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2015.11.06
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カテゴリ: 映画
図書館で『俺は死ぬまで映画を観るぞ』という本を手にしたが・・・・
四方田さんが、1985年から2010年までに、いろんな新聞や雑誌に書いてきた映画評の数々が載っています。

大使が観た作品や、知らない作品がキラ星のようにちりばめられています。
そして、ここにはハリウッド作品が少なくて、ヨーロッパや東アジアの作品が多いのだが、これが四方田テイストなんでしょうね♪

この選定がありそうであまり無いわけで・・・「四方田犬彦の世界」ではないだろうか。



四方田

四方田犬彦著、現代思潮新社、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
観たいものを観、スクリーンに対峙するだけで充分ではないか。ただただ世界中の映画をなりふりかまわず観まくってきた映画研究家が、17年ぶりに刊行する映画時評集。

<読む前の大使寸評>
映画、フランス、韓国、台湾・・・・年上ということもあるが、どういうわけか常に大使の一歩先を行くような四方田さんが気になるわけです。

世界中を股にして見たいものを見てきた四方田さんは、まさしく先駆者なんでしょう♪

Amazon 俺は死ぬまで映画を観るぞ

この本は読みどころが多いので、(その2)として読み進めたのです。

映画のなかのアンナ・カリーナは、大使にとってもアイドルだったわけです♪
p147~149
<アンナ・カリーナは今でも現役アイドル>
 まあ、これがわたしね。『アルファヴィル』のときでしょ。こっちがエディで、そうそう、わたしがエリュアールの詩集を読んでいるところよ。すごいわ!
アンナ

 60歳のアンナ・カリーナは、わたしがもってきた岡崎京子の漫画を手にとりながら、嬉しそうにそういった。彼女は「東京の夏」音楽祭の招きで、リサイタルを開くために来日したのだった。

 初めて会うアンナは、とても気さくで冗談好きの女性だった。岡崎京子の『愛の生活』の表紙を見て、この女の子のファッションは、50年代の、わたしがデンマークで子供だったころの感じねといい、自分の出演作の服装について説明をしてくれた。

 ゴダール映画のなかではいつも絶望に満ちた、暗い眼差しばかりを見せているという印象があったので、現実との落差にわたしは少しびっくりした。でもいいや、なにしろ中学生のとき以来夢中になっていた女優に会えたのだから。

「『小さな兵隊』のときのセーター、あれは自前ね。『女は女である』のセーラー服、あれはオーダーよ。お金かけて撮った映画だったし。『気狂いピエロ』?あの辺の服はだいたいプリズニックの吊るしが多いわ。真っ赤なワンピースとか、白いノースリーブとか」。ちなみにプリズニックというのは、まあ日本でいうと長崎屋とか西友にズラリと並んでいる既製服の感じである。

 アンナ・カリーナはデンマークに生まれた。母親が劇場の衣装係だったので、子供のころから芝居は身近なものだった。だが2歳のとき父親が家を出てしまい、生活はけっして豊かなものではなかった。中学校をすまし、17歳でパリに無一文でやってくると、カルダンのモデルをして働いた。やがて彼女はゴダールに発見され、主演女優として、妻として、このひどく気難しい監督に霊感を与えた。

 もっとも結婚生活は5年で終わった。アンナの浮気が原因である。ゴダールはその後政治路線に突っ走り、一人になったアンナはそれを虚しく思いながら、遠くから眺めていた。

 「ジャン=リュックは天才よ。彼はいつも本を読んでいて、パッと姿を消してしまう。誰も彼のようにできないわ。わたしは多くのものを受けとったと思う。もしわたしの方で彼に何かを与えられたとすれば、それは移り気ということかしら。なにしろわたしはいつだって、次から次へと別のことに気を取られていたから」。

 アンナと会った二日後、わたしはアートスフィアで開かれたリサイタルに出かけた。彼女は黒一色のシンプルな格好で、次々と曲を披露した。もっともわたしには演出がいささか一本調子で、いささか寂しい思いがした。もともとプロの歌手ではないのだから、本当はもっと舞台に趣向を凝らすべきだったのだ。

 リサイタルの最後の方で彼女は、35年前に『気狂いピエロ』のなかで歌った「わたしの運命」という曲を披露した。アンナがじっと自分の掌を見つめながら歌う。「どうして運命線がこんなに短いのでしょう。明日という日が心配だわ」。
sピエロ気狂いピエロ

 するとかたわらにいたジャン=ポール・ベルモンドが「そんなこと、どうでもいいよ。きみのウェストの線の方が気になるな」と混ぜっかえす。映画では有名なシーンだ。ステージでは若いカトリーヌというシンガーソングライターが、このベルモンドの代わりをした。アンナは昔の舌ったらずな歌い方をやめ、堂々と間をとりながら、大年増のコケットリーを振りまいた。

 わたしは心の中で懐かしさに浸っていた。ところがリサイタルが終わると突然、大勢の女の子が「アンナ!アンナ!」と叫びながら、湧いてでるようにステージの側に駆けつけたではないか。これは予想もつかない出来ごとだった。我も我もとサインをねだる彼女たちにアンナは最初びっくりしたようだったが、やがて坐りこんで一人一人に対応しだした。30分経って、ようやく騒ぎは収まった。

 アンアはもはや映画オタクのノスタルジックな偶像なのではなく、日本のオリーブ少女たちの、現役のアイドルなのだ。これでいいのだと、わたしは思った。
 それから岡崎京子の本を彼女に渡しておいて、本当によかったと思った。
『週刊SPA!』2000年7月


この記事は15年前の記事だから、今のアンナ・カリーナは75歳なのか・・・光陰矢のごとしである。
それにしても岡崎京子の漫画のおかげで、アンナ・カリーナが現役のアイドルだったというのが、可笑しい♪
オカザキ

ゴダールの「中国女」 に書いたとおり、大使は一時期はゴダール作品に入れあげていたのです。

俺は死ぬまで映画を観るぞ(その1)






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Last updated  2015.11.06 16:44:53
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