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2016.06.09
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カテゴリ: 中国
図書館に予約していた『南シナ海』という本をゲットしたのです。
人工島の拠点化、緊張する周辺国、衝突の危険と不測の事態・・・今も現在進行形の戦略的要所ともいえる南シナ海は、中国嫌いの大使にとって看過できない場所でおます。


【南シナ海】
s南シナ海

ビル・ヘイトン著、河出書房新社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
境界線と領有権の「なぜ」を詳説!人工島の拠点化、緊張する周辺国、衝突の危険と不測の事態。「南シナ海の歴史」は「世界の歴史」であり、その未来は世界の関心事だ。ここで起こることは世界の未来を決めることになる…歴史、国際法、資源、政治、軍事など、あらゆる角度から解説する必読書。

<読む前の大使寸評>
吉岡桂子委員が選んだ、政治、軍事、神話にも注目した本である・・・・新たな冷戦を阻むヒントになればいいんだが。

朝日デジタルの書評サイトに載る前に図書館に予約したが、先客が7人もいました。

<図書館予約:(3/01予約済み、6/05受取)>

rakuten 南シナ海


著者は、エピローグで中国脅威論と世界平和を語っています。
p358~359
<エピローグ> より
九段線U字型ライン

 私はこの問題はもっと根が深いと思っている。小学校から政治局まで、「U字型ライン」(九段線)は世俗の宗教になっている。この神話の起源は、帝国から共和国に移行するさいの中国の混乱の歴史にあり、容易なことでは振り払えないだろう。はるか海中の岩礁の帰属が、国内問題から目をそらさせたい指導者にとって完璧な目くらましになる一方で、政府が大言壮語のレベルを上げれば上げるほど、あがった梯子をおりて地道な決着をつけるのが難しくなっていく。

 「U字型ライン」は、今後も東南アジアの国際関係を毒しつづけるだろう。20世紀を通じて、ナショナリズムに駆られた地図制作者たちが政治的な地図を作りつづけたせいで、新たな「アジアの世紀」はおびやかされ、何十億という人々にいやます繁栄をもたらすチャンスが危うくなっているのだ。

 中国の指導部にも、論争の枠組みを変えたいと望み、国連海洋法条約の原則に基いて和解に到達したいと望む人々がいるのはまちがいない。しかし、威信が目的であれ利益が目的であれ、過大な要求を叫ぶ圧力団体のほうが力が強いのだ。これらの国内の利益団体、とくに軍や石油会社、沿岸のいくつかの省のとる行動は、東南アジアの食料、エネルギー、政治的安定に対する脅威になっている。

 中国政府の公言する「平和的台頭」という方針の信頼性もそれで損なわれているのだが、にもかかわらず中央の指導部はその手綱を引き締めるのをためらっているようだ。共産党指導部の正統性はいまのところ、国外の是認よりもむしろこれらの圧力団体の承認にかかっているからである。

 しかし、圧力団体が中国の政策をこの方向に押しやれば押しやるほど、近隣諸国のあいだで「中国脅威論」はいよいよ大きくなり、対抗策をとりたいという動機も大きくなる…その手段は自前の軍を増強することかもしれないし、アメリカに接近することかもしれないし、あるいはその両方かもしれない。つまり中国の戦略的な利益は、一党制国家内の取るに足りない脇役たちのせいで、まるごと危機に瀕しているのである。

 しかし、なにもかもうまく行くかもしれない。中国は平和的に台頭し、東南アジアは恐怖を感じずに西北を眺められるようになり、米中は海上のアクセスについて和解できるかもしれない・・・・中国が、「U字型ライン」全体への権利を主張するのを」やめさえすれば。

 しかし、中国軍が自分で自分のプロパガンダを信じ込み、「U字型ライン」内の領有権主張を実力で通そうとすれば、アメリカとの正面衝突が待っている。両者の実力差を考えれば、いまのところはまずそういうことは起こりそうにない。しかし、中国軍の指導部が勝つ見込みがあると考えだすまで、あとどれぐらい時間があるだろうか。

