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2015.02.15
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カテゴリ: 経済
2015年2月1日時点で<ベスト経済書>の1位となっているこの本は、図書館で予約するよりは、買って読むべき本なんでしょうね。

・・・と、遅ればせながら買って読んでいるんですが、目からウロコが落ちることしきりです。


【資本主義の終焉と歴史の危機】
水野

水野和夫著、集英社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
 資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。
 16世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。
 500年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは?異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、新たなシステムを構築するための画期的な書!

<読む前の大使寸評>
2015年2月1日時点で<ベスト経済書>の1位となっているが、2015年1月時点で第15刷となっています。この種の経済書としては異例の売れ行きなんだろう。

rakuten 資本主義の終焉と歴史の危機


1980年代から現在までの世界経済を、この本でおさらいしてみましょう。
「アメリカ投資銀行株式会社」の成立過程などが述べられています。

<新自由主義と金融帝国化との結合> よりp28~35
 しかし、アメリカの金融帝国化は、決して中間層を豊かにすることはなく、むしろ格差拡大を推し進めてきました。この金融市場の拡大を後押ししたのが、新自由主義だったからです。

 新自由主義とは、政府よりも市場のほうが正しい資本配分ができるという市場原理主義の考え方であり、アメリカでは1980年代のロナルド・レーガン大統領の経済政策「レーガノミクス」に始まって、民主党政権のクリントン大統領、21世紀のブッシュ大統領に引き継がれてきました。

 資本配分を市場に任せれば、労働分配率を下げ、資本側のリターンを増やしますから、富む者がより富み、貧しい者がより貧しくなっていくのは当然です。これはつまり、中間層のための成長を放棄することにほかなりません。

 レーガン政権は新自由主義の政策とともに、ソビエトに対しては軍拡競争を展開します。それが一因となって、1991年にはソビエトが崩壊し、計画経済を実施していた東側諸国が資本主義の世界市場に取り込まれ、新たなマーケットが一気に広がりました。
 とはいえ、アメリカが「電子・金融空間」をつくり始めた1980年代は、まだ国際資本の完全移動性は実現していませんでしたから、そのときは、大きな利益を獲得することができず、アメリカ経済は激しく落ち込み、経常収支赤字と財政赤字が一気に膨らんでいきました。

 しかし、国際資本の移動の自由が確保され、1995年に就任したロバート・ルービン財務長官が「強いドル」に政策転換すると、アメリカは経常収支の赤字額を上回る資金を世界中から集めて、それを世界へと再配分していくようになりました。この「マネー集中一括管理システム」により、アメリカは「アメリカ投資銀行株式会社」となり、金融帝国となったのです。

 その後、1999年に銀行業務と証券業務の兼業を認める金融サービス近代化法を成立させたことで、金融帝国のシステムも完備されました。同法は、1933年銀行法(グラス・スティーガル法)以来、原則禁止とされていた銀行業務と証券業務の兼業を認めることで、マネー創出のメカニズムを根本的に変えてしまったのです。
(中略)

 マネーが銀行の信用創造機能によってつくられるときの主役は労働者であり、商業銀行です。家計が消費を我慢して所得のなかからなるべく多くを貯蓄することによって、銀行による多くの貸し出しが可能になるからです。
 ところが、金融・資本市場でマネーをつくろうとすれば、主役は商業銀行ではなく、レバレッジを大きくかけられる投資銀行となります。こうして、貯蓄行為をおこなう家計は「地理的・物的空間」から主役の座を降り、その座を「電子・金融空間」において、巨額の資金をボタンひとつで、国境を自由に超えて動かすことができる資本家に譲り渡したのです。
(中略)

 しかし、こうしてでき上がったアメリカ金融帝国も、2008年に起きた9.15のリーマン・ショックで崩壊しました。自己資本の40倍、60倍で投資をしていたら、金融機関がレバレッジの重さで自壊してしまったというのがリーマン・ショックの顛末です。
 そしてリーマン・ショックが誘引となってEUの巨大金融機関はアメリカの大手投資銀行以上に大きな痛手を被り、全地球をカバーしていた「電子・金融空間」も縮小に転じたのです。


フロンティアが見つからないので火星を目指すアメリカは、次に述べられる資本主義の性癖によるものだからだろうか?・・・と思ったりする(笑)。

しかし、この本が2014年3月に刊行された後、民主主義が退潮している様は著者の予測どおりですね。

<「資本のための資本主義」が民主主義を破壊する> よりp42~44
 資本主義は「周辺」の存在が不可欠なのですから、途上国が成長し、新興国に転じれば、新たな「周辺」をつくる必用があります。それが、アメリカで言えば、サブプライム層であり、日本で言えば、非正規社員であり、EUで言えばギリシャやキプロスなのです。21世紀の新興国の台頭とアメリカのサブプライム・ローン問題、ギリシャ危機、日本の非正規社員問題はコインの裏と表なのです。

