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2015.10.13
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『古本道場』という本を手にしたが・・・・
写真やマップもたくさん載っていて、古本のイメージと逆行するようなビジュアル編集が、ええでぇ♪


【古本道場】
古本

角田光代, 岡崎武志著、ポプラ社、2005年刊

<「BOOK」データベース>より
古本道の師匠がくりだす、6つの指令。新直木賞作家は無事、古本道をきわめられるのか。

<大使寸評>
この本には写真やマップもたくさん載っていて、古本のイメージと逆行するようなビジュアル編集が、ええでぇ♪

rakuten 古本道場


冒頭の「入門心得」で岡崎さんが古本道の奥義を語っています

<古本道場 入門心得>よりp5~9
 というわけで、これから入門者の角田光代殿といっしょに、読者の皆さんに険しく厳しい古本道の奥義を極めてもらうべく、いろいろ教え授けることになった。星一徹は、息子の飛雄馬に「輝ける巨人の星となれ」と、ひときわ夜空に輝く星を指し示したが、古本道に星などありはせぬ。強いて言えば、それぞれの胸のうちに星はある。それを輝かすも曇らすも、自分次第というところ。せいぜい励まれたい。

 拙者は現在48歳と、70、80歳が矍鑠とするこの世界では政界と同じくまだまだ弱輩者。本来は看板を上げるなどおこがましいのだが、われらの世代の古本観は、先行する世代とは少し違ってきておる。ひとつには、マンガ、SF、ミステリ、映画、音楽など、それまで古本業界であまり扱われなかった本に注目し始めたのがちょうどわれらの世代。サブカル世代、あるいは古本ヌーベルバーグといってもいい。

 古本と呼ぶフィールドがそれまでになく広がった。もちろん、古老たちから見れば、低下、俗化、嘆かわしいということになろう。しかしそれでいいのだ。先行する世代から批判されないところから、なにも新しいものは出てこないことは過去の歴史が証明しておる。すでに作られた価値基準を敬しつつさりげなく無視し、自分たちがおもしろいものを是とする。これぞわが古本道である。

 その古本道を伝授すべくこれから毎回、角田殿に拙者から指令を出して、それに従い、古本屋をじっさいに巡っていただく。いわば修業である。獅子はわが子を千尋の谷につき落とし、這い上がってくるものだけをよしとして育てたというが、わが胸のうちもそんな思いだ。奥歯をかみしめ、しかし笑みを忘れず修業に勤しんでいただこう。
 さて、角田殿と同じく、古本道へはほとんど足を運んだことのないという御仁のために、拙者から老婆心ながら心得を少し授けたい。

◆心得 其の一 わたしはただの風邪をひく
 これは言い換えれば、自分の趣味、関心を第一の価値基準に置く、という意味だ。最初は誰しもそうして古本と出会い、古本の愉しみを知っていくのだが、次第に知恵がついてくる。自分が珍しいと思った本が珍しくなく、こんなものがと見過ごしてきたものに高い値段がついている、というようなことがわかってくる。目利きになるわけだが、じつはこれが落とし穴だ。古本業界における価値基準が浸透してくると、知らず知らずのうちに、そういう眼で本を見るようになる。古本が値段に見えてくる。あれが高い、これが安いと亡者のごとく、古本という賽の河原でのたうつようになる。

 原点に戻れ、とわたしは言いたい。自分がいいと思ったもの、好きなものが絶対一番なのだ。それがどんなに安い値がついて、古本屋やマニアが唾棄するものであっても一向に構わない。人からうつされた風邪はいやだ、と肝に銘じることだ。自分の風邪はあくまで自分でひく。このことを忘れないでおこう。

◆心得 其の二 古本屋と新刊書店は別業種
 え、なんで? おなじ本屋じゃん・・・そう思う者は多かろう。そこがアサハカの夜は更けて、だ。新刊書店に置かれている本は、一部を除きこれすべて委託品。返品可能な商品だ。汚れたり、カバーが破れても返品はできる。店主のふところは痛まない。置かれている本も、店主が自分の眼で選んで注文するものもあるが、ほとんどは取次ぎを通して配本されてくる。これは店の規模や業種によって変わってくるが、まあ、そういうものだと思ってよろしい。

 ところが、古本屋に置かれた本は、すべて店主が身銭を切って仕入れた返品不能な商品ばかりだ。汚れたり、カバーが破れたりして売れなくなれば、そのロスは店主がかぶる。あなたがお金を払って自分のものとするまでは、古本屋の棚に並んだ本はすべて店主の財産、所有物だ。店主の蔵書といってもいい。古本屋の店主が不機嫌で難しそうな顔をしているのはゆえなきことではない。乱暴な扱いは厳禁、ということだ。本の上にカバンを乗せる、つばをつけてページをめくるなど論外。土下座してへりくだる必要はないが、他人の本に触るという最低の礼儀は必要だ。

 そこまで言う店主はほとんどないが、扱いを間違って本を落として傷めたり、カバーや帯を破った場合は買い取る、ぐらいの心構えを持ったほうがいい。じつはこれは新刊書店でも同じことなのだが、昨今客のマナーがいちじるしく低下している。ひとこと注意しておきたい。

