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2016.04.29
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カテゴリ: 中国
図書館に予約していた『「中国共産党」論』という本をゲットしたのです。
とにかく、この本を読んで、世界の大迷惑となった巨大国家の行く末を、予測したいわけです。



共産党

天児慧著、NHK出版、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
中国の伝統的思想を踏まえ、独特の政治体制から現指導者の人脈まで、第一人者が持てる知見を総動員して中国共産党「支配の構造」を分析。経済の急減速、高まる民衆の批判、止まない腐敗・汚職など、共産党に吹くかつてない逆風を、習近平はいかに克服しようとしているのか。安易な中国崩壊論、民主化楽観論を排し、巨大国家の行く末を冷静かつ堅実に見通す著者渾身の一冊。
【目次】
序章 習近平の危惧/第1章 なぜ中国人は共産党を支持するのか/第2章 中国政治を動かす「人脈」の実態/第3章 揺れる中国ー変わる社会と変わりにくい体制/第4章 「中国の夢」と「新常態」のジレンマ/第5章 「中国型民主主義」の可能性

<読む前の大使寸評>
とにかく、世界の大迷惑となった巨大国家の行く末を、予測したいわけです。

<図書館予約:(12/11予約、4/26受取)>

rakuten 「中国共産党」論


早過ぎた中華文明は、強力な王朝と官僚システムを創りあげて、連綿として民衆を統治してきたが・・・
現在の王朝とも言える共産党体制の統治システムについて、知りたいのである。

p133~137
<王朝時代と酷似する共産党体制>
 王朝時代の伝統的な統治を見れば、二つの大きな特徴が浮かび上がってくる。一つは、皇帝と官僚性よりなる巨大な統治システムと、その統治が日常的には直接及ばない村落共同体の自治組織の長期的な並存である。

 二つには中央と地方の関係で、一見中央集権的に見えるが、実際的には地方の指導者が、しばしば「土皇帝」と呼ばれるほどに強大な権力を持ち「独立王国」を築き上げてきた点である。

 中国共産党体制は、毛沢東時代には全体主義体制、トウ小平時代以降は権威主義体制と言えると先に述べたが、実はこうした王朝時代の統治構造と類似していることに気づく。

 前者の特徴については、中央から地方の区、郷、鎮まで行政政府、人民代表大会、司法機関といった権力機構がつくられているが、末端レベルには居民委員会、村民委員会といった自治組織が全国的に存在している。自治組織のリーダーは住民の選挙によって選ばれる。

 もちろん党支部の直接・間接的な介入は否定できないが、上からの任命ではなく、そこに住む住民の中から選ばれている。しかし、このような選挙システムがボトムアップで上の権力機構に広がっていくといった傾向は否定され、あくまで自治組織のレベルに留まっている。

 後者については、建国初期の時代は独立性の強かった人民解放軍の野戦軍体系の影響もあり、共産党体制でありながらも一定の「地方割拠」制は否定できなかった。その後、党は幹部人事、基本路線・政策などから中央集権化を進めたが、毛沢東時代、トウ小平以降の時代を通しても経済は集権的というよりも分権的であった。まさに柏裕賢、加藤弘之が指摘する地方請負(包)性が生き続けていた。また、トウ小平時代には意識的に「放権譲利」政策がとられた。

 さらに今日の地方幹部任命に関しては、非公開の情報ではあるが、中央組織部は省級の主要幹部の人事任命権を持っていると言われるものの、それより下の幹部は一つ上級の地方の党組織部で決定されるという。

 つまり、地方の具体的な政策決定・執行、問題の処理は地方自身が決定するということである。このため、よくも悪くも地方政権はしばしば中央の意向から離れ超えて独自の行動をする傾向が強い。

 1992年の春節の頃、当時89歳のトウ小平が老体に鞭打って上海、深センなど南方の発展した都市を回り一層の改革開放を呼びかけた。いわゆる「南巡講話」である。当時は天安門事件によって先進国から経済制裁を受けており、国内でも社会主義左派が巻き返していたために経済が急速に落ち込んでいた。そこでトウ小平は市場化を目玉にした経済発展の再加速を意図したが、これらに直ちに反応したのが地方政権、地方企業であった。

