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2015.06.11
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カテゴリ: 政治
 ロシア高等経済学院教授、アレクセイ・マスロフさんがインタビューで「不一致まだ見えぬ若夫婦のようだ、各所で駆け引きも」と説いているので、紹介します。

中国と同床異夢のようなロシアは、なかなかしたたかです。・・・大丈夫?安部さん。

教授
(アレクセイ・マスロフさんへのインタビューを6/10デジタル朝日から転記しました)




《モスクワで5月に開かれた「対ドイツ戦勝70周年」記念式典には米欧日の多くの首脳が出席を見送る一方、中国の習近平国家主席が出席した。


Q:中ロの結びつきは、最近一層深まってきたように見えます。
A:今日のロシアと中国には共通の目的、志向がたくさんあることを、まず押さえるべきです。それは世界の最強国と同列に立ち、それらの強国に自分たちの要求を押しつけたいという願いです。

 ロシアの多くの外交専門家たちは最近、 G7を『去り行く20世紀の遺物』と位置づけ、中ロとインド、ブラジル、南アフリカでつくるBRICS首脳会議などこそが『21世紀の機構』といいます。 現在の中ロはいわば、新婚間もない、お互いの『性格の不一致』もまだよく見えていない若夫婦のような状態だとも言えるでしょう。

Q:やはり蜜月関係ですか。
A:内実をよく見なければなりません。中ロの良好な関係は何よりも経済分野で顕著ですが、その基本は依然、ロシアの石油、天然ガスの対中輸出です。ロシアは国内の先端技術や新規製造業を盛んにするための協力拡大を望んでいますが、進展は見られない。

 天然ガスは、中国への供給価格の交渉が難航しています。中国は中央アジアのトルクメニスタンからもガスが買えるので割高な価格で急いで合意する必要がないし、ウクライナ危機の影響もあって欧州向け供給量が減ったロシアの足元を見ています。石油も、中央アジアで中国に最も近いカザフスタンは中国に安く売る姿勢を見せます。こうした環境で、中国は『より友好的な価格』などの優遇をロシアに求めているのです。

Q:欧米との関係悪化後、プーチン大統領は「ロシアは東を向く」と語りましたが。
A: 中国は『ロシアは中国を向いた』と受け取りました。しかし、ロシアにとって『東』とは、日本、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国も指しています。中国は『ロシアのガスと石油は中国だけに』という考えですが、ロシアは日本も含め、東方で協力してくれるすべての国にガスや石油を売りたいのです。

   ■     ■
《中国の習指導部は、今後の大きな外交戦略として、陸と海のシルクロード経済圏構想「一帯一路」を打ち出す。ロシアとかかわるのが、中国の資金によってアジアと欧州間で内陸部の輸送インフラなどを整備する構想だが、ロシアはこれに全面的に参加する意向までは示していない。》

シルクロード構想の本質は、中国の立場を強める政策です。中国は多くの国々を、自分たちの政策実現のためのコマと見なしています。中国が新しい輸送網創設のために投資をすることは、多くの国にとって利益ではありますが、それらの国々が中国に完全に従属してしまう恐れもあります。

 ロシアにもベラルーシ、カザフスタンなど旧ソ連圏の国々との間で経済統合を進める構想があります。主な目的は先端技術を中心にした製造業や繊維工業、畜産業などの再生ですが、ロシアは2000年以降の原油高騰で得た潤沢なお金をこれらの分野に投入するのを怠り、後れをとりました。片や中国はこうした分野が強力です。だから中国に主導権を握られることのないよう、シルクロード構想には全面的に参加せず、連携にとどめるという、複雑な対応をとっているわけです。

   ■     ■
Q:経済的利害を巡る中ロのさや当ては分かりましたが、政治面はどうでしょうか。5月のモスクワでの式典出席でも、米欧と新興国では対応が分かれましたが。
A:世界に新たな二つの陣営が形成されたとは言えないでしょう。ロシアは米欧との協調から離れ、『ロシアの側』にあると見なす『極』を束ねて米欧に対抗する政治モデルに戻ろうとしています。しかし、 中国が完全に『ロシアの側』かといえばそうではない。中国は非常に柔軟で、米国とも、貿易や技術協力での関係強化に積極的に努めています。

Q:ロシアによるクリミア併合も、中国は承認していませんね。
A:中国はクリミア問題から賢く距離を置いています。新疆やチベットなど多くの地域で分離主義の問題を抱えているため、独立や分離の動きを刺激しかねない問題を恐れているのです。

