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2014.12.07
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カテゴリ: 映画
図書館で『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』という本を借りたのだが・・・
おお♪「高畑勲が語るアニメーション美術」と題して、高畑勲さんと種田陽平さんの対談が載っています。

日本アニメの歴史や技法について、縦横無尽なトークが見られるでぇ♪


<高畑勲が語るアニメーション美術>
種田:高畑さんは仏文科出身で、やはりフランス映画がご自身の基礎になっていますか?
高畑:そうですね。マルセル・カルネやジャン・ルノワール、ルネ・クレマンなんかにのめり込んだんです。それからイタリアのネオリアリスモ、でも、自分の身に何が相応しいのかというのは、後になってだんだんわかってくるもので、やがて、自分は日本人だなとハッキリ思うわけですけど。

種田:日本映画では、どういう作品をご覧になっていたのですか?

高畑:木下、今井、成瀬、もちろん黒澤も。小津安二郎は『晩春』『東京物語』『麦秋』あたりは好きでしたが、晩年の作品はあまり好きじゃなかった。
 上流の連中がどうでもいいことを喋りあっているとか、リアルタイムで見て、「なんで今、こんなものをやっているの?」という感じですね。小津は映画の中でどんな工夫をしていたのかという点に目が行くようになるのは後になってからです。すると本当の面白さが見えてきました。構図の取り方や人物の捉え方の意味についてはもちろん、内容に関しても、ですね。

種田:僕は高畑さんが東映動画に入社した翌年の1960年生まれで、物心ついて初めて見た映画が、高畑さんが演出助手で入られていた「わんぱく王子の大蛇退治」(63)でした。テレビでも高畑さんも演出された「狼少年ケン」(63)や「少年忍者 風のフジ丸」(63~64)に夢中になった。中でも初監督作「太陽の王子 ホルスの大冒険」(68)は特別な作品で、当時小学校3年生でしたが、映画館で3回も見たんです。今、実写の映画を作っていますが、ときどき、ふと、ホルスとヒルダが出会う湖に沈む廃村の風景を思い出したりする。あの作品が原体験的に自分の中に染みついているので、高畑さんに一度、日本のアニメーションについて伺いたかった。東映動画に入られたのは、第一作の長編『白蛇伝』に感じてですか?

高畑:いえ、入社が決まった後に見たんです。しかも、それまで見ていたディズニーやグリモーと比較して、『白蛇伝』はまだまだだな、なんて思って。 
 ところが、いざ東映動画に入ったら、そんな見方がガラッと変わった。アニメーションを作ることがどれだけ大変かがわかって謙虚になったんです(笑)。それで、弱点よりいいシーンに目がいくようになったし、いろんな工夫にも気がついた。

種田:例えばどういう工夫でしょうか?

高畑:東映動画作品はみんな横長のワイド、いわゆる東映スコープで作られるんですが、動画用紙もセルもえらい横長で作業がしにくいし、実写も同じですが演出的にも構図にも特別の工夫が必要だったんです。ディズニーも『眠れる森の美女』からワイドになった。ところが第一作の『白蛇伝』は4:3の昔のスタンダードサイズ。いまではビスタサイズが映像の標準になっていますが、『白蛇伝』では、昔ながらの4:3のよさが生きていた。

(中略)
種田:次の『平成狸合戦ぽんぽこ』(94)の美術も男鹿さんですが、これはもう、男鹿さんの自然描写の頂点と言っていいんじゃないか。特に植物、草、木の描写の正確さ、緻密さは誰も真似できないレベルではないでしょうか。

高畑:リアルということでは『おもいでぽろぽろ』の山形のほうがリアルに見えたんじゃないでしょうか。ただ、『平成狸合戦ぽんぽこ』は陰影の強調を抑えた緻密な描写が、世界の豊富さ感じさせてくれたんですね。僕は江戸初期の草花図屏風に通じる素敵な装飾性を生んだという気がします。装飾と言い方は使い方が難しく、様式化という意味で使っているわけじゃないんだけども、わかりますか?

