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2015.11.13
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・かたづの! 
・冷たい米国に片思いした日本(水野和夫さんが選ぶ本)

***************************************************************

かたづの! より
中島

<一本の角が見守る女の一生:瀧井朝世(ライター)>
 今月発表のあった柴田錬三郎賞受賞作。今年すでに河合隼雄物語賞と歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞している、著者初の歴史ファンタジーだ。

 江戸時代にただ一人、女性の大名がいたという。八戸南部氏の城主だった夫を亡くし、自ら後を継いだ祢々(ねね)だ。大国である南部宗家の叔父から謀略を仕掛けられる度に「戦だ!」と息巻く臣下たちに対し、彼女は常に不戦を説く。八戸から遠野への国替えといった無理難題を命じられても、抵抗せずに居を移す。結果的にはその荒れた地で人々の生活を向上させてみせる手腕は実にあっぱれ。祢々いわく、戦で一番大切なことは「やらないこと」、二番目は「負けないこと」。さらに「さっさと止めるのも肝心」とも言う。
 秀逸なのは、語り手が一本の角である点だ。祢々が15歳の頃に山で出会い、友情を育んだ一本角の羚羊(かもしか)。彼は寿命が尽きた後も角に魂を宿してこの世に留まり、時にユニークな手段で彼女を助けるのだ。そのとぼけた口調は実に楽しく、そして温かい。夫も嫡男も喪い、ひたすら人民に尽くした一人の女性の生涯を、こんなふうに陰で見守っていた存在がいたのだと思うと胸が熱くなる。

 他にも八戸から遠野についてきた河童や、喋るぺりかんなど不思議な生き物が登場し、物語を賑やかにする。現代への鋭い批判を感じさせながらも、嘘と真が詰まった語りの豊かさ、楽しさを味わわせてくれる。

 それにしても、ここ最近の著者の勢いには目を見張るものがある。本作のほか、昨年は人々の偏愛を描いた短編集『妻が椎茸だったころ』(講談社)で泉鏡花文学賞、今年は認知症の父と家族の物語『長いお別れ』(文芸春秋)で中央公論文芸賞を受賞。作風はまったく異なるが、こちら二作も素晴らしい。

◇
中島京子著、集英社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
慶長五年(1600年)、角を一本しか持たない羚羊が、八戸南部氏20代当主である直政の妻・祢々と出会う。羚羊は彼女に惹かれ、両者は友情を育む。やがて羚羊は寿命で息を引き取ったものの意識は残り、祢々を手助けする一本の角ー南部の秘宝・片角となる。平穏な生活を襲った、城主である夫と幼い嫡男の不審死。その影には、叔父である南部藩主・利直の謀略が絡んでいたー。次々と降りかかる困難に、彼女はいかにして立ち向かうのか。波瀾万丈の女大名一代記!

<読む前の大使寸評>
先日、短編集『妻が椎茸だったころ』を読んだのだが、しんみりと身にしみたのです。
で、著者の歴史ファンタジーには期待大でおます。

この本は、図書館に借出し予約しているのだが、なかなか順番が回ってこないのです。

<図書館予約:(8/24予約済み)>

rakuten かたづの!


水野和夫さんが選ぶ本を見てみましょう。
とにかく、この書評で述べられている戦略思考に、思わず膝を叩いて賛同するのです。

冷たい米国に片思いした日本 より
TPP

■TPP大筋合意
 「漂流」すると思われていたTPP(環太平洋経済連携協定)が今月上旬ぎりぎりのタイミングで大筋合意した。12カ国が参加し世界のGDPの4割を占める巨大経済圏が誕生する。
 作山巧『日本のTPP交渉参加の真実』は、これまで蔑ろにされてきたTPP参加決定にいたるプロセスを詳細に解明する。中野剛志編『TPP 黒い条約』は米国のTPPに込めた長期戦略と日本の思惑の違いに焦点をあてて分析する。中村靖彦『TPPと食料安保』は日本と「驚くほど共通項が多い」韓国で自由化の影響を調査し、日本の農業の行く末を考える。

 農水省でTPP交渉に携わった作山はその賛否を巡る議論よりも、促進要因と抑制要因とにわけて交渉参加のプロセスを説明することに力点を置く。
 具体的には(1)菅首相が2010年10月に突如TPP参加検討を表明したのはなぜか、それなのに(2)後継の野田首相が参加を決断できなかったのはなぜか、一転して(3)安倍首相が12年12月の総選挙で自民党の「関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉には反対」の公約を掲げ、農協の支援をうけて勝利したにもかかわらず、なぜ就任後3カ月で参加表明できたのか、である。

■中国にどう対応
 菅首相のTPP参加表明は突飛に思えるが、作山によれば、「東アジア共同体」構想を掲げる鳩山政権のときから「経産省の迂遠だが巧妙な戦略が、後で効果を発揮することになる」。沖縄基地問題でこじれた鳩山政権の対米関係修復と尖閣問題での中国牽制のために菅政権はTPP交渉参加に踏み切った。

 第2次安倍政権では、民主党政権以上に政治と経済との争点リンケージが前面に出てくるようになった。「安倍首相は民主主義国家ではない中国への対抗という見地から、TPPの持つ政治面での意義を高く評価」しているからである。

 ところが、米国サイドの識者の見解を研究する中野によれば、米国の対中戦略は「台頭する中国との衝突を回避し、共存を模索」しており、TPPは「日本の一部の保守系論者が期待しているような中国包囲網ではあり得ない」と断ずる。

 日本政府の一方的片思いだったのであり、そのアメリカは日本に冷たい。中野はジョセフ・ナイの言葉を紹介し「日米同盟は、対ソ封じ込めから、対日封じ込めへと性格を変えた」という。

■新帝国システム
 TPP批准で最も懸念されるのが農業への打撃である。コメ、麦など重要5項目を「聖域」としてきたが、蓋を開けてみたら、重要5項目=586品目のうち3割は関税撤廃となる。TPP参加を選択した以上、日本の農業はこれを奇貨として中村は「日本の食」が「とても惨めな状況」を立て直すしかないという。

 アジア通貨危機を契機にFTA(自由貿易協定)大国を選択した韓国の農業は「沈滞」と言っていい状況にあり、「どうすればつぶれるのかという要因を探し、その要因を捨てる仕組みづくり」をし、「強い小農を目指す」。こうした韓国の状況を参考にした上で、中村は「半ば強制的な生産調整は廃止」し、「農地公有化論」を唱える。

 TPPに関する研究には「政治学」と「経済学」の統合が必要だ。TPPは、まさに米国の国際政治学者M・ドイルのいう「中心」と「周辺」の存在、両者を結びつけるイデオロギーとしてのグローバル化からなるという点で帝国システムだ。「帝国の政治経済学」が必要である。

◇
水野

水野和夫著、集英社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。一六世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。500年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは?異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、新たなシステムを構築するための画期的な書!

<大使寸評>
水野さんのこの本は購入済みであるが、現在積読状態なんです…イカン、イカン!

rakuten 資本主義の終焉と歴史の危機


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Last updated  2015.11.13 06:24:57
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