Q:でも中国は歴史認識問題でロシアとの共闘に熱心です。
A:中国は、日中戦争が第2次世界大戦の一部だったことを改めて明示したいのです。大戦で中国が果たした役割や大戦の勝者だったことを、世界はほとんど忘れてしまっている。それを世界に思い出させるためには他の大国の支持が必要で、それがロシアなのです。
実際に日本に勝ったのは国民党政権です。共産党の役割は相対的には大きくありませんでした。ただ、国内の経済格差など多くの問題に加え、日本やベトナム、フィリピンとの領土紛争が山積している状況で、習指導部は国民統合を強化する必要があります。日本を引き合いに出して『共産党の指導で戦争に勝った』と改めて国民に示し、政権の正統性を固めようとしているのだと思います。

 プーチン氏は中国の政治ゲームのおもちゃになりたくありません。5月のモスクワでの式典も、世界各国に共通する歴史的な勝利を祝いつつ、欠席した国の首脳を批判しない態度を保ちました。

   ■     ■
Q:政治面でも中ロの利害はぴったり一致しているわけではない、と。こうした状況に、日本はどう対応するべきでしょうか。
A:ロシアは極東などに数十の特別発展地域を設け、進出企業の税金を減免しています。優遇は日本企業に対しても同じですよ。たとえば極東で食料を日ロで共同生産して、大需要が見込める中国に売るプランもありうるでしょう。

 ロシアの政府や経済界には、日本が非常に可能性のある協力相手で、対中関係での重しになるとの見方があります。プーチン大統領はいま、『ロシアが中国の政策の一部になってしまった』と国内から批判を受けています。日本が独自のプランをもってロシアに進出するなら、プーチン氏にとってはそんな批判をかわすことにつながる。それは重要なことです。

Q:日本との関係強化のため、ロシアは北方領土問題で譲歩をする用意があると思われますか。
A:ロシアの社会を覆う愛国心の高まりを考慮しなければなりません。領土問題を前向きに解決する意味を、あらゆるロシアの社会層が正しく理解するためには、日本のことを信用のおける長期的な協力相手と見なせるような、信頼関係の醸成が非常に大切です。

 経済、文化、科学、教育などの分野で両国の接触をもっと強めるべきです。歯舞、色丹や国後での共同経済協力の提案をしてもよい。極東のハバロフスクでも、こうした協力は可能です。協力が着実に成果をあげれば、『お金のために島を渡した』などと、プーチン氏は言われずにすみます。

 信頼醸成という観点から見ると、安倍晋三首相のウクライナ訪問は時宜にかなった動きとは言えません。ロシアは対中関係を強化していますが、アジアに別の協力者も求めているのです。安倍氏のウクライナ訪問は、ロシアの発展の方向をもっぱら中国とのきずなに求め、日本との接近に反対する人々を利してしまいました。

いまや中国の力は、ロシアよりずっと強い。もし極東の日本や韓国から企業進出や政府の協力がこず、ロシアを支援しないなら、中国はロシアの極東、シベリアの資源を簡単に得て、世界最強の大国になる。そんな状況が日本の利益にならないことは明らかでしょう。ロシアの中国傾斜を和らげる視点からの、バランスに配慮した外交が大切だと思います。

     *
Alexey Maslov:1964年生まれ。モスクワ大学で中国近現代史を学ぶ。専攻は中国文明論・現代史。中ロ学術交流で要職も務めている。

<取材を終えて>
 「ロシア少林武術連盟会長」でもある。少林拳発祥の地、中国河南省の少林寺で25年前から武術を学び、禅の教えも研究。多様な中国人と交流を重ねるマスロフ氏は、ロシアでは異色の中国学者だ。
 ソ連崩壊後の中ロ友好の拡大で、ロシアの中国専門家には、現在の中ロ蜜月が強固な戦略的協力関係に発展するとの見方が官民を問わず大勢だ。そんな中、同氏は、中国的思考も具体的に知る立場から、日本の取るべき道を率直に語ってくれた。(大野正美)


グローバリズムが生んだ鬼子のような中ロ蜜月であるが・・・その帝国主義的動向をG7がいくら批判しても、ただ空しく響くようです。

本来、中ロ日の関係は三すくみであり、剣を持ちながら握手するような緊張感があるわけで、安部さんはアメリカに気兼ねすることなく、毅然と対応してほしいものだ。

中ロ蜜月、その内実 ロシア高等経済学院教授2015.6.10

この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップ に収めておきます。





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Last updated  2015.06.12 00:33:31
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