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2016.04.25
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『英国一家 日本を食べる』という本を見っけ♪…
今ちょうど、この本をもとにしたNHK番組が放映されているので、興味が尽きないのです。



イギリス

マイケル・ブース著、亜紀書房、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
市場の食堂から隠れた超名店まで、ニッポンの味を無心に求めて―東京、横浜、札幌、京都、大阪、広島、福岡、沖縄を縦横に食べ歩いた100日間。

<読む前の大使寸評>
今ちょうど、この本をもとにしたNHK番組が放映されているので、興味が倍加するのです。

<図書館予約:カートで待機中に図書館で見っけ♪>

amazon 英国一家 日本を食べる


江戸前にぎりが世界を席巻している昨今であるが、大阪の押し鮨、京都の鯖鮨もええでぇ♪
p169~172
<鯖鮨と豆腐>
 京都へ来てから1週間以上がたち、僕はまだ対面できていない料理を追い求めていた。それは、聞くところによると、昔の京の町の東側、東山にあるというのだ。でも、問題は、その「いづう」がどこにあるのか、さらにいえば、いづうが何であるか、誰ひとりとして知らないということだった。

 鮨の歴史については、すでに読んで知っていた。もともとは、遠い昔に現在のタイやメコン・デルタの辺りで、地元民が米飯で魚を包んで保存していたのが始まりだという話が有力だ。

 米飯の発酵で生成されるアルコール分や酸によって、魚が持つ菌が死滅し、魚は数ヶ月間保存が利くようになる。魚そのものも、発酵して粥状になるが、食べても毒ではないし、腐敗臭もない。

 腐敗したアンチョビで作られた古代ローマのソース「ガルム」から、現代のベトナムの「ニョクマム」を筆頭とする東南アジアのさまざまな魚醤にいたるまで、発酵した魚は強力なうまみのもとを作り出してきた。タイで生まれた米飯で魚を保存する方法はやがて中国に広まり、その後8世紀になって、他の多くのものと一緒に日本にたどり着いたという。
 京都に近い琵琶湖周辺の地域では、地元の人々が、米飯の乳酸発酵が生臭い淡水魚に程よい酸味を与えることを発見した。そうやって作られたのが、熟れ鮨というもので、現在も琵琶湖沿岸の町では「鮒寿司」という名で喜ばれている。

 鮒というのは鯉の仲間だ。鮒寿司の場合は、鮒の産卵期を見計らって米飯と一緒に酢漬けにされ、卵を体内に宿したままで半年ほど寝かされた後、米飯が廃棄される。この料理は「日本のフィッシュチーズ」と呼ばれることもあり、僕が思うに、好きな人には堪えられない特別な味なのではないか。

 鮨の進化を語るうえで見逃せないのは、文化人類学者の石毛直道が述べているように、「せっかちであることは、しばしば日本人の特徴のひとつと考えられる」という点だ。熟れ鮨を楽しむようになってしばらくたった頃、日本人は乳酸発酵が進むまで待ってはいられないと思うようになり、15世紀には、発酵の浅い段階から魚を食べるようになった。しかも、そうすれば米飯も一緒に食べることができて・・・それまでは発酵が進みすぎていて食べられなかった・・・もっとおいしいと気づいたのだ。

 鮨の進化における次の大きなステップは、17世紀の米酢の発見だ。米酢を使えば、発酵するまで待たなくても、ツンとくる酸味を米に加えられる。このような鮨は「早鮨」と呼ばれ、箱に敷き詰めた酢飯の上に魚を置き、その上に石で重石をして、できあがった大きな鮨の「ケーキ」を一切れづつ長方形に切り分けて食べる。

 18世紀の終わりから19世紀初頭にかけて、当時江戸と呼ばれていた東京は日本の首都の座を京都から奪い、いつの間にか世界最大の人口を抱える世界一の都市になっていた。だが、江戸では火災が多く、世界初の大都市圏の先行きが危ぶまれたため、料理屋で直火を使用することが禁じられ、急成長しつつあった屋台の食べ物屋が瞬く間に姿を消した。

 そこで登場した救世主が、直火を使わなくても作れる鮨だ。もちろん、当時の鮨に使われた魚は、生ではなかっただろう・・・冷蔵庫はない時代だ・・・でも、鮨職人にとっては、さっと茹でたり、酢で締めたり、炙ったりという下ごしらえをした魚を町のなかへ運んで酢飯に載せるのはたやすいことだった。

 19世紀の東京の労働者は、末裔となる現在の東京の人たちと同じで、時間のゆとりがなかった。たとえば、鮨屋の入り口にかけられたカーテン、すなわちのれんが使われるようになったのはその頃からで、客が手で払いのければ急いでいても楽に出入りできるようになっていた。つまり、汚れたのれんは、うまい店の証だった。

 大急ぎで食べなきゃならない客の要望に応えて、注文を受けたら鮨飯を片手で握って固め、その上に魚をトッピングする方法を考えついたのが、19世紀の華屋與兵衛だ。にぎりは、鮨飯を「握る」ことからきている名称だ。生の魚はにぎりの由来とは関係がなく、にぎり鮨といえば発祥の地を示す江戸前鮨を意味することもある。

 一方、その頃京都では、別の大きな流れが広がりつつあった。鮨飯に入れる砂糖の量を東京よりも多くするのはもちろんのこと、京都では、従来の早鮨とは違う、独自のタイプの押し鮨が発展した。それが鯖を使った押し鮨、つまり鯖鮨だ。

