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2015.02.24
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カテゴリ: アート
最近流行っている漫画が、あまり面白くないのだ・・・


それに反して、杉浦日向子のテイストがますます貴重なものに思えるのだ。
本当に惜しい人を亡くしたものだ。

・・・ということで、杉浦日向子についてあれこれ集めてみます。

・大江戸観光
・娘を化十(ばけじゅう)と呼ぶ
・東京という夢 YASUJIと杉浦日向子
・いしかわじゅんの『百物語』評

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<大江戸観光>
この本のあちこちに、SF映画のうんちくが出てくるように・・・
日向子さんは、けっこうSF映画が好きだったようです。
だいたい、時代考証という点では、歴史小説もSF映画も似ているもんね。

【大江戸観光】
大江戸
杉浦日向子著、筑摩書房、1994年刊

<「BOOK」データベースより>
ちょっと江戸を散歩してみませんか。理屈や趣味やウンチクにとらわれるよりも、はとバスにでも乗った気分で出かけてみましょう。名ガイドが、明るく案内する浮世絵、歌舞伎、戯作、怪談、珍奇なものたち…遠い昔の江戸の街が、ホラ、こんなに身近で、愉快なワンダーランドだったなんて…。タイムマシンに乗って、別天地へようこそ。

<大使寸評>
漫画作家としても秀逸で、独特な拘りが良かったですね。惜しい人を亡くしたものだ。

Amazon 大江戸観光


日向子さんは、けっこうSF映画が好きだったことが、次のエッセイに出ています。

<江戸のディレッタント>
「なんで江戸がすきなんですか?」と聞かれると、いつもうまい答がみつかりません。
 たとえば南極とかガラパゴス諸島に行ってみたいというのと同質で、皇帝ペンギンの群れの中にボーゼンと佇んでみたいとか、イグアナと戯れてみたいとか思うのと同じように、江戸時代へ行ってバクゼンと数日間暮らしてみたい、できれば毎年ひと月は江戸時代に住みたいという感覚なのです。

 ただ決定的な違いは、現実化が不可能という点ですが、それでもファルコン号でハンソロとランデヴーを楽しみたいというのとも違います。それは、「足下の過去」だからであります。
 とはいえ、ミーハー的心情に少しの隔たりもない事はコックリ認めます。
「もし~だったら」というifあそびをしたいと思います。
 江戸時代に住むのなら、どんなニンゲンが良いか。迷うことなく大店の若旦那です。しかもタダの若旦那ではなく、謹厳実直な弟に家業を譲り、財産を半分こして風雅な地に若隠居をするという念の入れようです。
 滝亭鯉丈描くところの『花暦八笑人』の左次さんがソレです(八笑人は落語「」のモトになった戯作で、講談社文庫で手軽に読めます。ゼヒおためしを)。アア左次さんになりたいと日夜願っております。

 要は江戸のディレッタントにあこがれているのです。江戸のディレッタントは3種に分けられます。つまり<通人><半可通><野暮>であります。
 <通人>といえば、趣味人の最高峰であり、皆が目指すところであります。

 <半可通>というのは、その登頂に失敗し、しかもソウナンに気付かず、本人は征服した気になっているのが特徴です。この人達は遊女にふられたり、イロイロばかにされたりする訳ですが、ソコハカとなく哀愁ただよう愛すべき人々です。

 <野暮>はいうまでもなくダサイ人です。が田舎っぽいとは別に未熟である事もいいます。ウブな息子は後者の野暮であり、つまり成長株といえます。通人の予備軍もこの野暮中にあるのですが、野暮は野暮のままでも、かわいいとか純だとかいわれて、意外と遊女にもててしまったりするのです。

 野暮には通人への可能性が残されていますが、半可通は通人になありえない存在です。野暮→半可通→通人という図式は成り立たず、半可通は別種の固体といえます。半可通の哀愁というのは、どうやらそのへんにあるようです。

 さて、<通>とは何でしょうか。
「あの人は粋だね、通だね」とは未だにいいます。通と粋は同義のようです。
 さっそく名著『「いき」の構造』を岩波文庫で読む。なんだかわからない。で『「いき」の構造を読む』という朝日選書を読む。一向にわからない。
 ソコはソコ、江戸時代人の美意識なんだと納得して、自分が見て、通だな粋だなと思う身だしなみ、着こなしを図解し、「あなたもなれる江戸の色男」を立案いたします。

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<娘を化十(ばけじゅう)と呼ぶ>
東京なんて、仕事でもないかぎり、あんな成り上りの街は敬して近づかないのがいちばんと思う大使であるが・・・・
東京で会う人のてまえ口には出さないけど、実は密かに東下りと思っているのです。

