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2016.01.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館に借出し予約していた『対話録・現代マンガ悲歌』という本を手にしたが・・・

この本は、ページをめくる際にそれぞれ引っかかりがあるわけで、神戸市では私が最初の読者のようである。
今まで図書館に死蔵されていたわけだが…
やっと日の目をみたわけかと、感慨深いものがあるのだ(笑)



マンガ

対談集、青林堂、1970年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につき、データなし

<読む前の大使寸評>
つげ義春、佐々木マキがでているのが、借りる決め手でんがな♪

この本は、ページをめくる際にそれぞれ引っかかりがあるわけで、神戸市では私が最初の読者のようである。
今まで図書館に死蔵されていたわけだが…
やっと日の目をみたわけかと、感慨深いものがあるのだ(笑)

<図書館予約:(12/22予約、1/06受取)>

Amazon 対話録・現代マンガ悲歌



赤瀬川さんに続いて、若き日の佐々木さんを見て見ましょう。
佐々木:佐々木マキ(本名=長谷川俊彦)昭和21年神戸生まれ。41年「よくあるはなし」を『ガロ』に発表。44年6月より『朝日ジャーナル』に連載マンガ等。
中村:中村宏、画家。昭和7年浜松生まれ。28年前衛美術会出品。画集に『望遠鏡からの告発』等。

佐々木佐々木マキ

p98~101
■錯誤・錯綜・反乱
中村:はじめは、映画的手法が新しさだったんでしょうが、とにかく、いままでの劇画やマンガはコマというものを単に時間の説明で考えていた。ところが、佐々木さんのは、コマが時間からとび出している。それでいてコマを使っている。そういうところがおもしろいですね。

 単発1コマでもいいようなものもあるけど、あえて1コママンガにしないで、なんコマかにしている点がおもしろい。逆の意味でコマが生かされている。別の解釈を必要とするわく組みになっていると思うんです。

 ページをめくっていって、コマが続いていく。それでいて時間の移り変わりではなくて、1コマが全体になり、全体が1コマになる。まああえていえば、そこがおもしろいですね。


佐々木:結局、デッチあげなんです。おもしろそうなものばかりをとにかく盛りだくさんつめこんでサービスいっぱいにやれば、映画の予告篇と同じで、自然にそうなりますね。理屈でなしに…。

中村:「難解マンガ」とか「ナンセンスマンガ」という言い方があるらしいが、レッテルだからいけないんじゃなくて、その決め方が実にくだらんのですね。

 レッテル貼ること自体は悪くはないけれども、貼り方の内容ですよ。とにかく、ジャーナリズムは遅れていますね。


佐々木:遅れていますね。

中村:もう一つ先を見ないといけないですね。だけど見られないんじゃないですか、批評家は。自分で描いたらいいんですよ、結局。

 佐々木さんのを見ていて、それを一番強く感じましたね。下手でも上手でもいいから、自分で描かなくちゃもうわからんのじゃないかという要素が出てきた。批評と別れた状態としてあるんじゃなくて、批評も絵でできることになってしまった。

 コママンガそれ自体、ついにそこまできたという感じですね。イラストでもない絵でもない、コママンガでもない、そういう絵ということでコマ自体の図形が問題になる。コマをパッと出されて、その解釈ではなくて、コマ的な認識が始まる。コマの意識がより物質化したということになるわけですが、どうですかね?


佐々木:ぼくは、描いたあとページの入れかえをすることがあるんです。本当は1ページの中のコマも入れかえたいと思うときがありますね。コマの大きさがまちまちだから、それができないわけですけれども、本当はそこまでやりたいですね。

中村:つまり、コマの反乱ということが問題じゃないかな。描かれたことのマンガ的意味や、文学的意味よりも、ぼくはそういうことの方がおもしろいと思ったわけです。
(中略)

 佐々木さんのを見ていると、イラスト的部分あり、劇画的部分あり、マンガ的部分ありで、それらの乱舞が今までのマンガ自体を否定していますよ。まあ、一種のアナクロニズムだと思います。

 アナクロニズムといっても、時代遅れということではなくて、時代が錯綜しているという意味でいっているんですが。したがって、佐々木さんのは、絵のジャンルの錯綜があるというわけです。錯誤-錯綜-反乱ですな。

 コマをはずして1頁ものにするということではなくて、逆にわくを縮めていくことによって裏側でコマを意識化してしまったということでもあるわけですね。一種の別の言葉です。