種田:ええ。あまりの緻密さゆえ、構図の中で否がおうにも観客の目に飛び込んでくる。それを装飾化と仰っているんだと、それがいい効果となり、狸の住む場所から自然が消えている話を印象付けます。これが『ホーホケキョ となりの山田くん』(99)になると、『おもいでぽろぽろ』や『じゃりン子チエ』から続いてきた引き算の漫画の極地を、ここまでやれるんだと、監督自身が強く意識して作られた気がします。

高畑:それが出来たのはアニメーターの田辺修くんとの出会いですよね。美術に関して言うと、男鹿さんとは『平成狸合戦ぽんぽこ』が終わってから、折りに触れて、「リアルに描いていくアニメーション美術というのは、ずいぶん煮詰まりすぎているんじゃないか」と話し合っていた。

種田:男鹿さん自身、リアルに描くという頂点まで達成されてしまったんでしょうね。

高畑:『となりの山田くん』ではもうひとつ、意欲をもって取り組んだのが、キャラクターは三頭身でも、人間としての動きや表情は、普通以上にリアリティを感じさせようとしたことでした。

かぐや姫の物語『かぐや姫の物語』

種田:高畑さんは『となりの山田くん』のあと、ずっと田辺さんとやろうとなさっていて、紆余曲折があった末、『かぐや姫の物語』になったと聞きました。田辺さんとはどういうアニメーターなのでしょうか?

高畑:『おもいでぽろぽろ』のとき、原画として注目したんです。非常にまあ、頑固だし、仕事が遅いんだけれど・・・(笑)、断然上手い。感覚も方向性もすばらしい。で、『となりの山田くん』以後、田辺くんとやる以外に考えられなくなったんです。

種田:高畑さんは日本の漫画の原点としてずっと絵巻物の存在に着目されてきましたが、『となりの山田くん』と『かぐや姫の物語』で日本のアニメーションの世界観をさらに一歩突き進まれ、絵物語のもつ連続性の領域に進まれたと思いますが。

高畑:絵巻物とか日本的とかいうよりも前に、そもそも、せっかく線で描いているのに、それがアニメーションとして生かせていないんじゃないかという思いがあったんです。

 上手なアニメーターがラフでざっざっと描いたもので動きを見ると、絵に勢いがあって心にザワッと感じる。ところが1本の線に整理してしまうと、その、今描いたばかりの躍動感が失われてしまう。どうしたら、アニメーターの新鮮な線の感じが出せるだろうかを考えていたことがまず大きいんです。
 それに、僕は絵巻だけでなく、古今東西、線で描かれた絵には、独特の魅力がある、人の想像力や記憶をかき立てる力がある、と思いもしてきたんです。

 立体感・空間・陰影・色彩などで画面を埋めて、本当らしさを押しつけるのではなくて、もっと抜いた、省略された、ゆとりのある画面がつくりたかった、田辺くんや男鹿さんと組んで。

種田:なるほどよくわかります。一方で高畑さんの描く主人公は厳しい環境に置かれ、ドラマ的に極限まで追いつめられた時に、そこから解放される飛翔するというアニメーション的に美しいイメージがたびたび現れます。それはファンタジーというくくりとは違う、高畑さんならではの飛翔なのだと思います。

高畑:もっとも常識的な世界だと僕は思っていますね。要するに、ファンタジーという言葉はイギリスの児童文学の世界でできたと思うんですけど。宮さん(宮崎峻)のはファンタジーですよね。実際にはないんだけど、実際にあるかのごとき世界を作るわけです。僕も空を飛ばすのは今回だけじゃないけど、やっぱり夢だったり、心理的な願望だったり精神的な勢いだったりね。だから乗り物はいらない(笑)。

種田:高畑さんは『かぐや姫の物語』で素晴らしい飛翔シーンに挑まれた。それはアニメーションでしか到達できない「絵による浮遊感」でした。男鹿さんの余白を生かした絵と田辺さんの描くかぐや姫のキャラクターは一体化してまさに「動く絵画」になっていた。同時に、50年に渡る創作で高畑さんが到達した、キャラクターの心情を動力としたアニメーション映画ならではのアクション。その自由闊達さに僕らは魅了された、と言うこともできますね。


近日公開のディズニー『ベイマックス』に危機感を抱く大使であるが・・・
ディズニーの対極をなすような高畑さんの絵巻物ふうのアニメが捨てがたいのである。
如何せん、ディズニーの大物量の制作システム、マーケティングには敵わないが。



種田

種田陽平著、スペースシャワーネットワーク、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
映画監督・種田陽平が聞く13人の映画美術の巨匠たち。

<大使寸評>
映画美術監督といえば、種田さんしか知らないので・・・・
13人の巨匠は、もちろん知りません。
だけど、ここで語られる作品群が壮観であり、夢を紡ぐような美術監督の技が面白いわけです。
大型本で5,076円(税込)という本であるが、この手の本は町の書店には置いてないのではないか?
図書館相手のマーケティングで成り立つのかもしれないが・・・・
そんな詮索より、つくづく図書館のありがたさを感じるわけです。

rakuten 伝説の映画美術監督たち×種田陽平


この記事も 高畑勲の世界 に収めておきます。





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Last updated  2014.12.07 08:06:41
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