 こうした国境の内側で格差を広げることも厭わない「資本のための資本主義」は、民主主義も同時に破壊することになります。民主主義は価値観を同じくする中間層の存在があってはじめて機能するのであり、多くの人の所得が減少する中間層の没落は、民主主義の基盤を破壊することにほかならないからです。

 民主主義を機能させるには情報の公開性を原則としなければなりません。中世までは知は神が独占していましたが、近代では個々人が主役となったことで、ある特定の人が情報を独占することは許されなくなりました。国家も情報を独占することは許されないのです。そういった意味でスノーデン事件はおそらく21世紀の大問題に発展すると思います。

 情報は誰のものか、という議論は、中世から近代への移行期だった「長い16世紀」においてラテン語を独占していたローマ・カトリックと俗語(独語や英語)でしか情報を伝えられないプロテスタントのたたかいだったのです。結果はもちろん、プロテスタントの勝利に終わったのですが、情報を独占する側が常に敗者となるのが歴史の教訓です。この観点からみてもスノーデン事件が問いかけているのは民主国家の危機なのです。


著者はオバマ大統領の輸出倍増計画は挫折すると予測しています。
経済オンチの大使としては、金融帝国の退潮はとりあえず朗報なんですが、どうでしょうか?♪

<オバマの輸出倍増計画は挫折する> よりp46~48
 超低金利の時代に入ったアメリカは、世界の「成長教」の教祖でいる限り、もはやバブルを繰り返す金融帝国としてしか生き残ることはできません。
 おそらく、オバマ大統領が2010年から掲げてきた輸出倍増計画も挫折に終わるでしょう。

 オバマ大統領自身は、「地理的・物的空間」を建て直そうとしているのでしょうが、貿易構造を見ても、貿易赤字は増えていて、製造業復活の兆しは見られません。
 すでに20世紀前半に、かのシュミットが20世紀を「技術の時代」だと特徴づけ、その技術進歩数は魔術と同じだと指摘しています。たしかに20世紀に先進国は技術革新によって成長を遂げ、豊かになったのですが、2008年の9.15(リーマン・ショック)や2011年の3.11(福一事故)で、金融工学や原子力工学も結局は人類にとって制御できない技術だったことがわかりました。

 技術革新で成長するというのは、21世紀の時代には幻想にすぎないのです。
 その一方で、アメリカのサービス収支は黒字が増えています。このサービス収支の黒字を支えているのは、金融収支やライセンス料ですから、現在の貿易構造を見る限り、アメリカにとってはドル安よりもドル高のほうが利潤をあげることができるのです。
 だとすると、かつてのルービン財務長官時代のように、強いドル政策のもとで、世界中から資本を集めて新興国に投資をしてリターンを得るしかない。アメリカが製造業で復活をすることは、どだい無理なのです。

 グローバリゼーションによって新興国が台頭してきている以上、新興国で消費されるものは新興国で生産せざるをえない。そうでないと新興国の雇用が増えず、また経済のパイが拡大しないとなれば、新興国の政治体制が危うくなるからです。
 したがって、先進国が輸出主導で成長するという状況は現代では考えられません。自国通貨安定策によって、輸出を増加できるのは、先進国のパワーで途上国をある程度押さえつけるような仕組み、つまり資源を安く買い叩くことができる交易条件があった1970年代までの話です。

 その意味では、オバマ大統領の輸出倍増計画も旧システムの強化策にすぎません。没落していく中間層に対して配慮している点には共感しますが、先進国が直面している構造デフレの根本的な解決にはなりえないのです。






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Last updated  2015.02.15 00:05:49
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Re:『資本主義の終焉と歴史の危機』(02/15)  
chappi-chappi  さん
最近、経済関係賑わってますね。
トマ・ピケティさんもすごい人気だったし。
何か、やっぱりいろんなことの転換期に来てるのかしら。
(2015.02.15 22:04:11)

Re[1]:『資本主義の終焉と歴史の危機』(02/15)  
Mドングリ  さん
chappi-chappiさん
>最近、経済関係賑わってますね。
>トマ・ピケティさんもすごい人気だったし。
>何か、やっぱりいろんなことの転換期に来てるのかしら。
>
-----
<転換期に来てるんでしょうね。
年金とか限界集落とか・・・要注意やでぇ。 (2015.02.16 05:54:54)

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