 世界平和のために、南シナ海問題はその前に解決しなくてはならない。

この本の吉岡桂子委員による書評については 朝日デジタルの書評から85 で取り上げています。

『南シナ海』1
『南シナ海』2
『南シナ海』3
『南シナ海』4
『南シナ海』5

南シナ海をめぐる最新報道を見てみましょう。

2016/06/08 中国の海洋進出、南シナ海の先まで アジア安全保障会議 より
■オーストラリア・ダーウィン
 オーストラリアの最大都市シドニーから約3200キロ。「トップエンド(最北端)」と呼ばれる北部準州の州都ダーウィンは、国内主要都市よりもインドネシアなどに近い。

 今年も4月から米海兵隊が、乾期で軍事演習が可能な10月ごろまで駐留する。駐留5年目の今年は派遣数は1250人に増えた。南シナ海で影響力を強める中国に、にらみをきかせる。

 だが、ダーウィン港の主要施設、イーストアーム埠頭が今、米国の大きな懸念となって浮上している。

 埠頭入り口前の看板は「ダーウィン港」の表示の下に小さく「LANDBRIDGE GROUP」とある。中国企業「嵐橋集団」の英語名だ。昨年10月、同埠頭を含む港の運営権を99年間、5億600万豪ドル(約405億円)で貸借する契約を準州政府と交わした。出入りするトラックは小さく、少ない。中をうかがうと警備員に「関係車両以外は入れません」と止められた。

 中国・山東省を拠点にエネルギーやインフラ事業などを展開する嵐橋集団は、契約についてウェブサイトで「アジアと中国に近い理想的な港。豪州を急成長するアジア市場へつなぐ貿易の扉だ」と強調している。

 これに対し、オーストラリア戦略政策研究所は「嵐橋集団は中国軍と関係が深い」と指摘し、米豪両軍の動きが中国に漏れる恐れを警告。両軍の艦船も港によく出入りするが、運営側へ報告する必要がある。

 「米国防総省には説明しており、豪投資関係者とも連絡を取っていた。これほど反感を呼ぶとは」。北部準州のアダム・ジャイルズ首席大臣(43)は取材に硬い表情で話した。

 日本やシンガポール、香港へも売り込んだが、唯一、良い条件で応じてくれたのが嵐橋集団だったという。日本の3倍以上の広さがある北部準州だが、人口はわずか約24万人。経済成長にはインフラ整備と資金が必要で「赤字続きの港にとって中国からのオファーは好機だった」。

 オバマ米大統領は昨年11月、ターンブル豪首相と会談した際に「次は事前に知らせてほしい」と不快感を示したとされる。慌てた豪政府は3月、外国投資審査委員会の審査に地方政府が管轄する重要なインフラ案件も加えると決めた。

■フィリピン・スービック
 フィリピンの首都マニラから北西へ約120キロ。南シナ海に臨むスービック港に4月26日、海上自衛隊の護衛艦「いせ」がゆったり接岸した。「親善」を目的とした海自艦船の入港は今年、すでに3回目だ。隣には、米海軍給油艦。米艦船は訓練などのため、ほぼ常駐するようになっている。

 3週間前には、海自潜水艦「おやしお」が黒い艦体をのぞかせた。吉野宏昭・第1練習潜水隊司令(1等海佐)は「日本の周辺国で潜水艦の活動が活発になっている。リアルな訓練が必要だ」と語った。

 「日本と米国、オーストラリアの艦船はいつでも歓迎する」と地元オロンガポのロレン・パウリノ市長(53)。「ここは南シナ海防衛の最前線だが、フィリピン軍には力がない」

 2012年、排他的経済水域内にあるスカボロー礁に中国が監視船を送って居座り、実効支配を奪われた。日本の防衛省の資料などによると、中国の軍艦の数は自国の7倍以上、監視船も6倍以上。「全く対抗できなかった」(沿岸警備隊幹部)。

 スービックにはかつて、世界最大級の米海軍の在外基地があった。東側陣営に対する前線基地だったが、冷戦が終わり、米軍は92年に撤退。力の空白を突いた中国の動きが加速した。







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Last updated  2016.06.09 16:23:03
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