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2015.12.06
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集』をようやくゲットしたのです。
最近まで、梶山季之といえばエロ&サスペンス?の作家だと思っていたが、朝鮮からの引き揚げ者で、朝鮮に関して数多くの作品を残していることを知ったわけです。
大使にとって土地勘もあり思い出の多い朝鮮なので、これから読んでみようと思うのです。



李朝

梶山季之著、インパクト出版会、2002年刊

<「BOOK」データベース>より
梶山季之が生まれ育った「ふるさと」植民地下朝鮮を描く作品群。
【目次】
族譜/李朝残影/性欲のある風景/霓のなか/米軍進駐/闇船/京城・昭和十一年/さらば京城/木槿の花咲く頃/族譜(広島文学版)/エッセイ(韓国の“声なき声”を推理する/朴大統領下の第二のふるさと/京城(ソウル)よ わが魂(ソウル)/魂の街 ソウル)

<読む前の大使寸評>
最近まで、梶山季之といえばエロ&サスペンス?の作家だと思っていたが、朝鮮からの引き揚げ者で、朝鮮に関して数多くの作品を残していることを知ったわけです。
大使にとって土地勘もあり思い出の多い朝鮮なので、これから読んでみようと思うのです。

<図書館予約:(11/28再予約、12/04受取)>

rakuten 李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集


梶山季之と朝鮮の関係を、解説から見てみましょう。
p319~323
<解説:川村湊>より
 梶山季之は、1930年(昭和5年)1月2日に、朝鮮の京城(現ソウル特別市)で生まれた。父・梶山勇一は、当時朝鮮総督府の土木関係の技術官僚(技官)であり、母のノブヨとの間には三男一女がいた。季之はその次男で、兄・久司と妹・宏子と、彼よりも早くなくなった弟がいた。両親は、広島県佐伯郡地御前村出身であり、朝鮮から引き揚げた後は、季之も一時そこに住んだことがあった。

 父・勇一は、早稲田専門部を出た後、台湾、朝鮮の総督府の役人となり、朝鮮では京城府庁に土木技術者として勤めていた。実直で、真面目な人間だった。いわゆる高級官僚ではないが、朝鮮では上層階級の収入を得ていた。母・ノブヨはハワイのオアフ島に日系移民の一世の子として生まれ、9歳の時に地御前村の親戚のところに養女としてもらわれてきた。

 地御前村は、明治時代初期からアメリカやブラジルへの移民村として知られ、父親、母親ともに、移民や植民に深く関わった土地柄、血筋であったといえる。

 1936年、南大門公立国民学校(小学校)に入学した。京城の南大門近くにあった名門小学校で、総督府の役人の子弟、裁判官、鉄道官舎に住む日本人の上層階層の子供たちが多く通っていた学校だった。後に広島高等師範学校の校門前で再会した坂田稔は南大門小学校の1年から6年までの同級生だった。3年後輩に五木寛之がいた。

 1938年に、一家は京城府城東区新堂町349番地に家を新築して、引き揚げるまでそこに住んだ。京城近郊のいわゆる新興の高級住宅地だったが、引っ越し当初は「伊藤」という隣家と梶山家と、日本人の家二軒だけの、淋しいところだったという。

 後に「闇船」を書いた時に、その舞台を「新堂町の山を切り開いた」桜ヶ丘という、ほぼ自宅そのままの場所にしたのは、京城において彼にとってもっとも土地勘があった場所だったからだろう。敗戦後、日本人の家が略奪などの被害にあったのは「闇船」に書かれた通りだが、梶山家は平生から近所の朝鮮人と親交があり、襲われることを免れたという。

 1943年、京城中学に入学した。(中略)

 1945年にいったん閉鎖された後も、翌年に6年制の「ソウル中学・高校」として韓国人の学校として再開され、同地に位置していた。梶山季之が入学した当時は、教師も生徒もほとんど日本人であり、名門校といえる学校だった。

 1944年、学徒動員により、仁川陸軍造兵廠で、99式歩兵銃の製造に携わる。梶山季之には、軍隊体験はなく、日本の軍国主義と直接的な接点はないが、この学徒動員による擬似的な「軍隊体験」は、上司や先輩による目下の者に対する暴力制裁の横行する、ファナチックで、非合理的な日本的な精神主義に対する嫌悪感と批判をもたらしたようだ。

 この学徒動員の日々、および敗戦の日のことは、「性欲のある風景」に反映されていると考えられ、敗戦からアメリカ軍の進駐、引き揚げの体験については、その一部が「米軍進駐」や「闇船」のなかに描かれていると思われる。

 1945年11月7日、一家は新堂町桜ヶ丘の家から出て、日本への引き揚げを開始する。
(中略)

 1945年8月15日に、同じ京城近郊、しかも割合と近くである日本人の新興住宅地に往十里にあった銀行社宅で、16歳の日野啓三少年は、トウモロコシに似たコウリャンの葉が風に吹かれてカサカサと乾いた音を立てるのを聞きながら、「この世界には隙間があり、歴史には裂け目のあることを」感じていた。平壌で、8.15の敗戦を迎えた五木寛之や、旧満州国でその日を過ごした安部公房なども、故郷喪失と故国崩壊の深甚な虚脱感、崩壊感覚に見舞われた。

 喪失、絶望、虚脱、崩壊こそが、彼らの文学の依拠すべき「文学のふるさと」にほかならなかった。そこでは、体験や経験の事実そのものが、不確かな虚構のものとして出現してこざるをえない。
 風景や人間関係が、ある日、ある時点から一変する。そうした体験を経た人間が、素朴なリアリズムによって世界を描写するよりも、むしろ事実と虚構の境界が曖昧となった。観念や言語によって構築する作品世界を目指すのではないだろうか。

 植民地生まれ、植民地育ちの埴谷雄高、安部公房、日野啓三など(そして、少し毛色は変わっているが、五木寛之や梶山季之にも)の文学者に共通するのは、事実や現実よりも、夢や幻想を生きることの糧とするようなフィクションに対する、むしろ「大いなる信頼」なのである。


ソウル郊外のブチョン(豊川)市にファンタジックスタジオという映画セット公園があるのだが・・・
公園内の日本風街路が、郷愁をそそるのです(大使の場合)

路1

路2

この記事も 韓国あれこれ に収めておきます。





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Last updated  2015.12.06 06:21:09
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