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2016.04.26
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『現代SFのレトリック』という本を手にしたが…
この本で取り上げている作家では、バラードとディックぐらいしか知らない、ニューウェーブ世代の大使は、オールドウェーブなのか?・・・と自問するのです。



SF

巽孝之著、岩波書店、1992年刊

<「BOOK」データベース>より
いまや「SF」は遍在する-。高度資本主義・ハイテクノロジー文化が加速する現代、あたかもSFを読むかのような世界が生成している以上に、あらゆる「読むこと」という営為自体がSFと化しているのではないか。「脱構築」以後の批評理論をさらに展開し、S.レム、ディレイニー、バラード、シェパード、ディック、ギブスン、コールダー等のテクストへのラディカルなクリティークへ。20世紀末の言説空間の変容を鮮やかに捉え、来たるべき時代のセンス・オヴ・ワンダーを照射する野心的な現代文学論。

<読む前の大使寸評>
この本で取り上げている作家では、バラードとディックぐらいしか知らない、ニューウェーブ世代の大使は、オールドウェーブなのか?・・・と自問するのです。

rakuten 現代SFのレトリック


大使にとって、この本の一番の読みどころはJ・G・バラードになるわけで・・・
その辺りを見てみましょう。
p76~78
<同時多発への道はどれか?>
 60年代のSF革命は、J・G・バラードという若手英国作家がいわゆるアメリカSFに典型的な外宇宙指向に業を煮やして、むしろ人間の無意識こそ探求すべき唯一の宇宙とみなす内宇宙指向を宣言したことから顕在化した。いわゆるニューウェーブ運動の、英国SF雑誌<ニューワールズ>の、「思弁小説(スペキュラティブ・フィクション)」。それは最も尖鋭的なアメリカ作家たちをも巻き込む。

 だが、70年代を迎えてバラードその人に何か根本的な変容が要請される。インナースペースからさらにテクノスケープへの転換。テクノロジーも現代人には自然風景にすぎないという新たな認識。

 「人間的無意識の機構」から「機械都市の無意識」への重点移動。

 しかしこのテクノスケープは、気がついてみると単に一作家のものではなかった。彼個人の変容は、何かしら時代そのものの根底的な変容に等しい。

 ここで1973年が、バラード変容の記念すべきテクノロジー三部作第一作『クラッシュ』がロンドンのジョナサン・ケープ社から出版された年であり、同時に(それこそ衝突するかのように)主流文学ではトマス・ピンチョンの『重力の虹』がニューヨークのヴァイキング社から出版された年でもあった事実に思いを馳せよう。

 英米ふたりの、いずれも60年代の実験的大気を深く吸い込んだ作家たち。片や主流文学上でメタフィクションを、片やジャンルSF内でスペキュラティブ・フィクションを手がけていた作家たち。彼らがジャンルの上ではまったく無縁なまま、にもかかわらず、等しくテクノロジーとセクシュアリティの交錯する地点を活写した最新長編が、この年、それぞれ同時炸裂する。

 双方向から大西洋を横断し交錯する、テクノフィクション弾道弾。
 文字たちの重力、文字たちの虹。

<テクノ・セクシャル>
 こころみに、1990年刊行のバラード最新短編集『戦争熱』を開いてみたい。
 英国コリンズ社刊行、ピーター・メイナードによる表紙のフォト・コラージュが何とも美しい本書には、表題作を軸に70年代から80年代後半の作品まで、再録・初収録を問わず14編が選ばれている。バラードは1956年、短編小説「プリマ・ベラドンナ」でデビューしてから、以後34年。

 初期はシュールレアリスムの影響をうけた実験短編群や、『結晶世界』など破滅三部作のように、あたかもイブ・タンギーやマックス・エルンストの情景を活字に定着させたような終末論的長編を書きついでいた作家だが、右に暗示した世界観の変転を別にするなら、これだけの歳月がたったいまも、彼の思弁性に関してはどの作品を読もうと見劣りするところはない。

