を率いて朝鮮半島へ遠征し、唐と新羅の軍と戦い、白村江で戦死した帰化系の氏族に朴市秦造田来津という人がいる。山背の秦氏を本流とする秦一族の人で、近江愛智郡を本拠としていたので朴市田来津ともいう。その活躍ぶりは日本書紀にも描かれていて、天智天皇に近い人であったことが分かるが、いま我々の思う日本人ではなかった。そういう人が古代社会には大勢いた。彼らに帰属した部民を入れると、大化前代の秦一族だけでも十万人はいただろう。この一族に信幸は注目した。

なるほど・・・


この本のテーマは木地師の源流とこの国のなりたちということになるのだが・・・
木地師についてネットを巡って、探してみました。


琵琶湖の風物詩 より
《木地師の里》
 とち、ぶな、けやきなどの木を伐り 椀や盆、こけし、こまなどの木地を作る職人のことを木地師と言い 轆轤(ロクロ)師、杓子師、塗物師、引物師を木地業の四職と言った。 殆どの木地師は人里離れた深山に入って職を営みながら生活し、その山に良材がなくなれば新しい土地へ移住する漂泊の生涯を送る。 その活動の足跡は全国各地に見られる。 
 このような木地師発祥の地が近江路の湖東地区、神崎郡永源寺町の小椋谷と呼ばれる所で、今も 「蛭谷」と「君ヶ畑」という集落がある。
 今回は蛭谷にある「木地師資料館」を訪ね、この伝統文化を守り伝承努力をしておられる小椋正美氏にお話を伺った。

 近江路随一の紅葉の名所としても知られる臨済宗永源寺派の大本山永源寺を過ぎ、永源寺ダムを越えて 更に30分ほど北東方向へ車で走った山中、鈴鹿山系の山々に抱かれた山間に小椋谷はある。

【全国木地師の支配・支援・保護】
 蛭谷の「筒井公文所」や君ヶ畑の「高松御所」は、全国に分散した木地師たちをすべて自らの氏子と称して保護したため 江戸時代には全国最大の木地師支配組織が確立することになった。 両支配所は諸国の木地師に「山への立ち入り 原木の切り出しは自由という許可証」や「諸国の関所を自由に通行できる往来手形」を発行するなどの特権が与えられており、それによって木地師の特権を保護した。

 お墨付きと称する朱雀天皇や正親町天皇の綸旨(天皇の仰せを受け蔵人所が発行)をはじめ、時の為政者(足利尊氏、織田信長、豊臣秀吉など)の許可状の写しが下付され、木地師たちは安心して活動することが出来た。
 両支配所は氏子として木地師の身元を確認し、氏子かり料・初穂料・奉加金などを集め、氏子には神札・お墨付きなどを配布しながら各地を巡回した。
 この廻国のことを蛭谷では「氏子駈(うじこかり)」、君ヶ畑では「氏子狩」と言い、その記録が 「氏子駈帳」 「氏子狩帳」 である。 県指定文化財で前者が32冊、後者が53冊現存し 両地区で数万戸の木地師名が記帳されている。

資料館木地師資料館

【 木地師資料館 】
 筒井神社境内にある普通の民家風の建物が「木地師資料館」。 全国から寄贈されたロクロを使った伝統ある木地製品をはじめ木地師の伝統と文化を伝える古文書の数々が展示されている。
 1100年以上遡る朱雀天皇、正親町天皇の綸旨や信長、秀吉の許可書の現物がこの山奥の資料館に保存されているのを目の当たりにして驚きを感じる。
 またここでは 手挽きロクロの原型も見ることが出来る。 このロクロは秋田の有名なこけし工人、小椋久太郎氏の父久四郎翁が愛用された現物である。


木地師については、こだわりを持ってフォローしているのですが・・・
木地師について にとりまとめているので、ご笑覧ください♪

ところで、この小説は、百万塔の木製小塔にも言及しているが・・・・
木製小塔と木地師をつなぐ著者の視点が謎解きのようで面白いのです。
『図説 本の歴史』という本から、百万塔陀羅尼のあたりを紹介します。

<百万塔陀羅尼と日本の仏典> p30~31より
 中国で発明された木版印刷術は、朝鮮半島を経由して、遅くとも奈良時代までには日本へと伝わったが、ほぼ同じ時代、同じルートで、仏教も日本へと伝来している。
 東アジアにおける印刷は、仏教と密接な関係があり、お互いの存在なくして発展はありえなかったといえるだろう。それは、初期の印刷物のほとんどが仏書であったことが証明している。

 日本印刷史の先駆けとなり、その金字塔ともなったのが、百万塔陀羅尼の印刷である。これは、764年から770年にかけて孝謙太上天皇が、国家の安泰を願い、「無垢浄水大陀羅尼経」に説かれている造塔・写経の功徳を期待して、根本・相輪・六度・自心印の4種類の陀羅尼を百万枚印刷させて、百万基の木製小塔におさめ、法隆寺など畿内の十大寺に分置させたものである。

百万

 この国家的事業につては、『続日本記』に記されており、百万塔陀羅尼が、印刷された年代が記録に残る現存世界最古の印刷物であることがわかる。






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Last updated  2014.07.19 00:27:11
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