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2014.11.21
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カテゴリ: アート
<ほんの数行>
図書館予約で借りた和田誠著『ほんの数行』を読んでいるが・・・ええでぇ♪
安西水丸さんが亡くなり・・・
イラストレーター界の大御所のような存在であるが、偉ぶらないのが和田さんの持ち味なんでしょうね。

この本で、装丁した3000冊を超える本から名ゼリフがキラリと光る100冊を選んだとのことです。
表紙のイラストとエッセイが楽しめる構成が、グリコのアーモンド味みたいで・・・ええでぇ♪

和田

100冊のうち、1冊を紹介します。

<イブのおくれ毛> よりp72~73
「そら、マサシゲさんかてしたはるわ。マサツラさんがいてはるもん」
 田辺聖子「イブのおくれ毛」(文芸春秋)より

 田辺さんは「文芸春秋」に「女の長風呂」というタイトルのもとにエッセイを6年ほど連載されていた。それが5冊の単行本になり、さらに「ベスト・オブ女の長風呂」として3冊のアンソロジーにまとめられた。その3冊の装丁をぼくが担当したわけです。

「女の長風呂」はシモネタが多かった。シモネタと言っても下品ではない。ユーモアのオブラートに包まれていて、楽しいのである。
 引用した数行は、女学生時代にセックスについての知識を仕入れた同級生が友だちに一人ずつ耳うちしたが、当時の田辺さんは楠木正成までそんなことしたとは信じられず、その話の63パーセントはウソだと思う、ときいて発した同級生の言葉。

 戦時下のことである。後醍醐天皇を守る楠木正成は忠臣中の忠臣と教えられたいた。銅像も立っていた。「青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ・・・」という歌も知られていた。戦場に向かう正成を追ってきた息子の正行を泣きながら国に帰す情景を歌ったもので、このエピソードは小学校(当時は国民学校)の学芸会の演目にさえなっていた。

 そんな正成は多くの日本人の尊崇の的だったので、セックスと結びつけることなど畏れ多いことだったのだ。でもこの同級生は「正成さんにも正行さんという息子がいるのだから、セックスしている筈だ」とクールに言う。そういうセリフが面白い。


もう1冊紹介します。

<字幕の中に人生> よりp194~195
世界の国々で外国映画を上映する場合には、
ほとんどが吹き替えで、
字幕が主流をしめているのは日本だけである。


戸田
戸田奈津子「字幕の中に人生」(白水社)より

 映画における「字幕」という言葉は無声映画から始まっている。画面で侍がしゃべっていても無声だから何を言っているかわからない。そこで「寄らばきるぞ」といった文字だけのカットが挿入される。それを「字幕」と呼んだのだが、現在では外国映画のセリフの翻訳が画面の片隅(右側であったり、下の方であったり)に現れるのを「字幕」と言っている。

 その意味での「字幕」日本初登場はゲイリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ主演の「モロッコ」だったことが、この本にも記されている。「モロッコ」の字幕翻訳家は田村幸彦、ヨーロッパ映画の字幕翻訳で知られた秘田余四郎、アメリカ映画では清水俊二、高瀬鎮夫、といったかたがたが字幕翻訳の歴史に名を残している。その人たちと並ぶ仕事を現在していらっしゃるのが戸田奈津子さんなのである。

 その戸田さんが字幕翻訳をこころざしたきっかけから、いかに修業をしたかという自分史に加えて字幕翻訳の楽しさ、むずかしさ、翻訳の心得、翻訳にまつわるエピソードなどを綴ったのがこの本。

 外国映画を観るのに字幕がいいか、吹き替えがいいか、というのは映画ファンの間でしばしば議論の対象となる話題である。ぼくはゲイリー・クーパーはクーパーの声で、ハンフリー・ボガートはボガートの声で聞きたい、という字幕派なのだが、親しい映画仲間にも吹き替え派がいて「字幕には字数の制限があるから正確な情報が盛り込めない」とか「ディスカッションドラマでは複数の人間が同時にしゃべることがある。字幕を同時に出すのか」などと主張する。

 戸田さんは字幕の専門家だから基本的には当然字幕派なのだが、吹き替え派のアメリカについては、

アメリカ映画の戦争物で、ドイツ兵とドイツ兵が英語で話していたり、スパイ映画でロシア人同志が英語で話しているなどという不合理も、ひとえに観客に字幕を読ませないための「映画の嘘」なのである。

 と書き、「字幕と吹き替えは平和共存」とも書いている。まあ二者択一とはむずかしいところだ。

 装丁をする時の書名はぼくの描き文字にすることが多いが、この本では著者に紹介していただいて字幕の文字を書く名人、片平浩さんにお願いした。映画関係の本だから、映画らしい文字を使いたかったのである。




和田

和田誠著、七つ森書館、2014年刊

<商品の詳細説明>より
 半世紀以上にわたってイラストレーター、デザイナー、映画監督と多才な活躍を続ける和田誠さん。装丁した3000冊を超える本から、名ゼリフがキラリと光る100冊を選びました。和田さんのインスピレーションを刺激した「ほんの数行」のフレーズとブックデザインをめぐる想い出を、装丁家ならではの視点で楽しく綴ります。

<読む前の大使寸評>
「この本の装丁も和田誠だったのか」といつも思うのです♪
「商品の詳細説明」の目次に、和田さんの好みとか交友関係が表れているようです。

<図書館予約順番:7(9/23予約、11/18受取)>

rakuten ほんの数行


この記事も 和田誠アンソロジー に収めておきます。





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Last updated  2014.11.29 06:36:37
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