 コパカパーナやケープ・カナベラルを舞台に語られる元宇宙飛行士や偽宇宙飛行士、故宇宙飛行士たちのエピソード群、そこで幻視されるありえざる(内)宇宙の超現実イメージは、まちがいなく初期から一貫して外宇宙を否定し続けたバラードならではの味を残す。
 あるいはカリブ海の人知れぬ孤島で化学廃棄物の犠牲になる男や、統一後のヨーロッパは地中海の浜辺一帯に発生してしまう無数のビーチ・ピープルの物語には、その「」の雰囲気からしてあのなつかしい架空の避暑地の連作集『ヴァーミリオン・サンズ』がオーヴァーラップすることだろうし、随所を埋め尽くす空を飛翔する夢想の断片は『夢幻会社』(1979年)からスピルバーグ映画にもなった『太陽の帝国』(84年)まで、すでにすっかり親しまれたものだ。

 加えるに『戦争熱』には、むしろ主流文学側の大御所である批評家マルコム・ブラッドベリから以下のような推薦文が寄せられている。「バラードは豊饒なる開発途上分野のリーダー格だ。圧倒的な創作能力に恵まれたこの作家は、イタロ・カルヴィーノと同じく、現代世界の空虚で実質なき空間を、架空の見えない都市や脅威の世界を構築することで埋めつくすことができる」

なお、J・G・バラードへの入れ込みを J・G・バラードの世界 に収めているので、ご笑覧ください。

ポストモダンSFとか、ニューウェーブSFとか、エントロピー文学について、なんのこっちゃの大使である。・・・そのあたりのお勉強です。
p136~137
<ポストモダンSFの条件>
 したがって、今日タナー的な構想で『言語の都市』を書き直そうとしたら、主流文学のみならずトマス・ディッシュやフィリップ・K・ディック、ハーラン・エリスンらアメリカン・ニューウェーブSF作家が、ごく自然に含まれるはずだ。じっさいコーリン・グリーンランドのように、83年の研究書『エントロピー展覧会』の中で、ニューウェーブSFをエントロピーの文学と定義づけた論者もいるぐらい、このころの尖鋭的な主流文学と前衛的なSF小説は通底する部分があった。

 そして80年代も後半に入ると、ラリイ・マキャフリイの編集した総覧『ポストモダン・フィクション』や彼の執筆になる『』の「現在小説」の章のように、主流文学もSFも分け隔てなく、あくまで小説の「現在性」だけを評価していく方向が当然のものとなる。

 ふりかえってみれば、ピンチョン60年の短編「エントロピー」は、そのころ主流文学はおろかSFにおいても前衛的な手法と映った作品だった。
(中略)

 いまのわたしたちはこのウィリス作品の様式だけを見るかぎり、SFどころかT・コラギッサン・ボイルやバリー・ハナの普通小説の一変型のように読み終えてしまう可能性が高い。

 あるいは、イギリスSF期待の新人リチャード・コールダーの自動人形三部作を通読してみること。彼がナノテクノロジーを駆使して造るロボット群は、十億分の1メートルのレベルで構築されるため、有機/無機の区別を超えてほとんど人間と区別がつかず、中には自らに唯一生殖能力の欠如しているのを嘆き、人間への嫉妬をむき出しにする者もいるほどだ。

 たんに人間に抵抗するアンドロイドならば、ディック原作になる『ブレードランナー』にも散見されたところである。それだけなら、SFの主題学からは、テクノロジーの産物がまったく勝手に自走しはじめるという典型的な現象に分類できそうな方向といえよう。


ウーン ディック原作『ブレードランナー』しか知らない大使にとって、やはりなんのこっちゃであった。
そして、自分は オールドウェーブなのか?
ブレードランナーブレードランナー





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Last updated  2016.04.28 08:03:36
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