 鯖は非常に傷みやすいので、初めに軽く塩漬けにしてから砂糖を入れた酢で締め、それを丸ごと酢飯の上に載せて、酢で煮た昆布で巻き、さらに30センチほどの長さの竹の皮で包む。セビチェ(中南米で食される魚介類のマリネ)と同じ要領で、酢に含まれる酸がほんのりと鯖を「調理」してくれるので、海辺から半日ほどの距離がある内陸の町、京都では、それが有効だった。

 けれども、にぎりや巻きが世界を席巻する一方で、鯖鮨やその兄弟分にあたる、杉の器で作る大阪の押し鮨は、郷土料理として存在するだけで、冷蔵設備の発達で魚の保存に酢を使う必要がなくなったせいもあり、京都や大阪という地元でさえ次第に人気に陰りが出ている。

 その、どっぷりと酢漬けにした鯖の押し鮨、鯖鮨こそ、僕が探し求めていたもので・・・いうなれば、歴史ある本格派の極上の鮨だった。


著者も語っているが、いらちと合理性が生み出したのが大阪の味だと思うのです。
p183~186
<世界最速のファストフード>
 次の大阪に関するトリビアのなかで正しいのはどれか?間違っているのはどれか?

1.大阪の回転寿司店のベルトコンベヤーは、東京の回転寿司店よりも40パーセント速く回っている。

2.大阪人が歩く早さは秒速1.6メートルで、東京人の秒速1.54メートルを凌いで世界一だ。

3.大阪の公共交通機関の券売機の硬貨投入口は日本一大きく、硬貨をすばやく入れることができる。

4.大阪人の普段のあいあつは、「もうかりまっか?」である。

5.大阪では、エスカレーターに乗るときに右側に立つのが慣わしだが、大阪以外の地域では左側に立つ。

6.世界最速のファストフードは、大阪で生まれた。

7.大阪のGDPはスイスとほぼ同じである。

 答:すべて正しい。

 大阪人は、日本一熱く、せっかちで、反骨精神が強く、商売上手な人たちだ。大阪人と比べてしまうと東京人も中途半端だと思えるほどで、大阪の街がたいてい観光のスケジュールから外されてしまうのはそういう地域性が原因ではないか・・・しかも歴史的な名所はないに等しく、美術館もほとんどなく、あるのは特徴のない無数の高層ビルに、果てしなく続くアーケード、店が建て込んだ横丁ばかりだ。それでも僕は、日本の都市のなかでは大阪を一番楽しみにしていて、3週間の京都滞在が終わり、電車で大阪へ移動する間も、わくわくする気持ちを抑え切れなかった。

 リスンと子どもたちも、そろそろ時計を現代に戻したがっていた。天皇の御所と御苑を訪ね、アスガーとエミルは走り回って有り余るエネルギーを発散し、僕らはみんな京都独特の「よそとは違う」雰囲気をとても気に入ったけれど、子どもにとっては京都は東京よりもさらに窮屈なところだった。常に「シーイッ」と言われているような気分になる街なのだ。それに僕は僕で、京都にいた3週間はひとりで行動することがあまりに多く、リスンと子どもたちを置いてきぼりにしてしまったと罪の意識を感じていた。
(中略)

 だけど、言うまでもなく、男はそれでもなお、さもしさや弱さを抑え切れない生き物で、しかも僕は、あらゆる食べ物がごちゃ混ぜになった大阪へ行くと思うと、もうよだれがこぼれそうなほどだった。

 大阪は食の首都であるという評判が高まっている・・・・先に書いたように、レストラン批評家として名高いフランス人、フランソワ・シモンは、世界のなかでも大阪は特に好きな食の街だと言っていたし、インタビューを受けたヨーロッパやアメリカのトップシェフたちが、インスピレーションを求めて訪ねる街として大阪の名前を挙げているのを見たこともある。

 大阪には、大阪ならではの料理があり、世界最大の調理師学校があり、新しいオートキュイジーヌに柔軟に積極的にアプローチする心意気がある。大阪人の新しいものを貪欲に求める気質は、しきたりに対する反感や、何世紀にもわたる海外との貿易によって育った国際人的な考え方と相まって、料理のメッカとなる最高の条件を整えてきたように見える。僕は、もう待ちきれない思いだった。
(中略)

 チェックインするとすぐに、リスンは手をこすり合わせながら「さあ、ショッピングよ!」と宣言して、出かけていった。つまり、僕とアスガーとエミルは、1日自由に市内を探検できる。まず最初にどこへ向かうかは、ちゃんとわかっていた・・・日本のファストフードの首都のなかのファストフードの中心地、道頓堀だ。そこで子どもたちに、ピザやワッパーよりも大切なものが人生にはあると教えてやりたい。

 道頓堀は、何でもありのラスベガス風の食べ物街で、日本のなかで何かを食べながら歩くことが許されるのも、たぶんここだけだろう。大阪名物のふたつのファストフード、たこ焼き・・・京都で初めてお目にかかったタコ入りの団子・・・とお好み焼きの心のふるさととして、日本中に知れわたっている。

 お好み焼きがどんなものかについては、「ジャパニーズピザ」だとか「オーサカオムレット」だとか、さまざまな表現を聞かされたが、いずれにしても当たっているのは円形の食べ物ということだけだった。


『英国一家 日本を食べる』1
『英国一家 日本を食べる』2





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Last updated  2016.04.25 23:50:13
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