◆心得 其の三 買いたいと思ったときに本はなし
 古本屋の本は、基本的にどれも一点ものだ。複本はない。買い逃して次に行ってなければそれまで。「次はいつ入りますか?」と聞いている客をよく目にするが、釣り客に「次の魚は何時ごろ釣れますか?」というのと同じ。二度目はない、と古本にかぎっては思ったほうがいい。古本マニアの話を聞くと、不思議とみな、買いのがして次に行くと必ず売れてなくなっているという経験をしている。

 喉から手が出るほど欲しかった本が目の前にあり、しかしお金が足らず、あわてて銀行でお金を下ろして戻ってみるとほんの数十分のうちに売れていた、なんてウソみたいな実話もある(ゴホン!ワシじゃワシじゃ)。そういうときは店の主人に一言いって、取り置きを頼めばいい。

 とにかく、最初のうちは失敗を恐れず、積極的になんでも買っておけばいい。あとで後悔するよりはるかに精神的に負担が少ない。失敗したと思えばまた古本屋へ売ることもできる。


ウーム、出版業界の成り立ち、物流、アマゾンの尻尾などを彷彿とするくだりなど・・・
古本道の奥義は、なかなか深いものがありまんな♪

角田さんの古本修業の様子を見てみましょう。

<安藤書店>よりp99~102
 早稲田通りを少し戻って、<安藤書店>にいく。えーと、安藤書店の店主は、三楽書房の店主のおとうさん。そうか、息子は跡を継いだのではなくて、べつのお店をはじめたわけだな。二世代の古本屋が、同じ通りに店を構えている。

 外のワゴンに新書が並んでいる。通りがかりの学生が、立ち止まってワゴンを眺めている。いいぞ、きみ、知識に飢えたまえ、と老婆心で若者を応援している。

 文学が多い。ここもまた、平野書店と同じく、じつに硬派な品揃えである。夏目漱石、三島由紀夫、安岡章太郎、深沢七郎、丸山健二、・・・しかも、本の背表紙に「初版本」の帯が巻いてある!

 初版本、というものの価値について、じつは私はよくわかっていないのだが、しかし、この修業をはじめてからなんとなくいいもののような気がしている。レストランなんかで、バターの味など判断がつかないのに、これはエシレバターだと言われると、なんとなくいい気持ちがして、食べたくもないパンにたっぷりバターをつけて食べる感じ、とよく似ている。・・・っていうか、それってただの貧乏根性?

 いやはや、とにかく初版本がたくさんあるのだ。しかもよく見ると、著者のサイン本というのもある。それなのに値段がさして高くない。

 こういうところで、好きな作家の「初版本・サインつき・しかも安価」を見ると、血が逆流する、というのは大げさだけれど、アドレナリンが確実に上昇して、物欲が渦巻く。

 深沢七郎セットとか、開高健とか、志賀直哉とか、うん、欲しい欲しい、と目移りしているうちに、オールオアナッシング境地に陥り、全部買えないならなんにもいらないや、という気分になってきた。

 そんな空白の心で選んだ2冊。開高健『シブイ』2000円。これは発刊が90年と新しいけれど、見たことがなかったのと、なかのデザインが美しいのとで、買うことにした。黒田征太郎の奇天烈な挿絵が入っている。カバー絵は中川一政。箱に入っていて、この箱が真っ黒。真っ黒の箱に「シブイ」と真っ黒の文字が入っている。
(中略)
 それからもう一冊は『対話録・現代マンガ悲歌』1000円。70年発刊のこの本の表紙は佐々木マキで、じつに70年代らしい。中身は対談集。水木しげると鶴見俊輔、とか、林静一と鈴木清順、とかつげ義春と鈴木志郎康、とか、興味深い組み合わせの対談である。
 編集部の書いたあとがきに、対談余話が載っていて、これがじつにおもしろい。病み上がりのつげ義春が、対談に緊張しすぎて前日から青林堂近くの旅館に泊まりこんだ・・・とか。つげ宅で行われた漫画家同士の座談会の様子なんかも、ああ、いいなあ、と思う。

 レジで会計をしていると、「この店には永島慎二さんの絵が飾ってあるんだよ」と、向井氏が教えてくれる。レジの周辺の額を見ると、本当だ、永島慎二の絵。

 漫画家、永島慎二を、私はリアルタイムでは知らなくて、つい最近、「ふゅーじょんぷろだくと」というところから再販された『漫画家残酷物語』を読んで知ったばかり。書きたいものと、売れるものの、永遠のジレンマが幾度も書かれるこの漫画の作者の絵。なんだか、感慨深い。

 店を出ると、もう陽は沈みかけている。お店に戻るという向井さんと、まだ本を見ていくという河上さんと別れ、高田馬場までてくてく歩く。


角田さんが買った『対話録・現代マンガ悲歌』が面白そうである。図書館に置いてあるやろか?

ところで、12日のNHKオイコノミアのテーマは「本の値段は誰が決める」であり、又吉直樹と西加奈子の共演もあり、たいへん興味深く拝見したのです。
本(新刊本)や新聞の値段には定価があり、その定価は法律で守られているとのこと。


新刊本には定価があるが、いっぽうで、古本には定価がない。
では、新刊本と古本の境界はどこにあるのか?・・・経済的な疑問がわいてくるのです。

いずれにしても、新刊本は再販制度で定価が守られています。
この再販制度が、アマゾンの攻勢から弱小書店を守る砦として働いているようです。






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Last updated  2015.10.13 16:22:16
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