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2015.11.08
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カテゴリ: 気になる本
<日本語の科学が世界を変える>
図書館に借出し予約していたこの『日本語の科学が世界を変える』という本をゲットしたのです。
大使のツボのひとつに、漢字かな交じり文で書かれる日本語があるのだが・・・
このハイブリッド言語は、必ずや日本文化の興隆に一役かっているはずです。
そういう観点で読んでみようと思うわけでおます♪



日本語

松尾義之著、筑摩書房、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
世界をリードする日本の科学・技術。その卓抜した成果の背景には、「日本語による科学的思考」がある!江戸から明治期、西欧から入る外国語の知を翻訳して取り込み、母国語の知識体系に位置づけなおしてきた歴史に遡り、また多くの科学者たちの証言を手がかりにして、この命題に迫る。そして、本来質の高い日本の科学が直面している問題に対峙、さらなる発展への道を提起する。ユニークな視点から解く、新しい「科学論」。

<読む前の大使寸評>
ハイブリッド言語とも言われる日本語だから、他の言語では得られない強力な利点があるはずではないか?と思うわけです。

<図書館予約:(6/11予約、11/07受取)>

rakuten 日本語の科学が世界を変える


ノーベル賞受賞に対して中韓から示された疑問のあたりを見てみましょう。
このあたりが本書のキモであると思うが、大使のナショナリズムが大いに高揚するのである♪
p19~21
<西欧文明を母国語で取り込んだ日本>
 なぜ日本人は英語で科学をしないのか?なぜ日本人は日本語で科学するのか?その答えは明快だ。英語で科学する必要がないからである。私たちは、十分に日本語で科学的思考ができるからである。

 益川敏英博士も、2014年11月26日付朝日新聞「耕論」欄において、英語入試改革に関するコメントの中で次のような意見を表明されている。

 「ノーベル物理学賞をもらった後、招かれて旅した中国と韓国で発見がありました。彼らは『どうやったらノーベル賞を取れるか』を真剣に考えていた。国力にそう違いはないはずの日本が次々に取るのはなぜか、と。その答えが、日本語で最先端のところまで勉強できるからではないか、というのです。自国語で深く考えることができるのはすごいことだ、と。
 彼らは英語のテキストに頼らざるを得ない。なまじ英語ができるから、国を出て行く研究者も後を絶たない。日本語で十分に間に合うこの国はアジアでは珍しい存在なんだ、と知ったのです」

 まさにこのことを、私は本書に書いた。私たち日本人は日本語で科学することができるのだ。でも、それは自然にそうなったわけではない。

 日本人は特に150年前の江戸末期に、集中的に必死になって西欧文明を取り入れた。概念そのものが、それまでの日本文化に存在しないものも多かった。そこで、言葉がなければ新たに言葉を作ったりしながら、学問や文化や法律などあらゆる分野について、近代としての日本語(知識)体系を作り上げてきたのである。

 そのような新しい日本語を使って、現在の日本人は、創造的な科学を展開しているのだ。そしていまや、多くのノーベル賞受賞者を輩出する実力ある社会を作り上げた。だから、基本的に、英語で科学する必要がないのである。先人に感謝しても、しすぎることはないだろう。

 私たち日本人は、日本語で科学することにより、21世紀に入ってほぼ毎年一人のノーベル賞受賞者を出す科学文化を創り上げた。技術の世界においても、ここ20年、従来存在しなかった画期的な新技術・新製品の大半を、日本から生み出してきいた。このように、日本語による科学技術が大きく花開いたのは間違いのない事実である。

 それなら、「日本人は日本語で科学を展開したがゆえに、これだけ多くの偉大な成果を得ることができた」と言えるのだろうか?実際日本語には、くりこみ群(統計力学、場の量子論)、棲み分け論(進化論)、すだれコリメーター(X船天文学)、ミウラ折り(宇宙工学)といった日本独特の科学用語があり、その可能性を暗示している面がある。

 しかし、この命題をいくら追いかけても、それを証明することはできない。事実として、日本人は日本語でしか科学をしてこなかった。でも、その日本語で科学や技術を展開したという特別の理由ゆえに、ここまで日本の科学技術が大きく花開いたとは言い切れないのだ。論理的に証明不能だからである。

 したがって、本書で「日本語で科学や技術を展開したから」と書く時、それは理由を言っているのではなく、他に選択支のなかった事実のみを語っている。この点は間違えないでほしい。ただ、本音を言えば「日本語主導で独自の科学をやってきたからこそ、日本の科学や技術はここまで進んだのではないか」と思うところはある。これについては、あくまでも「状況証拠」でしかないが、様々な具体例をあげてみたいと思っている。

 この文脈上での話であるが、韓国ではハングル優先で漢字を棄ててしまったために、多くの同音異義語が区別しきれなくなり、重要な知識や概念を失うだけでなく、厳密な議論もできなくなった。せっかく、漢字用語に基づく科学知識体系を、中国とともに明治期の日本からまるごと導入したのに、実にもったいない話である。これは私の立てた問題を考える際の、明らかな反例である。