でも、 杉浦日向子 が描きだす江戸は話は別です。
杉浦日向子の漫画『百日紅』を図書館で借りたけど、これが大当たりでした。



人三化七(にんさんばけひち)とは、まずい女を表す非情な形容なんですが・・・・・・
アゴ(アゴというのは北斎が娘のお栄を呼ぶときのあだ名です)を、時に「化け十」と実も蓋もなく呼ぶ北斎である。
この漫画には、父と娘の浮世離れした生活が描かれるが・・・・いい味出ています♪
お栄をアゴと呼ぶのは、芸術家の不器用な愛情表現と言えなくもないのですが、北斎は娘の画力を案外と買っているのです。

アゴアゴ


やや物憂げな顔とうらはらに、一晩で龍の絵を描ききるというガムシャラなところがある・・・
やはり、芸術家肌なんですね♪

杉浦日向子は見てきたように江戸のイメージを構築するクリエーターでしたが、上方に住む大使としても・・・・・
東京は好きになれないが、日向子ワールドのお江戸が好きなんです。

杉浦日向子『百日紅』

ところで、日向子さんはリドリースコットを高くかっていたようですが、時代考証に拘る日向子さんならではでしたね。

「エイリアン」がショックだったのは、宇宙船が、油まみれで汚れ、あたかも東名高速を地ひびきをたてて走る輸送トラックのようなリアリティだったからです。リドリー・スコットは、だから、エライ。「ブレード・ランナー」も、未来都市のごちゃごちゃが、ヒドク、リアルでスゴかったです。荒唐無稽な「レイダース」がオモシロイのも、小道具やセットが限りなく本物っぽいからなのです。『大江戸観光』p65


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【東京という夢 YASUJIと杉浦日向子】より
安治井上安治の絵

7年前46歳で惜しまれながら世を去った漫画家・杉浦日向子。「百日紅」、「百物語」など江戸を見てきたように描き、その土地の地霊に深く共振し、数々の忘れがたい名作を残した。
その杉浦がとりわけ傾倒した浮世絵師が、明治初期に活躍した井上安治であった。安治は25年という短い生涯の間に、百数十枚の江戸名所絵を残した。〈浅草橋夕景〉〈蛎殻町川岸の図〉・・・・・・隅田川沿いの暮れゆく町のゆったりしたたたずまい、静まりかえったたそがれが小さな画面の中に奇跡のように描かれている。
1988年に出版された漫画「YASUJI 東京」で、杉浦は切々と安治への思いを語り、安治の版画絵を透かしてその向こう側に明治の東京を、さらにそのずっと昔の武蔵野の原野を幻視した。杉浦は思う「東京はいつでも原野に戻る用意があるように思われる」江戸のたび重なる大火、明治以来の近代化、大震災と東京大空襲と焼け跡からの復興。



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<いしかわじゅんの『百物語』評>
「漫画の時間」から『百物語』のいしかわじゅん評を紹介します。


【本当に怖いもの】「漫画の時間:いしかわじゅん」p275~276より
百物語

 さあて、今回はなにを紹介しようか、と思って、各種単行本が山積みになっている仕事場を見回したら、杉浦日向子が目についた。
 彼女をご存じだろうか。時々テレビにも出ているので、きっと顔くらいは見たことがあるだろう。世間では美人ということになっているが、まあそのへんは、趣味の問題もあるので、ここで深くは追求しないが。いや、ぼくはもちろん、なかなか可愛いと思っているのである。

 彼女の本職は、時代考証家だ。それと同時に、漫画家でもある。時代考証家のほうは、彼女がどのくらい偉いのか全然わからないが、漫画のほうは、断言できる。
 杉浦日向子は、面白い。そして、怖い。
『百物語』というのが、今回ご紹介する漫画だ。これは、ほんとに面白い。出版元が新潮社なのが、ちょっとネックではある。いや、別に新潮社の社風に問題があるという意味ではない。ただここは、漫画をあまり出していない。活字の山が中心だ。だから、漫画を売るノウハウがあまりない。実はぼくも、『約束の地・憂国』という単行本を、ここから出したのだが、残念なことにさほど売れなかった。でもまあ、その代わり、きちんとしたいいい本を作ってくれたので、いいのである。彼女の本も、たぶんそこそこは売れているとは思うが、その面白さを考えれば、ベストセラーリストに登場してもいいところである。もったいないのである。

 (文字数制限により省略、全文は ここ )


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<コメディーお江戸でござる>
東京嫌いの大使も、このコメディーの江戸情緒にはわりと惹かれていたんです♪

江戸

(文字数制限により省略、全文は ここ )

杉浦日向子さんの本





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Last updated  2015.02.24 07:01:15
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