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2016.04.29
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カテゴリ: 気になる本
図書館で清水義範著『蕎麦ときしめん』という本を手にしたが、これまで清水さんの著作に思いのほかふれてきた大使である。
何故なのか・・・どたばたのへそ曲りという清水さんのフィーリングが好きなのかも♪



きしめん

清水義範著、講談社、1989年刊

<「BOOK」データベース>より
読書はパスティーシュという言葉を知っているか?これはフランス語で模倣作品という意味である。じつは作者清水義範はこの言葉を知らなかった。知らずにパスティーシュしてしまったのだ。なんととんでもない天才ではないか!鬼才野坂昭如をして「とんでもない小説」と言わしめた、とんでもないパスティーシュ作品の数々。
【目次】
蕎麦ときしめん/商道をゆく/序文/猿蟹の賦/三人の雀鬼/きしめんの逆襲

<読む前の大使寸評>
パスティーシュ(模倣)文学というジャンルを築いたとされる清水さんの本をわりと読んでいるのだが・・・どたばたのへそ曲りというフィーリングが好きなのかも。
なお、借りたのは1987年刊行のハードカバーでした。

rakuten 蕎麦ときしめん


どたばたのへそ曲りというフィーリングが表れている辺りを見てみましょう。
とにかく、どんどんとたたみかけるような筆致はさすがでんな♪
p187~189
<キシメンの逆襲>
 『小説現代』の1984年12月号に、私は『蕎麦ときしめん』という作品を発表した。東京人から見た名古屋人論、というスタイルをとって、その実、徹底的に名古屋人をからかった内容のものである。

 もっとも、それを読んでいただいた方にはお分かりのことだが、その論文の部分は私が書いたのではない。それは、名古屋の地域雑誌『しゃちほこ』の1983年10月号に掲載されていた鈴木雄一郎という人の論文をほとんど丸ごと紹介したものなのだ。つまり私はその偏見に満ちた出鱈目の名古屋人論をいろんな意味で面白いと感じたので、私の反論を少し加えて発表したというわけなのだった。

 考えてみれば、私が名古屋人を馬鹿にしたような論文を書くはずがないではないか。私は大学卒業の歳まで育った郷里名古屋を愛し、誇りとしている。それが、名古屋人の一生は車を崇拝することについやされる、だとか、要するに名古屋は紳士であってはならない、とか、名古屋は閉鎖的な村落共同体であるとか、要するに名古屋は田舎で名古屋人はダサイ、というような論文を書くわけがない。それはすべて東京人である鈴木雄一郎氏の意見である。

 ところが、私にとって意外だったのは、かなり多くの人がその作品を、全部私の創作だと読んだらしいことであった。つまり、鈴木雄一郎なんて人は実在せず、あれはみんな私の作り出した嘘だろうというわけだ。そして、あそこに書かれた名古屋人論は、そっくり私の意見であろうということになってしまった。

 たとえば、作品が掲載されてしばらく後、なかなか面白かったから、と情報ダイジェスト誌『アンダンテ』からインタビュー取材があった。こっちはインタビューを受けるなんて生まれて初めてのことだから緊張していると、インタビュアー氏は開口一番、こういったのである。

 「本当に名古屋人ってああいう風なんですか」

 あれを私の名古屋人論だと思っているのだ。そうじゃないんだって、ちゃんと書いてあるではないか。
 あれはある東京人の書いた論文ですから、と私が答えると、インタビュアー氏はにやにや笑った。

 「ええ。そういう仕掛けにはなっているわけですが」

 私はそれが仕掛けではなく事実であることを説明した。そして、あの論文を発表した理由は、その内容に同感したからではなく、逆に、あまりにもひどいと思ったからであると。
(中略)
 一応、なるほどと言って話を聞いたインタビュアー氏は、最後にこう言った。

 「ところで、ナゴヤ球場では本当にういろうが飛んでくるんですか」

鈴木雄一郎という人が気になるのでネットで探したところ、メイド喫茶の社長さんや俳優の鈴木さんが、いかにもそれらしいが、確証はありません。
やはり、清水義範の創作というのが真相ではないでしょうか。

後日譚を見てみましょう。
p194~195
 社会面を見てあっと仰天した。社会面のトップ記事だったのである。新風営法が実施された、という記事を脇へ押しのけて、堂々の七段抜き。

 見出しを見て目を疑った。
 『名古屋人田舎者論、またまた大騒動』
 そして縦組み第二見出し。
 『転勤族大賛成、地元っ子激怒』

 記事を読めば、およそ次のような内容であった。

 昨年末、ある月刊誌に掲載された名古屋人論が今、名古屋のサラリーマンの間で隠れたベストセラーになっている。特に名古屋への転勤族の間で評判が高く、雑誌コピーの回し読みが大はやり。これに対し名古屋っ子は、タモリに輪をかけた名古屋人侮蔑だと反発・・・。
 そして、例の論文のサワリが要約してある。それも、名古屋人が読めば怒りそうなところばっかり。

 記事の最後についているのが、『著者の清水義範さんの話』というもので、そこにはこうあった。
 「パロディとして書いた“でたらめ日本人論”なので、あまり真に受けられると困るんです。モチーフは名古屋出身の僕の中にある、名古屋に対する嫌悪のようなものですね。とにかく二度と帰りたくない土地ですから、名古屋は」

 何ということを書いてくれるのだ、と私は焦った。それに、記事の中に鈴木雄一郎氏の名前が全く出てこないではないか。これでは、私が名古屋を嫌うあまり、あの論文を書いたということになってしまう。


この本を紹介した大使は決して名古屋嫌いではないわけで・・・・味噌煮込みうどんと味噌カツは大好物でおます♪





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Last updated  2016.04.29 08:11:22
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