 もっとも、日本も韓国を笑えない部分がある。なぜなら、歴史を振り返ってみると、日本語で漢字を棄てることになったかもしれない危ない暴論や、怪しげな著名人による盲論が、たびたび顔を出しているからである。(森有礼や尾崎行雄による英語国語論、志賀直哉によるフランス語国語論など)。こういう議論があったことを忘れてはいけない。


韓国の漢字教育の惨状が 中韓の思い描くノーベル賞 や 韓国が漢字を復活できない理由 に見られます。



<英語にない「物性」で学問をしたから、画期的な成果が生まれた?> p40~42
 ハイゼンベルグは、半世紀前に、異文化である日本人理論物理学者の貢献を高く評価した。それから40年ほどたって、例えばネイチャー誌のジョン・マドックス元編集長は、日本語でなされている科学知識に、彼らの知らない何かプラスアルファがあることに気がついた。「はじめに」で私が再発見と言ったのは、このことである。

 そうだとすると、いくら論証不可能であっても、やっぱり「日本語だからできたのではないか」という状況証拠を探してみたくなる。そこで、日本語では普通に使われているのに、「英語には翻訳できない科学用語」を取り上げてみたい。そんな例の一つが「物性」という言葉である。

 東京大学には物性研究所という素晴らしい研究機関があるし、日本の物理学の中には物性論という明確なジャンルも存在している。「物質の性質を原子論的立場から研究する科学」である。

 ところが「外国語にはこれに当たる適切な言葉はない」と『理化学辞典』にも書いてあるのだ。アメリカでは近い言葉にcondenced matter physicsがあるが、これはほぼ100%、凝縮系物理学と翻訳されており、物性という言葉にはなりえない。

 一時期、固体物理学というジャンルが物性物理学に近いことがあった。エレクトロニクスなどを支えた学問分野である。材料科学もかなり物性論に近い言葉だ。それでも、超伝導などは物性論以外には入れにくい。まさにハイゼンベルグ博士の言う自然言語としての「物性」は、このように間口の広い言葉なのだ。それは決して悪いことではない。

 見方に違いはあるだろうが、広い意味での物性物理学において、日本の科学者の貢献は超一流だと私は思う。細野秀雄東京工業大学教授による鉄系超伝導物質の発見、ノーベル物理学賞を受賞した中村修二カルフォルニア大学教授による青色発光ダイオードの発明、蔡安邦東北大学教授による準結晶の研究、西澤潤一・東北大学教授による半導体分野の多数の素晴らしい成果群など、みんな広い意味での物性分野の仕事なんおである。これらが世界をいかに変えたかは、あとで詳しく説明する。

 日本人研究者の頭の中にスルッと入ってくる「物性」という言葉。この概念は、伊藤仁斎による「窮理・物理」や貝原益軒による「物理之学」と同じころに登場したのではないか。そう私は思っている。物性という言葉が作られた直接的な証拠があるわけではないが、「物」というのがいかにもそれらしいのだ。


日本語で書かれた科学雑誌が本屋の店頭を賑わすのは、日本的な現象なのかも?

<科学論文誌と科学雑誌> p75~77
 すでに述べたように、私は、40年近く前から、科学技術という分野で、ほぼずっと、英語と日本語に向き合ってきた。科学雑誌の編集者として、また科学技術記事のライターとしてである。そこから言えることが、科学を日本語でやっても何ら問題は生じないし、むしろ、プラスの面があるのではないか、ということだ。ご存じのように、いまや日本は、毎年一人の割合でノーベル賞受賞者を輩出する国となった。非欧米言語圏でこんな国は世界を見渡しても存在せず、英語でなく日本語で科学をすることが、あるいは逆にメリットになっているのではないか、と考えられるのだ。

 もちろん、私のここでの議論は、英語を使わないということではなく、まずきちんと日本語で理解し、同時に、それに対応するような英語もきちんと学んでいくことを前提にしている。それが日本の科学であり技術のあり方なのだ。

 江戸時代の学者が日本語と漢文を学んだように、今日、日本語と英語を学んでいくことが、結果として学問を深め、世界の科学技術にかけがえのない形の貢献をすることになるのではないか。そんな予感を持っている。だから、それは決して英語だけ、日本語だけで、科学や技術知識を習得することではない。

 日本の新聞や雑誌の科学のニュースではよく、「英国の科学雑誌ネイチャーによると」とか「米国の科学雑誌サイエンスによると」という記事が多い。この場合のネイチャー誌やサイエンス誌は、正確に言うと科学雑誌ではなく科学論文誌である。科学雑誌と科学論文誌の違いは、「論文」を載せるか載せないかである。この場合の「論文」というのは、同じ科学者による匿名の審査過程を経ていて、「論文として発表するに値する新しい内容を含んでいる」という保証つきの成果発表報告書である。

 科学の世界では、新しい発見や知見は、すべて、この「論文」を通して発表され、その発表に至るまで、必ず厳しい複数の専門家による審査過程がある。この審査(査読ともいう)を英語でピアレビューという。ピアは同レベルの専門家、レビューは審査、検査という意味である。


大使は、あくまでも漢字に拘るのです。

<直感的にわかる漢字表記が大切> p65~66
  (文字数制限により省略、全文は ここ )








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Last updated  2015.11.11 04:55:04
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