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2016.05.12
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カテゴリ: 歴史
図書館でイザベラ・バードの『朝鮮奥地紀行1』という本を手にしたが…
先日、読んだ『朝鮮旅行記』つながりで読んでみようと思ったわけでおま♪



朝鮮3

イザベラ・バード著、平凡社、1993年刊

<「BOOK」データベース>より
『日本奥地紀行』につづく、英国女性によるアジア紀行第二弾。甲申政変、日清戦争など混乱を極める十九世紀末朝鮮に深く分け入り、王室から民衆文化・風俗までつぶさに見聞。
【目次】
朝鮮の第一印象/首都の第一印象/行幸/ソウルの風物/装備-朝鮮のサンパン/漢江とその近辺/漢江とそこの住民/自然の美-早瀬/朝鮮の結婚の風習/朝鮮の驢馬-朝鮮の道路と宿屋/金剛山の僧院/長安寺から元山へ/切迫した戦争-済物浦の興奮/牛荘-満州/満州の大洪水-奉天/奉天/奉天の興奮/長崎-ウラジオストク

<読む前の大使寸評>
先日、読んだ『朝鮮旅行記』つながりで読んでみようと思ったわけでおま♪

rakuten 朝鮮奥地紀行1


日本軍による東学党鎮圧の頃の済物浦(現在の仁川)が、バードによってレポートされています。
p285~291
<切迫した戦争―済物浦の興奮> より
 私は長い内陸旅行の間、一般社会の出来事に就いてまったく何も聞いていなかった。わずかに東学党(反逆者)と王軍の間の衝突が拡大している、という噂を2,3聞いただけであった。元山での流言の雰囲気はやや刺激的なものであった。けれども私はすでに朝鮮に十分永く居たので、その種の雰囲気の濃い物語に余り重要性を付与しなかった。

 ある日、東学党が大成功を収め、王軍からガットリング機関銃を奪った、と言われる。他日、東学党が粉砕され、その神秘的で至る所に現れる指導者は打ち首になった、と言われる。一方、私の出発前の最新の噂は、東学党が大部隊で釜山に行進中である、と言うものであった。

 東学党の流布させた宣言が、腐敗した官僚と不忠の顧問に反対して立ち上がった、と表明する一方、王位に対する固い忠義を公言している事から判断して、その宣言は、信頼できるもののように思われた。

 もし朝鮮のどこかに愛国心の鼓動があるとするならば、それは、これら農民の胸のなかにある。東学党の蜂起は、苛税か、さもなければ虐殺を免れるためになされたもののようで、その改革計画遂行の企画に限定されていた。外国の同情が若干東学党に寄せられた。なぜならば、失政の悪業はその極に達し、耐えがたい苛税に反対する尋常な農民蜂起よりも、大規模な武装した抗議に時が熟している、と考えられたからである。

 ところで、元山で、まるでだらけた関心を持ってこれらの事が討論されていた丁度その時に、事態の確立された秩序に対する恐るべき脅威が具体化され、日ならずして、東学党の影を薄くするよう運命づけられ、世界の耳目が、この取るに足らない半島に集中される事となった。

 6月17日に汽船で元山を出発し、19日に釜山に到着した。私は日本の軍艦が港にいるのを見ても驚かなかった。その朝220名の日本軍兵士が肥後丸から上陸し、丘の上の仏閣を宿舎に宛てがわれた。反逆者たちは釜山とソウルの間の電信線を切断した、という。

 釜山の少数のヨーロッパ人に不安は無かった。釜山に商業上の広大な植民地を持っている日本人は、その保護に相当の関心を示した。彼らが取った方針以上に当然なものは無いように見えた。日本軍が済物浦に上陸した、という噂はまったく無視された。

 しかしながら21日の早朝、済物浦に到着すると、大変興奮した事態が示されていた。大艦隊―6隻の日本軍艦、アメリカの旗艦、2隻のフランス軍艦、1隻のロシア軍艦そして2隻の清国軍艦が外港に横たわっていた。

 内港の限られている収容設備は、その能力の極限まで酷使されていた。日本の運搬船が軍隊、馬と軍事物資を汽艇で陸揚げしていた。平底帆船が、兵站部用に米その他の用品を荷揚げしていた。苦力が、それを海岸に積み重ねていた。海陸の動きには絶え間がなかった。海岸からの来客は興奮し、扇動し、びっくり仰天するようなどえらい噂を沢山もらした。しかし、大部分その真偽のほどは判らないものであるのを認めていた。

 上陸してみて私は、あのひどく鈍かった港が変貌したのを見出した。通りには、秩序正しく行進する日本軍の足音が響いていた。まぐさを積んだ荷馬車の列が、道を塞いでいた。日本人居留地の大通りにある家が全て兵舎に変わり、兵隊でいっぱいになっていた。ライフル銃と装具が、バルコニーにきらりと光っていた。元気なくぼうっとしている、通りをぶらつくか、小さい丘に座り込んでいる朝鮮人の群集が、自分たちの港が外国人の野営場に変容するのを放心してじいっと見つめていた。

 最初の軍隊の上陸からわずか2時間経過した時、私がロシアの若い将校と一緒に野営地を訪問した時、そこに莫座敷きの床と排水溝のある、それぞれ20人収容している、通風を良くした鐘形のテントの帆布の下に、1200名もの男たちが居た。食事は漆塗りの箱で出されていた。馬小屋が急造されていた。騎兵隊と多量の銃砲が、中央に置かれていた。丈が14手尺(1.42メートル)あり、役に立つ動物である。列をなして山のような大量の砲台を運ぶ馬どもが素晴らしい状態におかれ、最新のインド様式の荷鞍を装備していた。砲弾と榴散弾を二百名の男たちと百頭の馬で、日本領事館からソウルに向けて運搬中であった。(中略)

 その目的が何かは、朝鮮に居る日本国民に有効な保護を与える、という、尤もらしさの下にうまく隠されていた。日本国民は、東学党の成功で危険に曝されている、と言われていた。
 南部朝鮮での反乱は、首都で多くの驚きを巻き起こした。そのような動きは、小規模であったけれども朝鮮半島では、毎年の春の出来事になっていた。
(中略)

 しかし、私が済物浦に上陸する2,3日前の出来事が、地方騒乱の影を薄いものにした。地方騒乱は、ただ東学党が提供した、日本の干渉のための結構な口実になっただけである。それで私は、今や昔の歴史となったある出来事を、この小さい章で思い起こす事にした。

 朝鮮にとって重大で、最高の外交的重要性をもつ質問は「日本の目的は何か?」「これは侵略ではないのか」「日本は敵としてあるいは友としてここに居るのか」というものであった。3ヶ月間の糧食を供給された6千名もの軍隊が上陸していた。15隻の日本郵船会社の汽船が輸送機関として行動するために、その定期航路から退けられていた。日本は、ソウル街道上の峠である山あいの道と、首都の川港である麻浦を銃砲を持つ相当数の軍隊で占拠し、樹木の生い茂っているソウルの南漢の丘に定着していた。その位置から、王宮と首都の双方を見下ろしていた。この動きは全て突如として敏速に、軍事的局面で最高の賞賛に値する、つまり障害無しに滞りなく遂行されたのである。


まったく、報道記者さながらの内容であることに驚いた次第です。
旅行記が彼女のオハコであると思っていたが、政治的、戦略的な視点も立派なものですね。

『朝鮮旅行記』1
『朝鮮旅行記』2





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Last updated  2016.05.12 00:06:38
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