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2015.09.29
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カテゴリ: 気になる本
図書館に借出し予約していた『飲み食い世界一の大阪』を5日後にゲットしたのです。
著者の江さんといえば、タウン誌『ミーツ・リージョナル』の元編集長・・・ホンマもんやで♪



大阪

江弘毅著、ミシマ社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
「人より損をしたくない」などと考えていては、結局ロクでもないもんしか口にできない。「街場」の男・江弘毅の至言が、現代日本を駆け抜ける!『ミーツ・リージョナル』(元)名物編集長、大阪・京都・神戸の「食と街」を語り尽くす。『ミシマガジン』連載時から物議を醸し、街の人々を虜にした、極上の21篇。身体でつかんだ「いい店・うまいもん」話。
【目次】
第1章 これがこっちのやり方です。(値段が書いてない店/バーをよろしく。/ちくわぶはおまへん。/昼にやってる居酒屋。/スナックはお好きですか ほか)/第2章 世界一のうまいもん(鰻屋はタイピン・カフスで/鮨屋の育ち。/コリアンタウン・生野の焼肉。/所謂「コナもん」、それも「たこ焼き」について。/味方の餃子 ほか)/第3章 大阪 そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの(街デビュー。/ちょっと京都、行こう。/アジールとしてのお好み焼き屋/大阪的フランス料理について/神戸の昭和 ほか)/対談 中沢新一×江弘毅

<読む前の大使寸評>
江さんといえば、『ミーツ・リージョナル』の元編集長・・・ホンマもんやで♪
内田先生のお友だちでもある江さんが奨める関西の味とは。

<図書館予約:(9/22予、9/27受取)>

rakuten 飲み食い世界一の大阪


ホルモン大好きの大使であるが・・・
この本で、鶴橋あたりを見てみましょう。


<鶴橋という街> p109~113
 JRと近鉄の駅が重なる鶴橋駅西口にあなたが降り立つ。するといきなりパチンコ店と立ち食いうどん店、串カツの立ち呑み屋が並ぶガード下の店舗密集地のど真ん中に放り出される。書店の雑誌が積まれている平台は路地にはみ出し、まるで店の三分の一が通路を占領しているようだし、その向かいにはウコンや高麗人参、スッポン、マカといった精力ドリンク剤専門のスタンドがある屋台風店舗があったりする。
 そこからほんの100メートル四方に広がるのが、「鶴橋といえば焼肉」として知られる焼肉・ホルモン店密集地帯だ。
(中略)

 高架上にある駅以外はすべて市場の店舗で、高架下の改札口を出ると、すぐ前が海産物や塩干の卸に菓子やパンの店が並び、その斜め前はキムチや韓国食品の店という様相だ。通路は人がすれ違うのにやっとの幅で狭く、さらにごちゃごちゃと交差し、そこに手押し車や自転車も行き交う。ほんの数坪の小さな店がモザイクのように狭いエリアを埋め合い、迷路のような通路が縦横斜めに交差する。

 頻繁に聞こえる頭上の高架を走る電車の音を聞きながら、店がひしめきあうブロックを歩いていると、「JRの駅はどっちだ」「あれ、さっきここ通ったんじゃないかな」というように、必ず方角がわからなくなる。地元の人に案内してもらうか、店舗の店先にいる人に聞くかしないと迷ってしまうのである。

 西に隣接する先ほどの高麗市場は、キムチや韓国食材、韓国料理用の鮮魚店や蒸した豚や豚足などが並ぶ精肉店がメインで、そのなかに焼肉店や店先でチジミを焼いている韓国料理店が混じる。唐辛子とキムチの赤さに目を射られ、ニンニクと魚介類のにおいに頭がクラクラする。

 鶴橋の街としての性格を決定づけているのは、なんといっても生野区だ。「区民の四人に一人は外国籍住民です」と区役所のホームページ「区の概要」に記されていたエリアで、日本最大級の在日韓国・朝鮮人コミュニティ地区である。

 鶴橋駅はちょうど生野区の西北の端にあり、区への出入り口になっている。
 生野区は古代から渡来系の人々が移り住んできた土地である。時代が進み日韓併合後は、大正11年に就航した大阪・済州島間の直行便「君が代丸」で多くのコリアンたちが来阪した。その大半が「猪飼野」すなわち生野区の鶴橋から桃谷の東にかけての中心部に集住した。
 近年コリアタウンとして観光客に知られているのは、鶴橋駅のひとつ南にあるJR桃谷駅の約500メートル東にある御幸通商店街である。この商店街は元々が猪飼野の在日コリアンの日常を支える市場であった。

 前に述べた鶴橋駅北西側の一角は、とりわけ「焼肉・ホルモンの街」として知られている。
 大阪で「鶴橋に行く」ということは「焼肉を食べに行く」ということと同義である。夕方過ぎに近鉄やJR環状線の電車に乗っていて駅に着きドアが開くと、「鶴橋に着いた」と気がつく。焼肉の脂とタレが焼けた匂いが飛び込んでくるのだ。通勤帰宅客で満員の車内で居眠りをしていても、iPhoneに見入っていても、その匂いで鶴橋に着いたのがわかる。そして夕方過ぎに鶴橋西口のガード下に降り立つと、煙はほとんど火事場状態で目が痛いほどだ。

 「鶴橋で焼肉」は「カラダの焼肉」だ。
 鶴橋の焼肉店や韓国料理店はバラエティにあふれ、在日コリアンの家族がお見合いの席に使うような店もある。もちろん神戸牛や松坂牛といったブランドの黒毛和牛ロースや刺身のように扱われる極上の生タンを出すような店もあって、それらをグルメ的に楽しみたい欲望も捨てがたいが、どちらかとうと身体的な要求にダイレクトに応えてくれるような店が魅力だ。

