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2015.08.10
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カテゴリ: 中国
図書館で『中国55の少数民族を訪ねて』という本を手にしたのです。
歌と踊りを探査する日中合作プロジェクトということで・・・・
写真も多くて興味深い本です。


【中国55の少数民族を訪ねて】
民族

市川捷護, 市橋雄二著、白水社、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
こんなにすてきな人たちがいる!世界初。辺境10数万キロを踏破して出会った、歌と踊りと祈りのある暮らし、全記録。
【目次】
第1章 雲南をめざす/第2章 怒江上流の峡谷を行く/第3章 大凉山からチベットのふもとへ/第4章 ミャンマー国境の山岳地帯へ/第5章 西北イスラムの大地/第6章 モンゴルと狩猟民の末裔たち/第7章 ミャンマー国境から海南島へ/第8章 貴州の山を分け入る/第9章 シルクロードの民/第10章 山の民と海の民/第11章 チベット、そしてインド国境地帯へ

<読む前の大使寸評>
この本が出版された1998年頃は、まだウイグル人への弾圧などが起きる前であり・・・・
歌と踊りと祈りのある暮らしが見られたようですね。

rakuten 中国55の少数民族を訪ねて


日中合作プロジェクトとは如何なるものか・・・見てみましょう。

<日中合同スタッフ>p23~25
 ここで、スタッフ編成について述べておこう。まず、今回の日中合作プロジェクトの交渉過程では、中国側は当初から日中双方が対等の立場で協力し合うという方針を繰り返し主張していた。日本側は制作費負担と映像制作技術を担当するのだが、中国側の「対等の論理」はこうだ。すなわち、中国としては国の無形文化財(民間芸能)を提供するので、これで経済的には対等だというのだ。

 文化財も国家の経済資源だというわけである。中国4千年の知恵というべきか、共産党国家の当然の主張というべきか、いずれにしても中国人ならではの発想だ。撮影したテープは日本に持ち帰って編集するが、中国側との共同審査を経て完成するという流れで仕事を進めることになった。

 スタッフについても日中双方から原則として同数参加することになった。監督、撮影、照明、録音の各セクションについては日本側がメインを担当し、会社ができたばかりで、スタッフの養成もこれからという中国側がサブでつくという形にし、現地コーディネイションとスチル写真は中国側に担当してもらう。そして、責任者はプロデューサーとして双方から二名ずつ出し、体制としては、「対等」な形ができあがった。しかし、実際に撮影を始めてみると、プロ集団の日本側スタッフと、これから映像制作の基本を学ぼうという中国側スタッフとでは、現場で対等な動きがとれない。

 たとえば撮影が終わるとスタッフが毎日集まり、その日の撮影テープのプレビューを行った。さらに日本側技術スタッフは、遅くまでテープの内容記録の整理や機材チェックなどを欠かさず行うのだが、最初はこういう仕事の進めかたというかテンポに中国側スタッフはいささか戸惑った様子だった。

 日中合作というのは聞こえはいいが、実際には両者の仕事のやりかたや考えかたの相違からくるお互いのストレスという点で、決して容易ではない。そこへもってきて、撮影内容(今回の場合は民間芸能)に対する理解の仕方が最初からずれている。日本側の要求を通そうとすると、ほとんど口喧嘩になることもあった。

 間に入る日本側のコーディネイターは、中国人でありながら、日本人の考えや要求を代弁するのでたいへんだ。ついには「お前は日本人の犬か」と罵られ、殴り合いの寸前までいったこともあった。だんだん分かってくるのだが、一般的に中国人の日本人に対する感情は複雑である。経済的な繁栄という点では憧れに似た感情を抱きつつも、しょせん日本人は長い歴史からすれば弟分であり、侵略や虐殺を行った恐ろしい相手なのだ。話し合いがこじれるとこういった感情的な部分が作用するためにややこしくなる。

 そうはいっても、人間同士。寝食を共にするうちに、ある種の一体感が生まれつつあることは間違いなかった。日本側スタッフは中国語を覚えようとし、それは相手も同じで、「食事です」とか、「おつかれさま」などお互いそれぞれの言葉で伝えようと努力するのだった。


55の少数民族はどれをとっても興味深いのだが、そのうちからいくつかを見てみましょう。まず、朝鮮族から。

<陽気な「アリラン」>p178~180
 今回のロケで最後に訪ねたのは桂木斯市樺川県星火朝鮮族自治郷。朝鮮民族の芸能はすでに広く知られ、吉林省の延辺朝鮮族自治州などの集中居住区では朝鮮文化が色濃く残されていることも分かっている。

 今回はあえて小さな居住地を探してそこにどのような文化が伝承されているか、という点に着目してこの地を訪ねることにしたのだった。ここは桂木斯市の中心部から車で40分という近さにあり、延辺や牡丹江などから移り住んだ朝鮮族の居住地として1948年に新たに開拓されたという話だった。小学校では漢語ではなく朝鮮語で授業が行われるなど民族教育の行き届いた所で、伝統文化の保持に意識的に努めている様子がうかがえた。