 トウ小平の講話をきっかけに「フライパンにおいた豆」がはじけるように地方が活発に動き始め、独自の「関係」を使って海外から直接投資を呼び込んだ。さらに数々の解放区を建設するなどしたことで、経済が回復し、成長率も急上昇することとなった。

 改革開放の時代になって経済を活性化するために、建て前上は国有・公有である土地の概念を所有権と使用権に分離し、前者は社会主義国家ということで動かせないが、後者は使用者に権限があるとして、期限(15年、30年など)をつけて売買できるようにした。これによって不動産が商品化され経済は活況を呈した。

 しかし2000年代以降、大量の土地が大々的に地方政権によって「私的」に売買されるようになった。そもそも請負制で上納分以外の収益を大量に蓄積していた地方政権が、中央に有利な分税制度の実施によって、収入減少を強いられたため、それを補い余りある利益を上げるために不動産売買、工場誘致に熱を上げたのだ。

 この過程で不良債権や環境汚染など深刻な問題が次々と発生し、中央政府は取り締まりの強化に躍起になったが、地方政権も容易に従わない。不動産、企業誘致に伴う腐敗問題は地方レベルが最も深刻だと言われる所以である。

 法律とかルール、通達などあってもなきがごとしである。まさに以前から言われてきた「上有政策、下有対策」「陽奉陰違」ということであり、実態として地方のしたたかな強靭さを示している。


習近平が打ちだした「新常態」構想は、今後、どのように機能するんだろう?
p184~187
<経済急減速という大難題>
 むしろ中国にとって本当に厄介なのは国内問題のほうかもしれない。事実、今後の中国を考える上で楽観視できない難題が次々と横たわっているからだ。

 第一には、これまで上昇の一途を辿っていた経済成長の鈍化である。周知のように1990年代以降、実質経済成長率は前年比10パーセント前後の驚異的な増加を示してきたが、2011年には9.3パーセントに落ち込み、その後7パーセント台へ、さらに2015年には6パーセント台後半へと下落の一途を辿っている。

 中国経済ウォッチャーの津上俊哉は実質経済成長率を測る指標である「李克強インデックス」と言われる電力消費、鉄道貨物、金融貸出から算出した数字に、間接税収や国有企業売上高などの要素を加味し、すでに実質成長率は5パーセントを割り込んでいると判断している。

 関志雄は津上ほど厳しい見通しではないが、「今後は、従来の高成長に戻ることはもはや望めず、7パーセント程度という中高成長をいかに維持していくかが課題となる」と指摘している。

 こうした成長率の低下は、まず賃金・物価の上昇率などこれまで中国の比較優位要件だったものの低下が原因として挙げられる。より根本的には関をはじめ何人かの経済学者が指摘しているように、生産年齢人口が増加から減少の段階に入ったことと、完全雇用を意味する「ルイスの転換点」に入ったことが重なる構造的な要因によると考えられる。

 このため中国はこれまで進めてきた「一人っ子政策」の緩和に踏み切り、2014年から比較的緩やかな条件で二人目が出産できる政策がとられるようになった。しかし「二人っ子」が政策的に可能になったとしても、経済発展が進む多くの国が経験する少子高齢化の道は中国でも例外ではなさそうである。

 さらに高度経済成長率の中で見落とされ、あるいは軽視されてきた諸問題、例えば大量の地方債券問題、環境の劣悪化、脆弱な社会福祉政策などにどのように取り組むかも重要な課題となってきている。こうした緒難題に立ち向かいながら、同時にいかにして安定的な成長を確保するかが、これからの核心的な課題なのである。

<「新常態」への転換>
 それを承知して経済の新たな方向づけを行ったのが2014年5月の習近平による「新常態」の提起であった。「新常態」とはトウ小平の改革開放路線の推進以来続いた高度経済成長が終わり低成長の時代を迎え、さらに人口ボーナスから人口オーナスの時代に入るという新しい段階に入ったことをはっきりと認識した上で、格差縮小、民営化をはじめ経済の構造改革、大胆なイノベーションの取り組みの必要を強く訴えたものである。






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Last updated  2016.04.29 05:44:20
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