 すなわちカルビやテッチャン、ミノ、センマイといったホルモンをどかどかと網にのせ、カンテキ(七輪)が火を噴き、煙もうもうのほとんど非常事態のような状態で食べる焼肉こそ、「わざわざ本場・鶴橋へ焼肉を食べに行く」ことだと地元の大阪人は思っている。 帰りには衣服や髪に匂いが充満し眼鏡は水滴なら脂滴まみれ、明くる日は人と会うのがはばかれれるほどのニンニク臭。大阪の下町で育った人間にはそういう「街場」の身体的な記憶があるものだ。

 唐辛子の辛さを効かせた「もみダレ」を揉みこんだ肉や内臓を七輪で焼き、さらにおのおのが手皿の「つけダレ」につけて食べる「焼肉・ホルモン焼き」は、半島ルーツの焼肉料理を大阪の在日が工夫発展させたハイブリッドなソウルフードである。 


なお、ホルモン焼きに対する偏愛については、 鶴橋で焼肉食べたい に綴っているので、ご笑覧あれ♪

次ぎは「コナもん」のお話なんだが・・・さすがに関西を熟知した江さんである。

<メディアが言いだした「コナもん」> p123~126
 以前、東京のグルメ誌から、大阪では餃子は「コナもん」であるのか、という論考を書くように言われて困惑したことがある。

 多分に直感的ではあるが、餃子を「コナもん」に入れてしまうのは無理筋だと思う。しかし餃子を「コナもん」に入れてしまうしまわない以前に、お好み焼きやたこ焼きを「コナもん」と称するようになったのはここ十年くらいのことであり、それも情報誌やテレビのバラエティ番組的な食べ物カテゴリー名であることを再確認しておきたい。

 とある情報誌では、うどんまでも「コナもん」にカテゴライズする向きがあって、それはないやろ、などと思ったし、「B級グルメ」的でなんだか横着な感じすらする。

 とくに、わざわざ大阪弁で「お調子もの」を「お調子もん」と言ったりするのと同様の、「コナもの」を「コナもん」と言ったりするところに、「けつねうろん」とか「大阪、コテコテ、ごっつう好っきゃねん」みたいな大阪人特有の自虐自悪的根性が見え隠れする。

 この過剰な大阪弁表記の「外部ウケ狙い」は、大阪弁運用があまり上手でないと、必ず「おう、ワイや」の番長日記や「でんねん、まんねん」みたいになってしまって、少しうっとうしい。まるで冷めたたこ焼きを無理矢理食べさせられているような気分になる。

 そういうことをマクラに10枚くらいの原稿を書いたのであるが、実際わたしのまわりでは「うどん食べたい」とか「お好み屋に行く」とは言うが、お好み焼きやたこ焼きを食べたいときに「コナもん食べたい」や「コナもん屋に行こう」と言う人はいない。

 わたしの知人に四大新聞社の部長さんがいる。八尾出身の彼は大のお好み焼き好きであり、家に鉄板セットがあるぐらいだ。ある休日のこと、昼ごはんがお好み焼きなのを知った中学3年生の息子が、「なんやコナもんかぁ」と不貞腐れて言った。その言い方にカチンときた彼は、「ほな食うな」と一発頭を張り倒した。正しい大阪のおっさんの姿である。

 それではいわゆる「コナもん」の定義は、ということになる。わが編集集団の4,5人に聞いてみる。いかと小麦粉生地をいか焼き器で挟んで焼くいか焼きは文句なしにコナもん
とは思うが、生地がほとんど卵の明石焼きはどうやねん。お好み焼き屋の焼きソバはコナもんなのか。いや違うな。そんな感じだ。

 「水で溶いた小麦粉に熱を加えて成形する食べ物」ということなら、ホットケーキは「コナもん」なのか。「ほな流行りのドーナツは?」という声には、むしろ「それは、揚げもんやろ」と言ってみんなで笑っている。

 メディアが使い出した言葉と、実際に街で使われている言葉とはちゃんとリンクしているとはかぎらない。たとえば、御堂筋の西、長堀通の北に位置する「南船場」という街の名称は、大阪ミナミの「特定地域」を指し示している。この「南船場」は90年代半ば頃から、流行感度が高い「オシャレな街」としての地名をも含意している。

 90年代初めだったろうか、このあたりにブティックやカフェなどの新しい店が集まりだしたときに、そのエリアのことを「カナダ村」と称して、「カナダ村が今、新しい」みたいな特集をした情報誌があった。なんでも「アメリカ村」の北のエリアだからそう呼んだらしいのだが、今では笑い話にもならない。

 情報誌やバラエティ番組で飛び交うこれらの「新用語」は一見、時代感覚をわかりやすく切り取っているようだが、多分に広告コピー表現的で、数年前の広告を見てどれもが旧く感じるのと同様に、その言葉自体が消費されていく。誰かが「何かを仕掛けよう」と企画してつくった言葉は、どこかちぐはぐで虚しい。

 その一方で「コナもん」という言い方によって、テーマパーク的に当の街場のお好み焼きやたこ焼き、あるいはそれらと一緒くたにされたりするうどんや餃子という「それ自体」が消費され陳腐化されていくということは、街にとってはかなり痛手である。


この言語感覚や流行感度であるが・・・もと情報誌編集長という経歴はダテやないでぇ♪







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Last updated  2015.09.30 22:37:02
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