 中国に住む朝鮮族は東北三省、すなわち黒龍江、吉林、遼寧の各省を中心に約192万人(1990年)がいる。古くは17世紀頃から半島部からの移民が見られたらしいが、19世紀末の大飢饉、日本の朝鮮半島支配時代を経てその数は増え、そして日本軍による満州国維持のための強制移住によって飛躍的に増大した。日本の敗戦後、約50万人の朝鮮族が故国に引き上げたが、約百万人が中国領内にとどまり、その子孫と合わせて今日の朝鮮族を形成している。

 1949年には延辺大学を創設し、朝鮮語によるラジオ、テレビ局を開設、新聞や雑誌を発行するなど、民族教育にはかねてから熱心な民族で、今日も高い教育水準を誇っている。一方で、歴史的に漢文化の影響が濃く、東北地方では漢民族との雑居が続いたこともあって、漢化の著しい民族であるとも言われている。中国人としてのアイデンティティと朝鮮族としてのそれとの衝突は、日本における在日二世、三世の人たちに見られる問題と共通するものがあるようだ。

 私たちが撮影できたのは、大きく分けると二つに分けることができる。一つは「チャンゴの踊り」や「セタリョン」、叙事歌「沈情伝」、豊年祭の芸能「農楽」、朝鮮の琴「カヤグム」の弾き語り、日本でもおなじみの「トラジ」や「アリラン」などいわゆる朝鮮の伝統的な芸能、もう一つは1940年代に流行った朝鮮の歌謡曲である。歌謡曲については、撮影時には詳しく分からなかったが、帰ってから『韓国歌謡史1895~1945』(晶文社、1978年)などの著書のある名古屋に在住の朴チャンホさんにお聞きして、ずいぶんいろいろなことが分かった。撮影したのは「淋しき旅人」、「荷物船の愛」、「野バラの花」という歌だった。

 いずれも日本による植民地支配下の朝鮮半島で、1940年~42年くらいの間に大ヒットした歌ということだ。これらの歌を歌ってくれたお二人はいずれも60歳前後のお年で、ナツメロの感覚で歌ったのだろう。
(中略)

 このほか、「アリラン」の大合唱などを郷の老人ホームで撮影したのだが、多くの老人が片言の日本語を覚えていて「ヨロコビデスカ」「ヨロコビデスカ」と話しかけられた。「楽しいですか」という意味で質問されているのだろう。日本人としては複雑な気持ちになるが、老人たちはそんなことを気にする風でもなく明るく私たちを迎えてくれた。


オロチョン族のシャーマンが興味深いのです。

<定住化政策の村>p169~171
 6月15日、富裕県から再び北に向かい陸路を13時間、黒河に到着した。ここは黒龍江のほとりに位置する町で、対岸はロシア領である。かつて日本が侵略した時代に旧日本軍人が暮らした町のひとつでもある。現在では、ロシアとの国境貿易の拠点として賑わいを見せている。川岸はコンクリートで階段状に固められ、売店が並び、庶民の憩いの場となっていた。双眼鏡で対岸を眺めると、金髪の女性が犬を連れて散歩しているのが見えた。

 (文字数制限により省略、全文は ここ )



現在では、外国メディアのウイグル族取材は許可されることはないので、この本が出版された1998年頃のウイグル族を見てみましょう。

<たくましい楽師たち>p243~245
 6月21日、ウイグル族の撮影のためにヤルカンドに向けて出発した。右手に雪を頂くパミールの峰を遠望しながら、一本道をひた走る。町が開けたところはポプラ並木が続くが、荒涼とした土色の大地を何度か通り抜け、約4時間で到着。ウイグル族は主に平地に定住して農業を中心に営む人口約720万人(1990年)の大きな民族集団である。

 そのなかでも伝統的文化を色濃く残し、かつてウイグル古典音楽の中心地として栄えたヤルカンド周辺を撮影地とすることにしたのだった。民族事務委員会主任と文化局副主任との打合せの結果、近隣の三つの村で撮影することになった。

 最初に訪れたのは、ヤルカンドからほど近いチャルバグ郷アイキュス村。戸数二百余、人口約900人の農村である。このあたり一帯はいわゆるオアシス田園地帯で、水路の張り巡らされた小麦畑が広がっている。私たちが到着すると村の男たちが楽器を携えて集まり、強い日差しを避けてぶどう棚の下にじゅうたんを敷いて、宴会が始まった。

 女たちや子供たちも集まった。楽器を担当する男たちはいずれも農夫たちで、皆日焼けしてたくましい。楽器は「スナイ」、「ナグラ」、「ダプ」、「ナイ」、「ギジャク」、「ラワープ」、「ドタール」、「タンブール」と実に豊富で、いったん楽器を手にとり演奏を始めるや否や、楽士に早変わりして見事なアンサンブルを聞かせてくれた。
(中略)

 この村ではちょうどあんずの収穫期で、果樹園には黄色く色づいた実が鈴なりだった。乾燥させたあんずしか知らない私たちは、もぎたての熟れたあんずがこんなにも美味しいものかと感激した。
 「あんずを食べたあとに水を飲まないように。お腹をこわしますよ」
 村の人から注意された。お腹を冷やす効果があるらしい。昼には羊肉の串焼きがその場で焼いてふるまわれた。脂のしたたる柔らかな肉で、これまた美味であった。







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Last updated  2015.08.10 06:02:13
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