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2016.01.02
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カテゴリ: 歴史
図書館で『日中戦争とノモンハン事件』という本を手にしたが・・・・・
著者は、若年のため日本軍での軍歴はないが、難民生活後に八路軍の軍歴を持つに至ったという異色の人である。
この本は従軍戦記ではないけど、戦場の雰囲気は感じられるのです。



日中

水嶋都香著、第一書房、2007年刊

<カスタマーレビュー>より
勉強家であり理解力と洞察力に優れた筆者は、恐らく厚さ2メートルほどに達したかと思われる量の文献を読破し、表題に関係する事実を細部にわたって整理し再構成している。大多数の読者にとって今や仔細への関心が持てない時代の出来事であるが、筆者はそこに現代への教訓があるとしている。
 まずノモンハン事件を詳述し、次に日中戦争の経緯を描き、それから敷衍して今の日本の国防・教育問題を論じている。随所に筆者の洞察とバランスある見識が読取れる。

<読む前の大使寸評>
とにかく、関東軍参謀の独断専行負け戦が腹立たしいのです。
著者は、若年のため日本軍での軍歴はないが、難民生活後に八路軍の軍歴を持つに至ったという異色の人である。
また、東芝で技師長を勤めた経歴を持つように、どおりでバランスある見識が感じられるのです。

Amazon 日中戦争とノモンハン事件

この本は読みどころが多いので、(その3)として読み進めたのです。

著者はアンチ官僚であり、石原莞爾の「改革派」に組みする旗幟が鮮明である。
そのあたりを、見てみましょう。
p309~310
<現代に投影される問題>
 第二部は日中和平交渉をモティーフとして書いた。日中和平を進めたのは石原莞爾をはじめ「改革派」である。

 この「改革派」が、東条英機はじめ多数の軍首脳から成る「現状維持派(抵抗勢力)」に敗れたことが日中戦争の泥沼化、ひいては日米開戦につながったといっても過言ではない。

 「改革派」と「現状維持派」の争いは現在もある。1937年(昭和12)の日中戦争勃発からちょうど70年目の今年、2007年の3月23日の朝日新聞夕刊「安部政権の空気13」に、経済成長率アップを旗印にする「市場派」と財政再建を重視する「増税派」の対立が記されて」いる。
 「市場派」には竹中平蔵・大田弘子経済財政担当相・本間正明阪大教授・中川秀直自民党幹事長・大蔵省出身の異端児高橋洋一内閣参事官等の名が挙がっている。しかし大田担当相は「官僚に取り込まれた」のではないか危ぶむ声が上がっている。

 改革派の「市場派」に抵抗する勢力は「増税派」だけではない。族議員や官僚、官僚OBの多くが「現状維持指向」の抵抗勢力と見做される。恐らく官僚筋からの情報リークによるのではないかとみられる官舎問題で、本間が失脚してから、「市場派」は後退の曲がり角に来たともいわれる。

 官僚筋からの情報リークの真偽の程については、筆者は承知していない。しかし情報が国、特に官僚に集中している我が国では、官僚が現状維持のため情報を操作し、抵抗勢力に加勢する弊害は大いに起こり得る。

 この弊害に歯止めをかけるには、ジャーナイズムが、多数派を占める抵抗勢力の反発を恐れず、真相を究明・公開することが有効だと思われるのだが?
 完全にアメリカ型の競争原理一辺倒の経済成長率アップでは、これが日本にとってかならずしも正しいとはいえないが、それにしても日中戦争時の「改革派」敗退の二の舞だけは踏みたくないものである。


2007年時点での著者の世界認識と展望が「あとがき」に述べられています。
p312~313
<あとがき>
 2007年、現在の中国は来年の北京五輪に向けて空前の活況を呈している。2020年までに国内総生産(GDP)を2000年の4倍・4兆ドルにする政策目標をたて、21世紀の超大国への道を進んでいる。BRICs経済研究所は、中国のGDPは2010年代には日本を、2040年代には米国を抜き、世界第一の経済大国になると予測している。

 米国は太平洋戦争で20世紀の東洋の猛犬日本の牙を抜いて、21世紀の東洋の獅子中国の眠りをさましてしまった。21世紀は太平洋をへだてて二つの超大国・米国と中国が対峙する時代であることは間違いない。日本は好むと好まざるとにかかわらず、この両大国の間に存在するという地政学的宿命を背負っている。

 かつて日本は、中国の実力を軽視するという過ちを犯して、日中戦争の泥沼から太平洋戦争への道を歩んでしまった。21世紀の中国の興隆に対しても、正しい認識を持って対峙しなければ同じ過ちを犯す恐れがある。

 2007年参議院選挙で自民党は大敗を喫した。「閣僚の失言」「政治と金」「年金問題」等の原因が重なり、これ等に対処する政権の危機管理能力に疑問符がついたこと。また小泉政権が進めた「構造改革」で危機に瀕していた日本経済は見事に立ち直ったが、その影の部分である格差、特に地方経済の疲弊問題を小沢民主党党首に巧みに衝かれた等が直接の敗因とされる。しかし格差は構造改革というよりグローバル化により生じたものである。

 安部首相が最重視した「国防と教育問題」より生活に密着する直近の問題に票が左右されるかたちとなった。「国防と教育問題」が国のかたちを決める最重要課題であることは間違いないが、当面国会は直近の問題に重点が移るのは避けられない。

 しかし国民の多数は、自民党の古い体質への後戻り、改革の後退、ばらまき政治の復活、財政の悪化、国際競争力の低下等、改革の時計の針が逆回転することを望んではいないだろう。

 中国・インドをはじめとするBRICs諸国の生活水準の向上に伴い、世界的な規模で食糧・資源の需給の逼迫、価格上昇が急速に進行している。更に少子高齢化の進行等日本を取り巻く環境は今後益々厳しくなる。莫大な国債残高等、後世に「つけ」を残すと、我々の子や孫は親よりは貧しくなってしまうのは確実である。当面、格差是正に何らかの手を打つことは必用であろう。


ウーム、中国の軍拡・脅威に触れていないけど、その他については正鵠を射ているというか、著者の慧眼に驚く次第です。

『日中戦争とノモンハン事件』1
『日中戦争とノモンハン事件』2

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Last updated  2016.01.02 21:54:10
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