佐々木:5年ぐらい前に描いた落書きが残っているんですけれども、それがちょうどいまのようなものなんです。その頃は、高校生で、こんなのはマンガではないと思っていたから、発表できないな、なんて思っていたんです。ですから、『ガロ』に投稿したときはマンガを描くという意識でストーリーのあるものを描いたわけです。

 ただ、そのあとしばらくして描いた、「天国で見る夢」はふだん描いていた落書きを清書したようなものなんです。あの作品は、かなりやけくそで描いたわけで、これをマンガとして見るか何と見るか、反応を試してみたわけです。

 マンガ家になろうとは思っていなかったから、ストーリーものとか劇画というのはぜんぜん考えていなかったんです。

中村:そこが逆にいいんじゃないですかな。

佐々木:落書きから発展した絵を送ったところがたまたま『月刊漫画ガロ』というところだったからマンガ家ということになったんだすね。もしぼくが、それをデザインの雑誌にでも投稿していれば、イラストレーターということになっていたでしょう。まったく同じものを投稿していたとしてもね。

 ただ、落書きといっても、壁に描いただけでは人が見ないからいやなんです。印刷された方がいいですね。出てきかたが仰々しいほどいいですね。落書きが壁に貼ってあるのは当然なんで、それでは駄目なんです。落書きが雑誌社の金をかけて印刷されるのがいいんですね。


さらに、読み進めます。
p110~112
■教養主義をとっぱらえ
中村:オブジェみたいなのは好きですか。


佐々木:絵に興味があります。

中村:まあ絵もオブジェだよ。

佐々木:ことばに疑いをもっているなんていわれるけれども、ぼくはことばを否定していないです。ことばは大事にするんです。大事にしなくちゃいけないと思いますね。ただ、ことばにできることを説明的に絵にすることは、ことばに対する侮辱だと思うんです。

中村:ことばもオブジェにしてしまえばいいわけだ。
 佐々木マンガは、すごくギョウゼツですよ。これだけ小道具がそろっているんだから。小道具のわかる批評家はいませんか。(笑)


佐々木:批評家ですか。批評家って、つまり存在理由そのものから、ぼくにはピンとこないんです。どんなに尊敬して考えてみてもぼくには口うるさい読者の一種にしか見えないですね。失礼ですが。

 「読者サロン」にだれかが批評家という夾雑物ぬきで作者と読者が直接にサシで勝負しようという意味の投書をしていましたが、ぼくは文章の次元で分類されて処理されてしまうのを拒否したいという意味でも、その意見には賛成ですね。

中村:佐々木さんがさっきおっしゃてた、見ることへのゆがみはたしかにあると思いますね。『ガロ』はもっと続けて佐々木マキを出さなくてはいけないですよ。でも佐々木マンガによって、ゆがみがいくらか直ったんじゃないですか。テレビなんかもゆがんだやつがやっているから困るね。(笑)

 ところで、テレビのコマーシャルには興味ありますか。


佐々木:ありますね。

中村:ぼくもドラマなんかより数等いいのがあると思いますね。例えばどういうのが好きですか。

佐々木:「レナウン・イエイエ」

中村:ああそうですか。話はちがいますが、ぼくは描くことよりも見るのが好きですね。見る方がどうしても先ですね。見るというのは、一種の触覚だけれども、それを越して、何らかのショックがあって、いきなり表現がきちゃいますね。この「イキナリ」ということが文学的な思考の持主にはわからん。

 視覚的ショックと表現が同時というのがんあいんじゃないかな。佐々木マンガを見ているとその「イキナリ」ということがよくわかりますね。つまり教育的だな。(笑)


佐々木:むしろ反教育的要素ですね。何故なら教育を受けすぎたため、単純で直接的なものを自由な眼で見られなくなっている人をもう一度当初の状態にひきずりおろそうとしているんですから。



なお、「天国でみる夢」を見れば、手塚治虫がブチ切れるのもわかるような気がします(笑)
天国天国でみる夢

この記事も 『ガロ』がつなぐ輪 に収めておく予定です。

『対話録・現代マンガ悲歌』1

ところで、母を見舞うため、5日ほど四国に帰省します。
今晩の24時前の高速バスに乗るのですが…貧乏人はもっぱらバスでんがな。





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Last updated  2016.01.12 15:53:43
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